ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

二年生向けの教科書ができました

新しい教科書ができました!

朝日出版社さんから、新しい教科書『ミニマムドイツ語・レーゼン』を刊行することになりました。

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11月初めに大学の先生方向けに見本をお送りしております。

今回は、この教科書をつくるまでの経緯、どのようなことを考え,どのような内容にしたのか、そしてこだわりのポイントなどについて書きます。

二年生向けの教科書を作りたい

自分の大学で使うための初級用教科書を書いたのが、ちょうど4年前のことでした。

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その後たくさんあった誤字を修正した第2版、動画教材を加えた増補版を出すなど細かなを改訂しながら4年間使い続けてきました。内容的に不十分なところはあるかもしれませんが、使いやすいという評価をいただいています。

↓こちらが改訂版です。

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自分で教科書を作れば毎年の教科書選びは当然楽になります。一年生向けの教科書で悩むことはなくなりましたが、問題は二年生クラスです。多くの教科書は一年で2コマ授業を行うことを前提として作られていますが、私の勤務校では週1コマなので、二年生クラスといってもそれほど高度なことから始めるわけにはいきません。一年生と同じように発音や文法の復習から始めて、徐々に高度な内容や読解、作文までをふくめた教科書となると、なかなかちょうどいい本が見つかりません。

どうしても難しすぎたり、あるいは簡単すぎたりして、年度途中で別の本にしておけばよかったと後悔することもしばしばあります。

私たちは毎年会議で教科書を決めます(専任教員が共通教科書を指定しています)が、選んだ教科書が使いにくかったり、難しすぎたりして後悔するばかりです。それならばやはり自分たちで教科書を書くほかありません。

 

新しい教科書に何が必要か?

一年生向けの教科書を完成してから、すぐに二年生向けとしてどんな教科書が書けるだろうかと考え始めていました。

既存の教科書の問題点として

・読解教材が長すぎる、または難しすぎる

・練習問題が高度すぎる

・ページ数が多すぎる

という点が挙げられます。

私たちの大学で使うためには、

・週1回、前後期30回でだいたい終えられる分量

・高度すぎず、それなりに内容のある文章を含んだ教材

・座学、アクティブラーニング、オンラインとさまざまな授業形態に対応できる

・発音や初歩から復習もできる

という教材が必要です。

さらに共著者の大喜先生と相談し、ドイツやドイツ語圏のさまざまな文化を盛り込んだ読解テクストを入れることが決まりました。

 

締め切りごとに一気に書く

朝日出版社の編集者さんを交えてミーティングをして、全体的な方向性を決定したのが、今年冬ごろのこと。その後春休み中に目次と第一章のサンプルを作りました。

年度が代わり、前期の途中に第5課までの原稿を提出し、ゲラになったページのイメージを確認し、さらに8月の前期終了と同時に、10課までの完成原稿を出しました。ちょうど大学の仕事が忙しさのピークを迎える時期が原稿提出と重なってしまうので、私も共著者もかなりあっぷあっぷしながら原稿を書いていました。

毎回締め切り一週間前になったら必死で作業をして、合間にSlackで共著者とやり取りをして、出版社さんに原稿を送る。終わったら次の締め切りまでの一ヶ月はいっさい教科書のことは忘れて過ごす、というサイクルで原稿を書きました。長い時間少しずつ作業をすすめる、論文を書くプロセスとはだいぶ違っているように思います。

 

Lesetextを書くのがとてもたいへん

全10課のうち、2課から10課に、それぞれ10行程度の、ドイツ語圏のさまざまな文化についてのテクストを収録しました。

目次からの抜粋ですが

Lektion 2 ドイツ語圏の地理

Lektion 3 食べ物・スイーツ

Lektion 4 産業

Lektion 5 旅行

・・・

など、さまざまなテーマを取り上げています。

今回とりわけ難しかったのは、読解教材の文章を書くことでした。

ドイツ語論文を大量生産しているような研究者ではない私は、そもそもドイツ語の文章を書くのが苦手です。もちろん授業で教えるような簡単なドイツ語作文であれば、さらさら書けるのですが、今回は会話文ではなく、読み物を書かなければならないので、とても難しく感じました。

