ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

ドイツ語

あのころのドイツ文学―『ラテルネ』綜輯号を読む

同学社さんから『ラテルネ』綜輯号をいただく たしか2022年の秋の独文学会のときだったか、オンライン懇親会の席で同学社の近藤社長と話しているとき、雑誌『ラテルネ』のバックナンバーを送ってくださるという話になり、飲酒していたこともあってほとんど覚…

今年買ってよかったもの2022

授業やDIYに時間を取られてブログを書けないうちに年末がやってきてしまいました。今年の出来事をいろいろな形で振り返ろうと思ったのですが、もうあまり時間がないので、買ってよかったものから、どんなことがあったのかを思い出してみます。 1ソニーα7Ⅳ …

二年生向けの教科書ができました

新しい教科書ができました! 朝日出版社さんから、新しい教科書『ミニマムドイツ語・レーゼン』を刊行することになりました。 text.asahipress.com 11月初めに大学の先生方向けに見本をお送りしております。 今回は、この教科書をつくるまでの経緯、どのよう…

エッセイを寄稿しました

同学社『ラテルネ』127号 2022年春にエッセイが掲載されました 昨年は、夏休みまでに論文を三本集中して書き、後半は翻訳や書評、エッセイなど短い原稿を書いていました。秋ごろ依頼をうけて、年末にかけて書いていたのが、ドイツ語教科書の同学社さんの機関…

狂気と近代ドイツ文学 前期の講義まとめ

講義の題材と進め方になやむ 10年たっても相変わらず講義科目が苦手です。ドイツ語のように、教科書があって、教えるべき内容がきまっている科目であれば、数年いくつかの大学で教えていれば、教科書はすべて頭に入って、どんな大学でもだいたい問題なく教え…

『ふらんす』での夫婦連載を終えて

いつのまにか連載が終わってた 毎月、10日くらいまでの時期が不安でした。ネタがない。書く時間がない。そして原稿の催促が来る。では今週末までにお送りします、とメールに返信して、その週末が終わろうとする日曜の夜に、ダイニングテーブルに向かい合って…

雑誌『ふらんす』での連載が始まりました

なぜわたしが『ふらんす』に? ドイツ語教員の私ですが、白水社のフランス語学習者向け雑誌、『ふらんす』にて妻の小門穂とともに連載を担当することになりました。 小門穂・熊谷哲哉:「ドイツ×フランスお隣どうし 比較で学ぶ言葉と文化」というタイトルで…

単語を覚える必要なんてあるのだろうか?

後期の期末テストが終わって、もう1ヶ月ほど経ってしまいました。採点や成績評価は、(限界集落みたいな少人数クラスばかりなので)あっという間に終わりましたが、その後あれこれ業務が入って、考えをまとめるチャンスがなかったので、すこし時間がたって…

クリスマスを追いかける旅(5)ルクセンブルクの絶景と言語

4日目はルクセンブルクへ ベルンカステル=クースに泊まり、翌日(12月28日)の午前中に街を見て回って、お昼頃のバスで出発、トリアーを経て、14時半ごろルクセンブルクへ到着しました。 ルクセンブルクといえばドイツ語学研究ではとても人気のある地域です…

自作教科書を使ったこの一年

自分の授業で使うための教科書を自分で書いてみた schlossbaerental.hatenablog.com 昨年夏頃に必死で書いて、秋ごろにできあがった教科書を、この一年自分の大学(経営学部、法学部、薬学部)で使ってみました。やはり自分で書いた本は使いやすいと思う反面…

格って一体何なのよ?

格概念は初級ドイツ語の一つの山場 格と日本語 格と英語 4つの格の基本的な機能 1格は主語 2格は所有 3格は目的語、所有、利害など 4格は直接目的語 このほかに前置詞の格支配もある どういうとき難しいか? 所有冠詞と2格 ドイツ語の格で気をつけるポ…

先生は待ち時間をどうすごしているのか

今回は久しぶりに授業の方法について書きます。 日ごろ授業をしていて、待ち時間がけっこうあることに気づきます。待ち時間とは、授業の合間の時間ということではなく、授業中に、学生がなにか活動をしていてそれをじっと待っている時間のことです。もしかし…

ドイツ語とカタカナについて考えたこと

ドイツ語ネーミング辞典を読む 最近、『創作者のためのドイツ語ネーミング辞典』という本が刊行されました。 創作者のためのドイツ語ネーミング辞典 ドイツの伝説から人名、文化まで 作者: 伸井太一 出版社/メーカー: ホビージャパン 発売日: 2019/05/31 メ…

ドイツ語の先生はこの先生きのこれるのか?

半年くらい下書きを続けてきた記事をまとめました。*1私たち語学教員はどんな状況に置かれていて、今後どうなっていくのでしょうか。昨今の状況を参照しつつ、考えたことを書いておきます。 今学期もドイツ語は超少人数 昨年も話題にしましたが、勤務校では…

ドイツ語の辞書は何を選ぶか?

