ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

研究活動

東京外大谷川ゼミの思い出

谷川道子先生を送る つい先日、1月9日に東京外大名誉教授の谷川道子先生が亡くなられました。ブレヒトやハイナー・ミュラーなどドイツ現代演劇を研究されていた谷川先生ですが、私は明大文学部4年生の頃に、一年だけ東京外大大学院のゼミに入れてもらい、卒…

あの頃どんな授業に出ていたのか? 1990年代後半の学生時代

昔は大学の授業なんて出てなかったし勉強していなかった→本当なのか? 成績証明書を見直す 文学部に入るとほとんど語学の授業だった 語学くらいは真面目にやらないと卒業できなくなってしまう 講義科目もいろいろあった 心に残っている授業 劇場論 戯曲作品…

内定から着任までの半年をどう過ごしたか

そろそろ各大学でも来年度の採用が決定し、内定を得られた先生方は、現在の勤務先で残務処理をしたり、新生活の準備に心を踊らせていることでしょう。私も内定をもらってから、ちょうど10年が過ぎたので、あの頃どんなことを考えていたのかを思い出してみま…

秋の独文学会をふりかえる

日本独文学会秋季研究発表会に実行委員として参加しました 10月14、15日に京都府立大学で日本独文学会秋季研究発表会が開催されました。私は実行委員(会計担当)として参加していました。多くの仲間に助けられて無事職務をまっとうすることができましたが、…

ゲーテ全集を見比べる

ゲーテを研究するなら全集を読もう 今年はじめにゲーテの『リラ』について論文を書き、また10月には京大人文研でゲーテにおける妹への愛について『リラ』、『兄妹』を中心に発表しました。そして関学や近大での講義でも、『若きヴェルターの悩み』、『ヴィル…

複製可能なのに唯一無二、コピー本の世界

研究者共通の悩みとしての本の処分 研究者として大量の文献を集めて読んでを繰り返してこれまでやってきましたが、しばしば仲間内でも話題になるのが、蔵書の整理の問題です。 私はそれなりに広い自宅と個人研究室にめぐまれているので、現時点では本を置く…

あのころのドイツ文学―『ラテルネ』綜輯号を読む

同学社さんから『ラテルネ』綜輯号をいただく たしか2022年の秋の独文学会のときだったか、オンライン懇親会の席で同学社の近藤社長と話しているとき、雑誌『ラテルネ』のバックナンバーを送ってくださるという話になり、飲酒していたこともあってほとんど覚…

ゲーテ研究、はじめました

ゲーテについての論文を書きました 先日発行された『希土』48号(希土同人社)に、「演劇で病を治すことはできるか——ゲーテの『リラ』について」という論文が掲載されました。 こちらからPDFをダウンロードできます。 researchmap.jp ドイツ近代文学講義から…

研究室にもっと自作本棚を増やそう

春休みはDIYの季節 毎年集中的に本棚などを自作しているのが、夏休みと春休みです。自宅ではベランダが工作場所になるので、直射日光が照りつける夏よりは、すこし日が長くなった春がいちばんDIYにもってこいの季節と言えます。 例年春休みにいろいろなもの…

二年生向けの教科書ができました

新しい教科書ができました! 朝日出版社さんから、新しい教科書『ミニマムドイツ語・レーゼン』を刊行することになりました。 text.asahipress.com 11月初めに大学の先生方向けに見本をお送りしております。 今回は、この教科書をつくるまでの経緯、どのよう…

ドイツ近代文学講義のふりかえり

関西学院大学、ドイツ近代文学講義をふりかえる 非常勤の授業、ドイツ近代文学講義も3年目を迎えました。 じつは今年がはじめての対面での授業だった(一昨年は前期も後期もオンデマンド、昨年も春学期の一回目のみ対面で実施しましたが、その後一年間オンデ…

出張で行くのに便利な大学はどこか?

久しぶりの東京出張 出張に便利な大学はここ! 立教大学 上智大学 明治大学 東京大学 学習院大学 早稲田大学 次点:良くもないが悪くもない 慶応義塾大学 武蔵大学 日本大学文理学部 明治学院大学 ここはちょっと不便 東京工業大学(大岡山) 東京外国語大学…

YouTubeで白猫ドイツ語講座を始めました

新学期、授業動画を作らない日々 2020年から、相変わらずコロナ禍は続いていますが、大学のほうは徐々に平常に戻りつつあります。 昨年度後期は、講義科目のみオンデマンド、ドイツ語はすべて対面授業となっていましたが、今年は本務校と関西学院大学の講義…

研究室にフロアシートを貼ってみた

春の研究室リフォーム第3回 前回に引き続き、個人研究室リフォームの話です。これまでの経過はこちら。 schlossbaerental.hatenablog.com schlossbaerental.hatenablog.com 前回までに、作るべきものはすべて作りましたが、まだまだ完成にはいたっていませ…

研究室の出窓リフォーム第2回

使い道がない出窓をリフォームしたい 今週のお題「デスクまわり」 三月初めに研究室の大掃除と改装を思い立ち、それまでは機密文書からゴミまで雑然と積み上げられていた出窓をきれいに片づけ、使いやすい棚を設置することにしました。はじめに、出窓部分に…

エッセイを寄稿しました

同学社『ラテルネ』127号 2022年春にエッセイが掲載されました 昨年は、夏休みまでに論文を三本集中して書き、後半は翻訳や書評、エッセイなど短い原稿を書いていました。秋ごろ依頼をうけて、年末にかけて書いていたのが、ドイツ語教科書の同学社さんの機関…

東キャンパス周辺のどこでお昼を食べればいいのか?

