ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

ドイツ語

ドイツ語とカタカナについて考えたこと

ドイツ語ネーミング辞典を読む 最近、『創作者のためのドイツ語ネーミング辞典』という本が刊行されました。 創作者のためのドイツ語ネーミング辞典 ドイツの伝説から人名、文化まで 作者: 伸井太一 出版社/メーカー: ホビージャパン 発売日: 2019/05/31 メ…

ドイツ語の先生はこの先生きのこれるのか?

半年くらい下書きを続けてきた記事をまとめました。*1私たち語学教員はどんな状況に置かれていて、今後どうなっていくのでしょうか。昨今の状況を参照しつつ、考えたことを書いておきます。 今学期もドイツ語は超少人数 昨年も話題にしましたが、勤務校では…

ドイツ語の辞書は何を選ぶか?

先日、ツイッターで私が過去に書いた辞書選びについての記事を、フォロワーの方に紹介していただきました。 tetsuyakumagai.blogspot.com この記事を書いたのは、2013年。まだ週に13コマの非常勤でドイツ語を教えていた頃です。あれから6年が過ぎ、ドイツ語…

そのミスは英語のせいなのか?—学生の答案から見るドイツ語学習への英語の干渉

テストの採点おわる 1月末の学期末テスト週間が終わり、いまはどの大学教員も採点や成績登録の作業に追われている時期です。 私は自慢ではありませんが、超少人数クラスしか担当していないので、ドイツ語のコマについてはすべて採点も成績登録も済ませていま…

学生が間違いやすいドイツ語文法総まとめ

ドイツ語総合4におけるプレゼンテーションの課題 私が担当する2年生のクラスでは、最終回に会話文の作成とプレゼンテーションのテストを行いました。前期の内容を以前紹介しています(下リンク)が、後期も同様に、必ず使う文法事項を指定し、それを含む10…

非常勤講師:なるには、辞めるには、そして探すには?

教務委員は大忙し 毎年のことですが、時間割をつくり、非常勤講師の欠員を埋めるべく新規採用をしたりするのが、だいたい10月から12月ごろの時期です。学内の第二外国語スピーチ大会などの行事、教科書の補助教材作り、そして毎週の授業など他の仕事と並行し…

教科書を作ってみた

単著の教科書が出ます 朝日出版社から、2019年度春に、大学初学者向けドイツ語教科書を刊行することになりました。ようやく見本ができました。 タイトルは『ミニマムドイツ語』です。表紙にはドイツ語タイトル(Sei fröhlich! Deutsch für Anfänger)が入って…

今回の出張で買った本とおみやげ

ドイツで本を買う 8月14日から、9月1日まで約半月の出張に出ておりました。バイエルン州立図書館で、資料のコピーなどは30冊分くらいとりましたが、それ以外にも書店で気になる本をいくつか購入しています。 普段は手荷物の重さを気にして、なるべく本は現地…

アクティブラーニング教室でのプレゼンテーションの試験

いよいよ前期が終わる 大雨での休講が途中に入りましたが、なんとか今学期も15週目まで終えることができました。 以前の記事にも取り上げていた、アクティブラーニング教室での授業ですが、だんだん私も学生たちも要領がわかってきて、グループワークを中心…

アクティブ・ラーニング教室を使った授業で何ができるか?

進化する経営学部、アクティブ・ラーニング室を開設! 私が務めているのは、本学の看板学部の一つ(ほかには理工学部が昔からあります)でありながら、いちばん校舎がボロい経営学部です。田舎のデパートのような天井の低い造りの古い建物には、上りのエスカ…

身近にあるドイツ語とは?

一年生クラスの課題:身近なドイツ語を探そう 以前職場のFD発表会で、韓国語の先生から授業実践のお話を聞きました。そのときに、いくつか紹介していた授業内の活動で、ぜひとも取り入れたいと思ったのが、身の回りにある韓国語を探すというワークでした。 …

エリアスとフェリックスのこと

ドイツ語の名前の話 今日の授業で、ドイツ語のファーストネームVornameの話をしました。というのも、たまたま使っていた教科書に出てきたドイツ人の名前がHansとちょっと古風だったので、ドイツ語の名前にも流行り廃りがあるのだということを説明しました。 …

超少人数クラスで教えています

超少人数クラスでの授業のイメージ 教務委員の4月はたいへん 新学期が始まって2週目が終わりました(木曜日スタートなので、19日から3週目です)。この時期、私たち各言語の教務委員は、あちこち教室を回ったり、事務室や講師控え室に行ったりと、忙しく過…

ドイツ語教科書の舞台はどこなのか?