先日、ツイッターで私が過去に書いた辞書選びについての記事を、フォロワーの方に紹介していただきました。 tetsuyakumagai.blogspot.com この記事を書いたのは、2013年。まだ週に13コマの非常勤でドイツ語を教えていた頃です。あれから6年が過ぎ、ドイツ語…

そのミスは英語のせいなのか?—学生の答案から見るドイツ語学習への英語の干渉

テストの採点おわる 1月末の学期末テスト週間が終わり、いまはどの大学教員も採点や成績登録の作業に追われている時期です。 私は自慢ではありませんが、超少人数クラスしか担当していないので、ドイツ語のコマについてはすべて採点も成績登録も済ませていま…

学生が間違いやすいドイツ語文法総まとめ

ドイツ語総合4におけるプレゼンテーションの課題 私が担当する2年生のクラスでは、最終回に会話文の作成とプレゼンテーションのテストを行いました。前期の内容を以前紹介しています(下リンク)が、後期も同様に、必ず使う文法事項を指定し、それを含む10…

非常勤講師:なるには、辞めるには、そして探すには?

教務委員は大忙し 毎年のことですが、時間割をつくり、非常勤講師の欠員を埋めるべく新規採用をしたりするのが、だいたい10月から12月ごろの時期です。学内の第二外国語スピーチ大会などの行事、教科書の補助教材作り、そして毎週の授業など他の仕事と並行し…

教科書を作ってみた

単著の教科書が出ます 朝日出版社から、2019年度春に、大学初学者向けドイツ語教科書を刊行することになりました。ようやく見本ができました。 タイトルは『ミニマムドイツ語』です。表紙にはドイツ語タイトル(Sei fröhlich! Deutsch für Anfänger)が入って…

今回の出張で買った本とおみやげ

ドイツで本を買う 8月14日から、9月1日まで約半月の出張に出ておりました。バイエルン州立図書館で、資料のコピーなどは30冊分くらいとりましたが、それ以外にも書店で気になる本をいくつか購入しています。 普段は手荷物の重さを気にして、なるべく本は現地…

アクティブラーニング教室でのプレゼンテーションの試験

いよいよ前期が終わる 大雨での休講が途中に入りましたが、なんとか今学期も15週目まで終えることができました。 以前の記事にも取り上げていた、アクティブラーニング教室での授業ですが、だんだん私も学生たちも要領がわかってきて、グループワークを中心…

アクティブ・ラーニング教室を使った授業で何ができるか?

進化する経営学部、アクティブ・ラーニング室を開設! 私が務めているのは、本学の看板学部の一つ(ほかには理工学部が昔からあります)でありながら、いちばん校舎がボロい経営学部です。田舎のデパートのような天井の低い造りの古い建物には、上りのエスカ…

身近にあるドイツ語とは?

一年生クラスの課題:身近なドイツ語を探そう 以前職場のFD発表会で、韓国語の先生から授業実践のお話を聞きました。そのときに、いくつか紹介していた授業内の活動で、ぜひとも取り入れたいと思ったのが、身の回りにある韓国語を探すというワークでした。 …

エリアスとフェリックスのこと

ドイツ語の名前の話 今日の授業で、ドイツ語のファーストネームVornameの話をしました。というのも、たまたま使っていた教科書に出てきたドイツ人の名前がHansとちょっと古風だったので、ドイツ語の名前にも流行り廃りがあるのだということを説明しました。 …

超少人数クラスで教えています

超少人数クラスでの授業のイメージ 教務委員の4月はたいへん 新学期が始まって2週目が終わりました(木曜日スタートなので、19日から3週目です)。この時期、私たち各言語の教務委員は、あちこち教室を回ったり、事務室や講師控え室に行ったりと、忙しく過…

ドイツ語教科書の舞台はどこなのか?

新しい学期、新しいドイツ語教科書 新学期が始まりました。今年も新しい教科書で授業が始まります。 毎年秋から新学期ごろまで、教員のデスクや本棚には、教科書が山のように積み上がります。 自分の授業で使う教科書も数種類あるし、同学年でも学部ごとに違…

ドイツ現代文学ゼミナールの思い出

3月5日、6日はドイツ現代文学ゼミナール 3月前半は出張、校務、トレランと、毎日忙しく過ごしていました。3月5日、6日は箱根強羅で行われる、ドイツ現代文学ゼミナールに参加していました。この研究会は、毎年春休みと夏休み(8月末)に行われていますが、…

4コマの教育への活用法

先日の期末試験 大学教員の皆さんは、今月まで学期末試験の監督や採点、成績登録等、学年末の業務に追われていたことと思います。私も本務校と非常勤合わせて、8コマ分のテストがありました。しかし、専任教員の場合、自分のクラスに加えて他の大講義室講義…

泣き落としは絶対にダメ

日頃学生に対して怒ることはありません 大学で教えるようになってそろそろ10年くらいになります。 どの大学でも、いろいろな学生がいますが、基本的に学生を叱りとばしたり、怒鳴りつけたりすることはありません。大学院生の頃の塾講師バイトでは、「子供を…

名詞の性って何だろう?

名詞の性とは? ドイツ語の大きな特徴の一つに、これまでに記事で解説してきた、動詞の人称変化や冠詞・代名詞などの格変化があります。しかし、もっと単純で、日本語や英語にはない特徴としては、男性・女性・中性という三つの名詞の性があります。 名詞の…