ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

論文を書くときの道具2(PCとタブレット編)

PCとタブレットをどう使うか

前回は文房具の話をしたので、今回はPCとタブレット編です。

schlossbaerental.hatenablog.com

何でもiPadでできるようになり、以前より文字を書いたりする機会は減っていますが,それでもやはり、論文や翻訳など、ふだんの研究活動の大半の時間は、PCとタブレットに向かって過ごしています。去年から今年にかけて、例年のように夏休みにドイツに出かけたりできなくなったかわりに、自宅でわりと熱心に研究に励むことができました。(私は科研費も毎年不採択が続いてるし,もう二流の研究者でいいやと思っていたので、論文や発表は数年に一回で十分くらいに考えていましたが、なぜか去年からいろいろ書いたり発表したり、翻訳を進めたりとまじめに研究をしています)。

自宅で過ごす時間が長くなり、快適な執筆環境を工夫して整えてきました。今回は、そんな工夫を説明します。

 

PCは大きな画面が基本

研究室では27インチ、自宅では24インチのモニタを使っています。外付けモニタを愛用し始めたのは、たしか今の職場で働き出した頃、大学から支給されたウィンドウズデスクトップ機が使いにくいので、自前のMacBook Airをつないで、21インチのモニタに写して使うようになったためでした。大きなモニタは、映画を見たり、Excelの表を操作したりするだけでなく、複数のアプリを並べて使うときなどにたいへん便利です。

論文を執筆したり、翻訳をしたりするときは、Adobe AcrobatとWordを並べて使います。Macの場合は、デスクトップを複数にわけて使うことができます。デスクトップ1にはブラウザやカレンダー、Finderなどを開いておき、デスクトップ2(またはアプリケーションをフルサイズで開いた操作スペース)に、アクロバットとWordを開きます。デスクトップの移動はショートカットですぐにできます(デフォルトではcontrol+→です)。

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iPadをサブディスプレイとして使う

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外付けモニタの下に、iPad Proを置いて二画面環境にしています。


また、研究室ではMacBook Pro13インチ、自宅ではiPad Pro12.9インチを使っていまが、それぞれサブモニタとして使用すると、同時に視界に入るアプリが増えて、より便利です。

iPadはSidecarという機能で、Macのサブディスプレイにすることができます。この機能、すごく便利です。また、サブディスプレイとして使う場合、iPadはつねに画面が表示されている状態になるので、電源ケーブルをつなぐほうがいいでしょう。

support.apple.com

いつも使っている形としては、外付けモニタのほうに、AdobeプロとWord(またはPages)を並べ、サブモニタのほうに物書堂の辞書アプリを開いておきます。

macOS版「辞書 by 物書堂」をリリース

辞書アプリが便利なのは、PDFやブラウザ、Wordの文書などでも、単語を選択し、ショートカットキー一つ(⌘+c)で検索することができるという点です。

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PDF上の単語を選んで、⌘Cすると、辞書で検索できます。

また、別のデスクトップにウェブブラウザを開いておくと、Twitterをみたり、分からなかった言葉をネットで検索したりもすぐできます。

ドイツ文学を専門とする私の場合は、ドイツ語の資料とメモや翻訳を書くためのソフトを並べ,さらに辞書も引きたいということで、こういう二画面構成がいちばん使いやすいです。

また、辞書アプリと同様に、DeepLもサブディスプレイのほうに開いておくと、自分で読んでいて分かりにくかった文章を翻訳させることができます。優秀な先生がたはこういうズルはしないのかもしれませんが、私はしばしばDeepLとの対話をしながら外国語の文章を読みます。

iPadを立てるときには、純正品のキーボードフォリオを使えばいいのですが、外付けキーボードも置いているので少し邪魔になります。そこで私は、ダイソーの書見台に立てかけています。これだと手元が広くなり、本や辞書を広げることもできます。

 

必要な資料はなるべくPDF化しておく

今読んでいる資料もそうですが、紙の本で買ったものでも、なるべくPDF化しておくと便利です。データ化しておけば、当然のことながら場所も取らないし、クラウドに整理して、いつでも閲覧できます。本をすぐ紛失する私には必要不可欠です。

私はiCloudのサービスを利用しています。最低限の容量ならば無料で使えますが、いまは200GBを月400円で使っています。もともと2008年からiCloudの前身であるMobileMeを年間一万円くらい払って使っていたので、とくに高いとは思いません。*1

資料のデータ化は、数年前に、毎年の海外調査のたびに大量に紙のコピーを取ることがあほらしくなって、切り替えました。今でもそうですが、日本の大学図書館ではまだ資料をスキャンすることが一般的ではありません。私はなんとなく、紙でコピーして、帰国したら製本するほうが使いやすかろうと思っていたのですが、海外から大量の紙を持ち帰るのはたいへん(コピー用紙はドイツのほうがだいぶ分厚い紙をつかっています)だし、文字が小さな本や手稿などはPC画面のほうが読みやすいと気づいてからは、紙でもっている資料もPDF化して読むことが増えました。

先日書いた論文では、ほとんどPDF資料しか使わなかったので、自宅でも研究室でも同じように執筆作業を進めることができました。

PDF資料の整理の仕方はさまざまな方法があるでしょうが、私の場合はiCloudに、そのとき書いている論文や、学会発表ごとにフォルダを作り、メモや提出(発表)原稿、レジュメ、関連する論文や資料などをまとめて入れておきます。そうすると書き終わったあとに確認しやすいからです。発表や論文に使わない資料は、スキャンしてそのまま保存していますが、これもうまく整理できたらと思っています。

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論文を書く環境といえば、最近はしばしば猫が自作本棚の一番上に登るようになってしまいました。

 

*1:MobileMeのおかげで、自宅のiMacと職場に置いていたMacBookとを同期したり、iPhoneのメモ帳を共有したりできて、とても重宝していました。ちなみにiPhoneは一番最初の3Gから愛用していますが、当時はインターネットを使うには動作が重すぎ、主な用途は、音楽プレイヤーと、カレンダーとメモ帳でした。