同業者のみなさんは、手元にある他の先生方の教科書を見てもらいたいのですが、多くの教科書で、読解教材は複数の登場人物による会話文になっているはずです。

よくあるパターンとしては、日本人留学生のA子とドイツ人学生ダニエルとの会話で、ドイツの食文化や生活文化、歴史などが紹介されるような文章です。

一方、「ドイツの地理的、言語的特徴はこれこれこのような点である…」といった文章や、「ドイツの教育制度とは…」、「ドイツのスポーツの歴史は…」という論説文ふうの文章は、おそらくかなり難易度の高い中・上級向けの教科書に収録されることがほとんどです。

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たとえば私が三年生クラスで使っていたこちらの教科書は、各課に1ページ以上の長く、読み応えのある文章が収録されています。

私たちの教科書は、週1コマで二年目の学生が対象なので、難易度は当然抑えて、かつ長さも10行程度(1ページの3分の1から半分程度)にしなければなりませんでした。

共著者とは半分ずつ担当を分け、それぞれ読解教材を書きましたが、難易度として適切かどうか、やはりいまだ自信が持てません。もっと簡単な内容にしたらよかったのではないかとはいまも少し思います。

 

共著だからできた

非常に困難な執筆作業でしたが、今回何よりもありがたかったのは、共著者がいたことでした。

ドイツ語学(スイスドイツ語研究)を専門とする大喜先生が教科書作成に加わってくださったことで、私の負担は前著の半分以下になりました。

作業の分担としては、文法解説を大喜先生、練習問題を私、読解は半分ずつで、4ページ目の応用的な練習も半分ずつ問題を作っています。

単純に作業を分担できるだけでなく、うまく進まないとき、迷いがあるときなどに気軽に相談できる仲間がいることがどれだけありがたいかようやく分かりました。単著だと誰に気兼ねなく、自分で構成や内容を決めることができます。それはもちろん気楽なことですが、出版後に多くの先生方に使用してもらって、現場からのご意見・ご批判にさらされることになる教科書の場合は、やはり執筆時から複数の人間が関わっていたほうがいいのではないかと思いました。

 

写真にこだわる

表紙や本文にも多くの写真を入れましたが、ほとんどは私がこれまでにドイツやオーストリア、スイス、ルクセンブルクなどで撮ってきた写真です。

各章のテクストにも関連する写真を入れています。

右の2枚は私が2014年にフランクフルトで撮った写真です。

ベルリンの写真は2019年夏の滞在時に撮りました。

この3年間はコロナのためまったく海外調査旅行ができず、新しい写真が撮れませんでしたが、これまでの教科書で使っていないお気に入りの写真などを表紙に載せてもらいました。

表紙と裏表紙です。

どこで撮った写真かはこちらに書いておきます。(拡大して見てください)。

表紙の一番大きい写真は、2019年冬に訪れたルクセンブルクです。

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とても寒かったけど、きれいな風景が撮れて本当に行ってよかったと思います。

 

読書猫の写真を撮る

今回の教科書は、読解教材が売りということで、タイトルにも「レーゼンlesen(読む)」を入れました。それに合わせて本を読むブルーちゃんの写真も表紙に入れてもらえました。ブルーちゃんがカバーを飾っています!

編集者さんから、猫も登場させたらどうかという提案をいただき、せっかくだからそれっぽい写真を撮ってみようかなと思い、本を読むブルーちゃんの「やらせ」写真を撮ることにしました。

これが表紙に採用されたもとの写真です。ほかにもたくさん撮っていました。

ひもを両手でつかんでがじがじ噛んでいます。

夜にテーブルで撮ってみましたが、興奮していて両目が真っ黒なのでボツにしました。

最初に読書しているところを撮ろうと思ってやってみたのがこの写真です。とても自然な雰囲気です。

読書は毎日の日課ニャ!というような賢そうな様子です。

自室の窓辺でも撮ってみました。ひもに夢中です。

じっくりページに目を走らせているように見えますが、視線の先にあるのはひもです。

 