新しい学期、新しいドイツ語教科書 新学期が始まりました。今年も新しい教科書で授業が始まります。 毎年秋から新学期ごろまで、教員のデスクや本棚には、教科書が山のように積み上がります。 自分の授業で使う教科書も数種類あるし、同学年でも学部ごとに違…

ドイツ現代文学ゼミナールの思い出

3月5日、6日はドイツ現代文学ゼミナール 3月前半は出張、校務、トレランと、毎日忙しく過ごしていました。3月5日、6日は箱根強羅で行われる、ドイツ現代文学ゼミナールに参加していました。この研究会は、毎年春休みと夏休み(8月末)に行われていますが、…

4コマの教育への活用法

先日の期末試験 大学教員の皆さんは、今月まで学期末試験の監督や採点、成績登録等、学年末の業務に追われていたことと思います。私も本務校と非常勤合わせて、8コマ分のテストがありました。しかし、専任教員の場合、自分のクラスに加えて他の大講義室講義…

泣き落としは絶対にダメ

日頃学生に対して怒ることはありません 大学で教えるようになってそろそろ10年くらいになります。 どの大学でも、いろいろな学生がいますが、基本的に学生を叱りとばしたり、怒鳴りつけたりすることはありません。大学院生の頃の塾講師バイトでは、「子供を…

名詞の性って何だろう?

名詞の性とは? ドイツ語の大きな特徴の一つに、これまでに記事で解説してきた、動詞の人称変化や冠詞・代名詞などの格変化があります。しかし、もっと単純で、日本語や英語にはない特徴としては、男性・女性・中性という三つの名詞の性があります。 名詞の…

ドイツ語の前置詞について

ドイツ語初級文法後半のもう一つの難所、前置詞 後期には、本務校でも非常勤先でも、前置詞について教えました。前置詞は、たいていの初級ドイツ語の教科書では、後半に入っています。一年で初級文法を終えるクラスの場合は、後期の主要な学習内容に数えるこ…

動詞の変化って? 人称変化総まとめ

初級ドイツ語文法の2つの中心 大学1年時に学ぶ、初級ドイツ語文法には2つの中心があります。どんな大学で学ぶにせよ、この2点を押さえておけばとりあえずは大丈夫というポイントです。 すなわち、冠詞類の格変化と動詞の人称変化です。この二つのポイント…

非常勤講師の思い出

熊谷、神戸大やめるってよ 2015年度からお世話になっていた神戸大学の仕事を今年度いっぱいで辞めることにしました。3年間、医学部保健学科、工学部、農学部、海事科学部などで共通教育ドイツ語の1年生クラスを担当してきました。しかし、昨年度からクオー…

何度習ってもよくわからない人のためのドイツ語発音入門

*イメージは実際の発音と関係ありません 妻がドイツ語を覚えない ときどき妻が「これなんて読むの〜?」とドイツ語の単語をてきとうに読みます。そのたび、これはこう読むんだよと教えていますが、いっこうに覚える様子がありません。フランス語を長年学ん…

形容詞の格変化を理解する 格変化総まとめ

初級ドイツ語の山場 形容詞の格変化 今学期の前半は、本務校、非常勤先両方のクラスで、形容詞の格変化を教えていました。ここは、いわばドイツ語初級文法の一つの山場です。一年生のドイツ語授業で、このへんからわからなくなる人が続出するところです。2…

人称代名詞の格変化と所有冠詞の区別について

新シリーズ、ドイツ語初級文法のわかりにくいところを解説する その1 以前書いた、所有冠詞と2格の区別についての記事が非常に好評だったので、ほかにも学生を教えていていつもなかなか理解してもらえないな、と思う文法事項について、かなり初歩的に説明…

小作文を取り入れた授業

ブログ更新をサボっている間に 前回の記事から三週間くらい更新が滞っていましたが、この間に2回台風が来て、1日授業が休講になり、トレイルランニングの大会が中止になって、分担者として三件の科研費申請を行い(ほとんど手出ししてませんが)、学園祭で6…

2格と所有冠詞と「の」

多くの学習者がつまづきやすいポイント ドイツ語教員として仕事をし、ドイツ語を教えながら気づいたことを書くことが目的のこのブログですが、これまでは、ドイツ語の学び方や文法の仕組みについての記事を書くことはありませんでした。 私自身は文学と思想…

独文学会でのこれまでの発表を振り返る

あの頃は何をしていたのだろう? 思えば昨年も、この時期に過去の自分の研究活動を振り返っていました。 schlossbaerental.hatenablog.com 去年書いた記事では、最近学会で会う若手研究者がみんな偉くみえるので、自分が30歳ごろ何をしていたのか、という…

ウィーンブルネン巡り(1)市内北部

3度目のウィーン滞在 8月22日から29日まで、ウィーンに滞在し、オーストリア国立図書館で調査を行いました。今回は、2015年夏、16年春につづき、3度目のウィーンでの調査です。 研究者として訪れる前にも、じつは1度だけウィーンに来ています。1998年の春…

キムゼーに行ってみる

8月15日はバイエルン州の祝日 14日からミュンヘンに入り、さっそく国立図書館で作業をしたものの、15日は休日で、国立図書館もミュンヘン大学図書館も休館日でした。休みになるといっても、何をしようかと考えていると、ネットでミュンヘン周辺の行楽地情報…

論文が出ました「記憶と病-クリスティーネ・ヴニケ『狐と島邨博士』について」

春に書いた論文が出ました 7月末に出来上がった、『希土』第42号(希土同人会発行)に、春に書いた論文が掲載されました。 2015年に出版された、ドイツの小説„Der Fuchs und Dr. Shimamura"『狐と島邨博士』について、実在の人物島邨俊一の生涯と、小説に登…