対面授業が再開、お昼をどうする? 新任の先生のために私ができること グーグルマップでお店を探し、食べに行く ひなた タコシュー 酒処はしもと 居酒屋香楽 食水苑 カブンス珈琲 たまごのちから 讃岐屋雅次郎 対面授業が再開、お昼をどうする? 10月半ばか…

髪がふさふさになる

45歳、もう禿げるしかないのか? 男性がハゲを気にする、ハゲを馬鹿にされるというのは、昔からのことです。ところがじっさい自分が40代になってみると、昔ほど男性のハゲや老化を揶揄される機会はないように感じます。それはもちろん、人の外見を笑いものに…

備忘メモ:Excelの名簿からWordで宛名ラベルを作る方法

たまにしか使わない操作なので忘れてしまうこと たまにしか使わないので忘れてしまっていることを自分でメモしておくシリーズの過去記事 1)名簿を確認する 2)Wordを立ち上げ、差し込み文書、ラベルの作成を選択 3)宛先の選択から、使用する名簿のファ…

狂気と近代ドイツ文学 前期の講義まとめ

講義の題材と進め方になやむ 10年たっても相変わらず講義科目が苦手です。ドイツ語のように、教科書があって、教えるべき内容がきまっている科目であれば、数年いくつかの大学で教えていれば、教科書はすべて頭に入って、どんな大学でもだいたい問題なく教え…

新作論文紹介「南島ユートピアとオカルティズム」

新しい論文が出ました ここ数年、科研費は毎回不採択だし、あんまり研究も進んでないし、このままぬるま湯のような職場で二流の研究者として朽ち果てていくのだと思いかけていました。 しかし、どういうわけか(たぶん在宅勤務が性格に合っていたからでしょ…

論文を書くときの道具2(PCとタブレット編)

PCとタブレットをどう使うか 前回は文房具の話をしたので、今回はPCとタブレット編です。 schlossbaerental.hatenablog.com 何でもiPadでできるようになり、以前より文字を書いたりする機会は減っていますが,それでもやはり、論文や翻訳など、ふだんの研究…

ドイツ文学史をどの本で学ぶか?

読んだふりではなく、これからの読書のために文学史を学ぶ ドイツ文学を知るための第一歩 代表作から文学史を知る 一昔前のスタンダード 原文に触れてみたい人向け 評伝、年表、翻訳文献一覧などが充実 放送大学のテキストもおすすめ 大学院入試ならやはりこ…

独文学会でシンポジウム発表をしました

独文学会でのオンライン学会発表をふりかえる 11月22日に、日本独文学会秋季研究発表会にてシンポジウム発表をしました。はじめてのオンライン学会ということで、これまでとは全く違い戸惑うことも多かったし、逆にメリットだと思う点もありました。少し時間…

世界文学全集を買った

『集英社ギャラリー世界の文学』をまとめ買い とてもきれいな本なので、箱イラストと内容を紹介したい 第1巻 古典文学集 第2巻 イギリス I 第3巻 イギリス II 第4巻 イギリス III 第5巻 イギリスⅣ 第6巻 フランス I 第7巻 フランス II 第8巻 フランス III 第…

大学生まんがを語りたい

学生におすすめのマンガ 大学生まんがって、どんな作品があったっけ 1980年代 「めぞん一刻』 高橋留美子1980〜87,全20巻 「ぼっけもん』 岩重孝 1980〜86、全14巻 『あどりぶシネ倶楽部』(細野不二彦、1986、全1巻)、『うにばーしてぃBOYS』(同、1988,…

講義動画を公開します

やっと前期の授業が終わる 鶴橋感あふれるエンディング画面。 勝手に夏休み気分で暮らし始めてそろそろ一カ月、ようやく授業期間が終了しました。勤務校の場合は、5月の連休明けからオンライン授業が始まり、13回の授業と2回の補講を実施し、夏休みとなりま…

オンライン講義で紹介した本

動画による授業は、本や資料を紹介しやすい これまでカメラを何台も買い足したり、撮影方法をあれこれ試みたり、背景に鹿やウォンバットを走らせたりといった、授業動画についての記事を何回か書いてきました。 schlossbaerental.hatenablog.com schlossbaer…

日本独文学会HPにコラムを寄稿しました

広報委員をつとめる知人からの依頼で、今月の連休ごろに、ドイツ語教員としてブログで発信することの意義などについてコラムを書きました。 たいしたことは書いていませんが、このブログをはじめて4年間で起こったことや、自分自身の考えの変化などについて…

雑誌『ふらんす』での連載が始まりました

なぜわたしが『ふらんす』に? ドイツ語教員の私ですが、白水社のフランス語学習者向け雑誌、『ふらんす』にて妻の小門穂とともに連載を担当することになりました。 小門穂・熊谷哲哉:「ドイツ×フランスお隣どうし 比較で学ぶ言葉と文化」というタイトルで…