じつはブルーちゃんの写真は一年生向けの『ミニマムドイツ語・ノイ』でも一枚使われています。この教科書を使っていた学生や先生が、二年目向けの『レーゼン』を手にして、ブルーちゃんが大きくなったことに気づいてほっこりしてもらえたらうれしいです。

2020年の8月末に撮っていました。

まだ家に来て一週間しか経っていないころです。いまと比べると本当に小さいです。

 

とりあえず冊子としての教科書は完成しましたが、まだまだやらなければならないことが残っています。

・練習問題の解答解説、補足問題など教授用資料の作成

・オンライン学習用の動画作成

これから春休みまでにこのあたりの仕事もこなしていかなければいけません。

 

仕事はまだ残っていますが、来学期に新しい教科書を使うのが楽しみです。

 

 

ドイツ近代文学講義のふりかえり

関西学院大学、ドイツ近代文学講義をふりかえる

非常勤の授業、ドイツ近代文学講義も3年目を迎えました。

じつは今年がはじめての対面での授業だった(一昨年は前期も後期もオンデマンド、昨年も春学期の一回目のみ対面で実施しましたが、その後一年間オンデマンドでした)ので、これまでとだいたい同じ内容を扱いながらも、授業資料を作り直したり、授業方法を見直したりとかなり時間をかけて毎週準備をしていました。

昨年も秋ごろにまとめを書いてみましたが、今年も変更点や気づいたことなどを書いておきたいと思います。

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昨年もほぼ同時期に書いていました。

1)対面授業でどのように講義をすればいいか

私は日頃少人数クラスでのドイツ語の授業をおもに担当しています。講義科目をどのように進めたらいいかというのは、私にとっては難しい問題です。語学のように決まった教科書はないし、専門の必修科目ではないので、必ず教えるべき内容もとくにありません。自分の得意分野で好きなように講義をすればいいと言われているので、これまでは、一年目はシュレーバーの『ある神経病者の回想録』の世界、二年目は狂気から読むドイツ近代文学というテーマを選びました。昨年度のテーマは、これまで19世紀末以降を中心的に勉強してきた私にとっても、新たに知ることが多く楽しかったので、今年も同じテーマに決めました。

対面授業でいちばん気がかりだったのは、授業時間を守らなければならないという点でした。オンデマンド動画による授業であれば、動画の時間が授業と同じ時間である必要はありません。なぜなら本来授業時間に含まれる、コメントカードを書いたり、質疑応答をしたり、課題に答えたりする時間もふくめての講義時間だと思っていたからです。

対面授業では、こちらが話題を提供し、学生がコメントを書いたり質問をしたりといったことを毎週100分の時間に合わせてやらなければいけません。とくに講義内容を100分で、というのはかなりむずかしく、昨年作った授業資料2回分を対面授業1回分にまとめるといったことも必要になりました。

講義方法については、iPadに入れた講義ノートをプロジェクタで写しながらひたすら読んでいき、難しいところは立ち止まってApple Pencilで加筆しながら解説するという方式をとりました。これについては以前書いた通りです。

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2)文学部なのだから、文学の話をしていいのだという気づき

今学期の授業で私がようやく気づいたのが、このことでした。毎週私はゲーテやロマン派のいろいろな作品について話していましたが、学生たちはいつも楽しそうに(もちろん退屈している学生もいたでしょう)、熱心に耳を傾けていました。学生たちが自分なりに熱心に講義を聞いていることは、毎週のコメントカードからもよくわかりました。

そんな学生たちの様子を見ていたら、文学部なのだし、文学の話ばかりしてかまわないんだな、という当たり前のことに気づきました。私も25年くらい前は彼らと同じように私立大学のドイツ文学専攻で学んでいましたが、いつもこんな現実離れした勉強ばかりしてていいのだろうかと不安を抱えていました。大学の勉強は楽しいけど、帰り道に新宿駅で乗り換えるときなどに、こんなことをしていていいのだろうかと不安になったりしたものでした。

