ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

ドイツ語

ドイツ語の前置詞について

ドイツ語初級文法後半のもう一つの難所、前置詞 後期には、本務校でも非常勤先でも、前置詞について教えました。前置詞は、たいていの初級ドイツ語の教科書では、後半に入っています。一年で初級文法を終えるクラスの場合は、後期の主要な学習内容に数えるこ…

動詞の変化って? 人称変化総まとめ

初級ドイツ語文法の2つの中心 人称変化とは? 変化する部分と変化しない部分 arbeitenなどの場合—すこし例外的な変化 不規則動詞 語幹の音が変わる場合 本格的な不規則動詞 sein、haben、werdenなど 学生がよく間違える点 1)語尾を不定形の後ろにくっつけ…

非常勤講師の思い出

熊谷、神戸大やめるってよ 2015年度からお世話になっていた神戸大学の仕事を今年度いっぱいで辞めることにしました。3年間、医学部保健学科、工学部、農学部、海事科学部などで共通教育ドイツ語の1年生クラスを担当してきました。しかし、昨年度からクオー…

何度習ってもよくわからない人のためのドイツ語発音入門

*イメージは実際の発音と関係ありません 妻がドイツ語を覚えない ドイツ語として正しい発音?まずはカタカナ発音でも大丈夫 そのドイツ語じゃ伝わらない? 伝わるけど返答がわからないことが多い! 音声を利用して、カタカナからドイツ語らしい発音へとステ…

形容詞の格変化を理解する 格変化総まとめ

初級ドイツ語の山場 形容詞の格変化 今学期の前半は、本務校、非常勤先両方のクラスで、形容詞の格変化を教えていました。ここは、いわばドイツ語初級文法の一つの山場です。一年生のドイツ語授業で、このへんからわからなくなる人が続出するところです。2…

人称代名詞の格変化と所有冠詞の区別について

新シリーズ、ドイツ語初級文法のわかりにくいところを解説する その1 以前書いた、所有冠詞と2格の区別についての記事が非常に好評だったので、ほかにも学生を教えていていつもなかなか理解してもらえないな、と思う文法事項について、かなり初歩的に説明…

小作文を取り入れた授業

ブログ更新をサボっている間に 前回の記事から三週間くらい更新が滞っていましたが、この間に2回台風が来て、1日授業が休講になり、トレイルランニングの大会が中止になって、分担者として三件の科研費申請を行い(ほとんど手出ししてませんが)、学園祭で6…

2格と所有冠詞と「の」

多くの学習者がつまづきやすいポイント ドイツ語教員として仕事をし、ドイツ語を教えながら気づいたことを書くことが目的のこのブログですが、これまでは、ドイツ語の学び方や文法の仕組みについての記事を書くことはありませんでした。 私自身は文学と思想…

独文学会でのこれまでの発表を振り返る

あの頃は何をしていたのだろう? 思えば昨年も、この時期に過去の自分の研究活動を振り返っていました。 schlossbaerental.hatenablog.com 去年書いた記事では、最近学会で会う若手研究者がみんな偉くみえるので、自分が30歳ごろ何をしていたのか、という…

ウィーンブルネン巡り(1)市内北部

3度目のウィーン滞在 8月22日から29日まで、ウィーンに滞在し、オーストリア国立図書館で調査を行いました。今回は、2015年夏、16年春につづき、3度目のウィーンでの調査です。 研究者として訪れる前にも、じつは1度だけウィーンに来ています。1998年の春…

キムゼーに行ってみる

8月15日はバイエルン州の祝日 14日からミュンヘンに入り、さっそく国立図書館で作業をしたものの、15日は休日で、国立図書館もミュンヘン大学図書館も休館日でした。休みになるといっても、何をしようかと考えていると、ネットでミュンヘン周辺の行楽地情報…

論文が出ました「記憶と病-クリスティーネ・ヴニケ『狐と島邨博士』について」

春に書いた論文が出ました 7月末に出来上がった、『希土』第42号(希土同人社)に、春に書いた論文が掲載されました。 2015年に出版された、ドイツの小説„Der Fuchs und Dr. Shimamura"『狐と島邨博士』について、実在の人物島邨俊一の生涯と、小説に登場す…

ノート屋さんという商売がなぜ成り立つのか?

ノートを売り、買うということ 妻がAノートというサイトを発見しました。 www.anote.jp 立命館大学で生命倫理(前期)を、近畿大学でジェンダー学(後期)を教えている妻ですが、先日、立命館でのテスト前に、ツイッターか何かでAノートというサイトを見つけ…

中間テストをどうするか?

