ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

淡路島をロードバイクで一周してみた

ロードバイクでの通勤、やっぱり無理じゃない?

トレックのエモンダSL7を2年前に購入し、東大阪までの通勤を中心にいろいろな場所に出かけてきました。

schlossbaerental.hatenablog.com

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しかし、ロードバイクによる通勤は、大阪市内の中心部を通るので交通ストレス(信号待ち、歩行者や自転車を避ける、急ブレーキなど)がひどく、この一年はあまり乗らなくなっていました。しばしば自転車を乗らない人には、自転車はすぐに車に轢かれるので危ないと言われがちです。しかし自動車と同じルールを守っていれば、対自動車でトラブルになることはあまりありません。むしろ危険なのは、歩行者やとりわけ逆走、よそ見、信号無視をする他の自転車との事故です。およそ2年ほど続けた自転車通勤ですが、大阪市中心部を通過する際に気を張っていなければならないのが苦痛で、楽しめなくなってしまいました。

 

2年経ってやっと気づいたロードバイクの楽しみ方

それで、昨年後半からは自宅でのローラー台を使ったトレーニングや、淀川サイクリングロードに出かけたりするようになりました。淀川サイクリングロードも大阪市近辺は、数百メートルおきに設置された車止め(通称アルミクワガタ)を通過するため徐行しなければならず、けっこうわずらわしいのですが、枚方市あたりを過ぎるとのびのび走れて楽しめます。

ちょっとした練習でよく訪れる枚方市の関西医大。ここまでなら往復50kmくらいです。

淀川よりもさらに広々していて快適な木津川沿い。

木津駅まで行って大阪に戻るとちょうど120kmくらいです。


サイクリングロードに出かけるようになって、やっと自分がこれまでロードバイクの乗り方を間違えていたことに気づきました。加速・減速・信号待ちを繰り返す街乗りでは、ロードバイクの実力はほとんど発揮できません。ほぼ止まらずに何キロも何時間も走り続けられる環境でこそ、ロードバイクの速度や快適性は生きてくるのです。こんな当たり前のことを、なぜかずっと忘れていました。

 

淡路島に行ってロードバイクを乗り回したい

淀川、そして木津川へと続くサイクリングロードを走ってみて、やはりもっといい環境でロードバイクを楽しみたいと思うようになり、先日いよいよ淡路島一周に出かけました。

淡路島は一周150kmと、一日で回るのにちょうどいい距離で、関西では琵琶湖とともに人気のサイクリングコースです。琵琶湖のほうは、京都に住んでいた頃に左京区から自走で一周し(約220km)ました。コースは平坦で走りやすかったのですが、最後の大津京駅周辺の混雑が嫌でした。

淡路島は、明石港から船で渡れますが、大阪から明石までは片道50kmくらいあるので、電車または自動車での輪行を経て島に渡ることになります。列車輪行は、以前不便な大学探訪シリーズとして大阪芸大、そして高野山大学を目指して途中で挫折して、南海線千早口駅から難波駅まで戻る時に一回経験しています。それほど難しいとは思わなかったのですが、ロードバイクを分解し紐で固定する作業がめんどうでした。

それならば車に乗せて高速道路で淡路島へ一気にわたってしまうことにしました。しかしこの判断は完全に失敗でした。休日の大阪神戸間は毎週大規模な渋滞が発生します。電車と船で行くよりもはるかに時間がかかってしまいました。

自宅駐車場。前輪だけを外して車に載せようとしましたが、セダンなのでトランクから後部座席までが狭くて苦労しました。

10時ごろからサイクリング開始

自宅から1時間半以上かかって淡路島に上陸しました。淡路島一周コースの起点である岩屋港は駐車場が狭いらしいので、少し手前の道の駅あわじに車を停めて、ロードバイクの準備をしました。

道の駅あわじは、海峡大橋のすぐ下にあります。

10時近くにやっと道の駅からスタートしました。

道路はあまり広くはなく、交通量もそこそこあるのですが、車止めはなく、信号も少ないのでとても走りやすく感動しました。そして淡路島を一周する道路では、左手側にずっと海が広がっています。春の日差しに照らされた海を眺めるだけで、ここまで来てよかったと実感できました。

しかし私はここで大きな失敗をしていました。上の写真はロードバイクにとりつけたGoProで撮影した動画から切り出しています。車載動画を撮ろうと思っていました。

ハンドル前方、サイクルコンピュータのマウントにぶら下げる形でGoProを取り付けたところ、安定した映像が撮れるものの、あまりに位置が下すぎて、ほとんど海が写っていませんでした。防波堤やガードレールがちょうどロードバイクのハンドル程度の高さなので、完全に隠れてしまっていたのでした。

というわけで、海の写真は停車時にスマホで撮影しました。

 