卒論で東ドイツの現代文学を選んだのも、なるべく現実的な社会の問題(当時はユーゴスラビア紛争や歴史における記憶がアクチュアルな話題でした)に関係するようなことを研究しなければ「いけない」と思っていたからでした。

大学院を出て、ドイツ語を教えるようになってからは、ドイツ語やドイツ文化は近代化以降の日本を形作った基本となる学問だからと理由をつけて学生たちに教えていました。文学それ自体、そして文学研究の楽しさに正面から向き合うことをじつは私は自分から避けていたように思いました。

学生たちに講義をするうち、何かの役に立つようにとか、広い視野から世界を知るとか、そういったシラバスに書くような学習目標はひとまず置いておいて、文学作品がどうおもしろくて、どうわからないのか、どう難しいのかといったことに集中する講義でいいのだという開き直りのような心境にはじめてなることができました。

文学部の授業が文学を楽しまなくてどうするのでしょう。せっかくドイツ文学を専門とするクラスなのだから、ドイツ文学に熱中してかまわないのです。むしろ余計な価値観を持ち込むことは学生や専門の先生方に失礼です。

この当たり前のことに気づけただけでも、今学期授業をしてよかったと思いました。

 

3)今学期の講義内容

講義のテーマは2年前から同じで「狂気と近代ドイツ文化」です。(ちなみに最初の年は『シュレーバー回想録』の中心的な論点を紹介しました)。

昨年はゲーテ、ホフマン、クライスト、ビューヒナーを扱いましたが、今学期は内容をさらに増やしました。

 

  1. 講義の概要
  2. 狂気とは何か古代から近代までの狂気をめぐる言説
  3. 魔女狩り、ヒステリー、精神医学
  4. ゲーテ『リラ』
  5. ゲーテ『若きヴェルターの悩み』、『タウリス島のイフィゲーニエ』
  6. ゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、『親和力』、『ファウスト』
  7. ホフマン『砂男』、『廃屋』
  8. ホフマン『廃屋』つづき、『磁気催眠術師』、『悪魔の霊酒』
  9. ティーク『金髪のエックベルト』、『ルーネンベルク』
  10. ベンヤミン『カフカ論』、アイヒェンドルフ『秋の妖惑』、『大理石像』
  11. ノヴァーリス『青い花』
  12. クライスト『聖ツェツィーリエあるいは音楽の力』、『ハイルブロンのケートヒェン』
  13. ハイネ、ブレンターノ『ローレライ』、クライスト『ペンテジレーア』
  14. ビューヒナー『ヴォツェック』、『レンツ』

ゲーテからロマン派へと時代順に話していくつもりでしたが、途中順番を間違えて、ホフマンのあとにティークが出てきて、後期ロマン派のアイヒェンドルフの話をしたあと、やはりノヴァーリスも必要だと初期ロマン派に戻るなど、ややいきあたりばったりなところもありました。13回ではハイネを少しだけ取り上げましたが、これは学生からのコメントにヒントをもらったためでした。

ノヴァーリスの回のときは、このシャツを着ていきました。

4)狂気とは何なのか?

これらの作品を取り上げましたが、当然「狂気」という共通するテーマでテクストを選んだものの、狂気とはなにか?精神病もメランコリーも恋わずらいも同じ事象として並べていいのか?という疑問が生じます。

これは学生も書いていたことだし、私もはじめから気にしていたことでした。

しかし私は修士論文、博士論文をダニエル・パウル・シュレーバーをテーマに書いた経験から言いますが、狂気について考えようとすると、どうしてもそれ以外の話ばかりになってしまうのです。医学的な観点から病気の分類をすることが目的ではない場合、「狂気」や「狂い」といった主題は膨大な拡がりを持っていることがわかります。シュレーバーを読むさいにも、彼の妄想世界に登場する、神経や神、光線、宇宙における生存競争、魂の不滅といったモチーフから、神経解剖学、宗教学、光学、進化論、心霊主義などさまざまな方向へと思考を拡散させざるをえないのです。