6月は中間テストの季節 マラソン大会に出かけていた先週、ちょうど各大学で中間テストや第一クオーターの期末テストが行われていました。 神戸大学ほかいくつかの国立大学では、現在は前期後期を2分割するクオーター制が導入されており、実質的に第一クオ…

最近買った本6月7日

第一クオーターの期末試験 早いものでもう6月です。 非常勤先の神戸大学は第一クオーターが終わったので、1回目の期末テストです。 前期後期と年2回に分けてテストと成績評価をしていたのに、昨年から4学期制になり、半期に2回テストと成績評価をしない…

アクティブ・ラーニング型初級ドイツ語教科書についての挫折と成果

思いっきり不評だった教科書 昨年選んだ、アクティブ・ラーニング型の教材が非常に不評でした。自分としては、いろいろ考えて選んだはずだったのに、多くの非常勤の先生方には、いい本と思ってもらえなかったようでした。私が何を期待して教科書を選んだのか…

10年ぶりの高知

FD講演会のため、高知に行きました 3月3日と4日の一泊二日で、高知に行ってきました。今回は、高知大学共通教育実施機構会議、外国語分科会のFD講演会ということで、先日のブログにまとめた、ドイツ語作文の授業について報告しました。他大学に講演をしに行…

ドイツ語の参考書を読む

まだまだ先のことになるでしょうが、ドイツ語の参考書(大学教科書ではなく、一般向けの入門書)を書けたらいいなあと思っています。やる夫やらない夫を使う教科書ではなく、ふつうに本屋さんで売っているような本を作るとしたら、どんな形が考えられるでし…

作文をどのように授業で練習するか

教え始めて7年 ドイツ語を教えるようになって、今年度で7年目です(もう40歳なので、同年代の先生方はもう少し教歴が長いはずです。私はいろいろ回り道をしていたので、すこし遅れています)。 はじめのうちは、自分自身もあまりドイツ語ができるわけではな…

やはり学生はメールが苦手

学生とのやりとりの方法についていろいろ考えさせられる学期末 つい最近、後期が始まったことを記事に書いていたと思っていたのに、もう学期末のテスト週間になってしまいました。早いもので、と言いたいところだけど、やはりもう去年の夏はずいぶん前のこと…

トーニオ・クレーガー、いま私たちの人生と対立するものは何か?

国際化と異文化理解の第5回目は、トーマス・マンをとりあげました。 19世紀末から20世紀初頭の社会の変化として、前期の講義では『ブッデンブローク家の人々』から、没落する旧来のブルジョワと台頭する新たな階級について説明しました。しかし、『ブッデン…

国際化するビジネスと衰える国際感覚

珍しく学生から相談を受ける ふだんは1、2年生向けの講義やドイツ語の授業しかない私にとって、学生から勉強についての相談を受けることはめったにありません。研究室に学生が来ることも(学期末に提出物などを持って来る場合を除けば)ほぼありません。し…

ミュンヘンは輝いていた、この街の印象について

ミュンヘンに来るのは、1998年の春以来なので、およそ18年ぶりでした。18年前はたしか一泊だけしてすぐ帰ったのだと思います。そのため、どんな場所に行ったのか、市内をどのように観光したのかなどは全く覚えていません。ただ、そのときに「ミュンヘンは輝…

ミュンヘンの噴水を撮る(8月20日〜8月27日)

Stuttgartをへて、ミュンヘンに到着したのは、8月20日のことでした。それからまる一週間ミュンヘンで調査と噴水の撮影を行いました。 ミュンヘンは寒い? ジャーナリストの熊谷徹さん(ちなみに私の父と同姓同名です)が、ツイッターで発信していたミュンヘ…

図書館探訪、どこの図書館が利用しやすいか

海外研究調査=図書館行って文献をコピーすること 私の場合ここ数年毎年夏と春にヨーロッパを訪れています。研究調査が目的ですが、人に会ってインタビューするとか、学会で報告するというのは目的に入っていません。たいてい現地でやることは、噴水の撮影と…

昔の人の文字について思ったこと

マールバッハのドイツ文学資料館(Deutsches Literaturarchiv Marbach)でドイツの神秘思想家カール・デュ・プレル(1839~1899)の手書きの書簡を読んできました。読んできましたと書いたばかりですが、残念ながらほぼ何もわかりませんでした。*1現物を見て初…

ルートヴィヒスブルク、王宮の噴水を撮る(8月19日)

ルートヴィヒスブルクはStuttgartとマールバッハの間の町 マールバッハからStuttgartに戻るさいに、(すでに作家の書簡を読むのに疲れ、さらに博物館の図録を買って荷物が重くなっていたけど)どうしても気になった町、ルートヴィヒスブルクに寄り道しました…

文学の町、マールバッハ

18日と19日の二日間、Stuttgartに滞在して、マールバッハのドイツ文学資料館を訪ねました。資料館での調査については、別の記事にまとめますが、なかなか貴重な体験ができました。 マールバッハのドイツ文学資料館 ドイツ文学資料館Deutsches Literaturarchi…

フライブルク街歩き(8/13-8/17)

フライブルクの夏 フライブルク大学図書館での資料調査のため、土曜日からフライブルクに滞在していました。実はこの町には、5年前の2011年の正月にも来ています。そのときは、スイスのベルンで2泊して、フライブルクを経由し、パリへ戻るという旅程の途中で…

チューリヒで噴水を撮る(8月13日)

スイスにきました 避暑地のイメージが強いスイスですが、晴れてギラギラ太陽が照り付けて、ふつうに夏ですよ。日陰に入れば涼しいのですが、炎天下を歩き回っていると汗が止まりません。 金曜日の夜に飛行機でチューリヒに到着し、その日は湖の噴水を目当て…