海がきれいでとにかく楽しい

洲本付近でトイレ休憩。波が静かな海水浴場です。

最初の難所である峠道にあったナゾのパラダイス(秘宝館です)。

このへんは、ずっと以前に大学院の友人たちと車で遊びに来ました。

島の南側は集落やお店がほとんどなく非常に静かです。

峠を登ったところにあるコーラの自販機。有名な休憩ポイントだそうです。

1時過ぎごろに福良港に到着。ちょうど中間地点くらいです。ここで何か食べたかったのですが、海鮮丼屋さんなどは行列ができており断念しました。

 

一人で参加できるウルトラマラソンのよう

淡路島一周のサイクリングコースと標高図です。こちらのサイトから引用。

www.awajishima-kanko.jp

上の図から分かるように、南東部の由良から南西部の福良を越えるあたり、ちょうど40kmから90kmくらいの区間に大きな登り下りが連続して現れます。

100kmを超えるあたりから疲れが出てきて、空腹のはずなのに食欲がわかなくなってきました。マラソン大会で35kmから40kmくらいで感じる疲労感です。海岸線には5kmごとに淡路島一周コースの距離標が設置されていて、また島内各所には大きな地図とともに休憩場所も設けられていました。

5kmごとの距離標。これがマラソンっぽい。

大きくて見やすい地図

ベンチのそばにはバイクハンガーもあり、自転車を置いて一休みできます。

 

コンビニやベンチで休んで、筋肉が凝り固まった腰や首のストレッチをしながら補給していると、まさにこれはウルトラマラソンだなと思いました。コロナ前に毎年参加していた60km〜100kmくらいのウルトラマラソンは、静かで開放的な田舎道をもくもくと走り、ときどき歩いたり休憩したりする楽しいレースです。

道の駅の向こうに鳴門大橋が見えます。橋の向こうは徳島県です。

海は静かできれいです。

後半は、西側に海を見ながら北上していきます。

 

ウルトラマラソンの大会は参加費がけっこう高いし、その分エイド等で手厚いサポートをうけられます。いっぽうロードバイクは車体に積んだボトルや持ってきた補給食、それからいくつかコンビニがあれば、補給したり休憩したりで長距離を走り続けることは可能です。

そう考えると、ちょうどアワイチは、ひとりで勝手に参加して楽しめるウルトラマラソンだといえるでしょう。

 

一周して島のいろいろな側面を見る

淡路島には京都での院生時代をはじめ、これまでにしばしばドライブに訪れていました。とくに大阪や阪神間からは、一番手頃な行楽先だったからです。今はなくなってしまった平和大観音や、洲本の町や、福良港などいろいろな場所を訪れましたが、これまでは高速道路である程度近くまで来て、最短距離で目的地に向かっていました。しかし自転車で淡路島一周コースを走ると、高速道路を通過するだけでは当然見えない島のいろいろな場所をじっくり見ることができました。洲本など大きな町だけでなく、島内には大小さまざまな集落があり、それぞれ違う表情を持っています。淡路島は大阪、神戸や徳島など都市圏に近く、交通の要衝ということで、島=孤島=僻地というイメージとはかけ離れた賑わいや豊かさがありました。いつか別荘を持つならだんぜん淡路島だなと思いました。

 

疲労度はフルマラソンと同等?少し上くらいか

いよいよ最後の5km。島の北端まで戻ると、対岸の明石の町がよく見えます。


朝10時にスタートして、夕方5時過ぎに、スタート地点である島の北端、道の駅あわじに戻ってこれました。

ロードバイクで中級者なら6〜8時間くらいが目安らしいので、ほぼ想定通りの時間かと思いました(もっとゆっくりしても良かったのですが、ライトを車に置き忘れてしまったので、なんとしても夕暮れまでに戻らなければと焦っていました)。

駐車場でロードバイクをふたたび車に載せ、日帰り温泉に入って、汗を流しました。

松帆の郷。売店が充実していました。

お風呂から上がって帰途に着くと、すぐに眠くなるかと思いきや、案外体力はまだ残っていました。丸一日自転車を漕いでかなり疲れたのですが、疲労度を考えると、おそらくフルマラソンを走った時よりは上だけど、ウルトラマラソン70kmよりは下かなと思いました。たぶんマラソンで言えば50kmくらいの疲れでした。

14年前に経験した琵琶湖一周とも比較すると、コースが平坦なぶん、琵琶湖の北湖一周であれば、淡路島一周とほぼ同じ距離ですがだいぶ楽だろうと思いました。

 

今度は小豆島にも行ってみたい

暖かくなってロードバイクで遠出するのが楽しい季節になります。やはり島をめぐるのは楽しいので、次は小豆島に行ってみようと思います。