 

5)学生たちはどんなレポートを書いたか

評価方法として中間レポートと期末レポートを課しました。いずれも力作ばかりで楽しく読むことができました。

中間レポートはまだ7回〜8回までしか進んでいない段階だったため、最初の方で扱った魔女狩りの歴史や、ゲーテの『若きヴェルター』、そして古代における狂気の治療といったテーマについて書いてくる学生が多く見られました。

期末レポートでは、この授業でとりあげた作家・作品から一つ選んで論じるという課題を設けました。

学生たちのレポートでの人気度は以下のような具合になりました。

(多い)

ゲーテ

ホフマン

クライスト

ハイネ

ビューヒナー

ノヴァーリス

ティーク

アイヒェンドルフ 

(少ない)

60人程度の履修者でどのくらいの数かは正確に集計していませんが、上位のゲーテ、ホフマン、クライストでだいたい7割、残り3割がその他の作家作品を選んでいました。残念ながらアイヒェンドルフはゼロでした。

授業での登場回数が多かった上位の3人はまあ順当といったところです。とくにホフマンは、昨年までおられた木野先生のご専門なので、授業で親しんでいた学生もいたことでしょう。

意外だったのは、授業の中の小見出し程度の扱いとして言及しただけのハイネがなぜか人気だったことでした。(『ローレライ』という有名な主題を取り上げたからかもしれません)。

また、難解なので授業で話したことがつたわっていないかもと心配していた、ビューヒナーやノヴァーリスをテーマに選んだ学生も少なからずいました。しかし逆に自分としては面白い話ができたと思っていたティークやアイヒェンドルフはあまり学生の関心を惹かなかったようです。このあたりは私自身がもう少ししっかり読み込まないといけないと思います。

 

さて、夏休みもあっという間に終わってしまってもう後期一回目の授業がはじまります。後期の講義、ドイツ文学特殊講義では、フロイトと『夢解釈』がテーマです。初期のフロイトがどのようにその思想を形成していったのかを、『失語論』から著作を紹介しながらたどっていきます。昨年の講義では、準備が間に合わず、結局『夢解釈』前半部分までで終わってしまいました。今年はどうなるか、ちょっと心配ですががんばりましょう。



 

 

 

 

 

 

出張で行くのに便利な大学はどこか?

 

久しぶりの東京出張

日本独文学会春季研究発表会とオーストリア文学会が対面で行われるため、二年半ぶりに東京に行ってきました。コロナ後はじめての東京、そして父の一周忌を2019年秋に行って以来の実家泊でした。

気づけば地元を離れて25年以上経っていますが駅の様子は何も変わっていません。

今回の会場校は立教大学。独文学会は毎年春は東京、秋は地方の大学を会場としており、東京では東大、早稲田、慶応、上智、明治、中央、学習院大、日大、東京外大、武蔵大、獨協大などドイツ語ドイツ文学専攻がある大学が持ち回りで開催しています。しかし会場校のスケジュールはいろいろな事情で変更もあるので、私はこの18年間で3回立教大学の学会に参加しています。

久しぶりの立教大学。便利でおしゃれなキャンパス。高校3年生の頃、最初の入試で落ちた大学です。

立教大学は池袋駅西口から近く、周辺には大きなデパート、劇場、公園、おしゃれなカフェなどが立ち並んでいるし、ビジネスホテルもたくさんあります。ここ最近、関西の主だった大学で、お昼を食べるのに便利なところはどこかと考える機会があった(これも近日中にブログにまとめます)のですが、久しぶりに東京の大学に来て、レベルの違いに打ちのめされました。

これまでに訪れたいろいろな大学の中で、どこが出張のときに便利だったか、またどこが不便だったかを思い出してみました。

今回はこれまでに出張で訪れた大学のなかで、どこが便利だったかを比較してみます。以下はあくまで私の印象です。東京在住の人が抱く便利さ、不便さとはまた違うことはご理解ください。

 

出張に便利な大学はここ!

立教大学 

東京駅から25分、山手線から徒歩10分です。周辺には飲食店が多数。宿泊施設も選び放題。百貨店もあるのでお土産も買えます。(ついでにいえば、栃木までの帰省にも便利です)。

上智大学 

東京駅から近く、ビジネス街なので飲食店もたくさんあります。宿泊は新宿駅周辺でいろいろ選べます。

明治大学 

御茶ノ水、明大前いずれも駅から近く東京駅、品川駅からの乗り換えも容易。周辺は学生街で飲食店はたくさんあり、宿泊施設も新宿、渋谷などいくらでも選べます。

東京大学 

本郷、駒場いずれも便利な場所、飲食店も多い。駒場ならば渋谷や新宿に泊まると近いでしょうが、本郷だと池袋周辺で宿泊となるのでしょうか。私の場合は東大本郷に行くなら、千代田線、東武線を乗り継いで実家泊です(1時間半かかりますが)。

学習院大学 

目白駅すぐとなり。宿泊は池袋、新宿どちらでも選べます。以前の出張時には、駅直結のホテルに泊まりました。

早稲田大学 

山手線の駅が遠いため、あまり便利じゃないかもと思っていましたが、東西線を使って東京駅から直行することは可能なのですね(自分ではこのルートで行ったことはありません)。飲食店、新宿周辺の宿泊も充実しています。

 

次点:良くもないが悪くもない

 

慶応義塾大学 

三田キャンパスは便利。日吉キャンパスは東横線の駅からすぐですが、新幹線からはやや遠い。飲食店は充実しているものの宿泊施設はあまり近所にありません。私は川崎市のどこかに泊まりました。

武蔵大学

池袋から数駅離れているので、次点としていますが、十分便利な場所です。駅から大学までの間にいろいろなお店があり、食べるところには不自由しません。宿泊はやはり池袋エリアで選ぶことになるでしょう。

日本大学文理学部 

明大和泉校舎の隣の駅ですが、駅から少し距離があり、渋谷からは乗り換えの必要があるためやや減点となりました。宿泊は新宿から西新宿あたりがちょうどいいでしょう。

明治学院大学 

品川駅からバス一本。妻がしばしば出張に出かける場所です。宿泊は品川周辺、飲食店もおしゃれで高い店は色々あるとのこと。私は一度も行ったことがありません。

 

ここはちょっと不便

東京工業大学(大岡山)

研究会で一度だけ行ったことがありましたが、大学周辺はきれいな住宅街であまりお店などはなく、当然宿泊施設もありませんでした。通勤通学にはいい場所なのでしょうが、出張となるといまいちです。

東京外国語大学 

私は移転前の北区西ヶ原キャンパスに一時期通っていましたが、移転後の府中キャンパスは二回出張で訪れています。立地が郊外であることはまだいいのですが、駅から遠く駅周辺には飲食店はありません。また宿泊施設も何駅か離れたところ(しかも乗り換えも必要です)にしかありません。私は京王八王子駅周辺のビジネスホテルに泊まりました。

麗澤大学

南柏の駅からしばらく歩いたところにありました。駅周辺はにぎわっていますが、柏まで来るのがやや不便でした。私は柏駅前に泊まりましたが、都内在住の人とは逆方向になってしまい(学会後、都内で飲み会をしていたので、もう一度柏に戻る必要がありました)少し困りました。

千葉大学 

東京に住んでいた頃から千葉の遠さにはときどき驚かされていました。また西千葉周辺には宿泊施設がないので千葉駅まで行くか、都内に戻るかしないといけません。

中央大学

多摩モノレールができたおかげで、私が学部生の頃に比べると格段に便利になっていますが、それでもやはり出張には不便です。10年前の学会の時は、橋本のホテルに2泊し、多摩センター駅前で飲みました。

 

関西ならばどこが便利だろうか

以前の記事にも書きましたが、関西の大学はほとんどすべて駅や市内中心部からは離れたところにあるので基本的には出張にも不便なところばかりです。中でも例外的に便利そうなところを挙げておきます。

京都大学 

京都駅からバス一本だが、バスは時間がかかりとても混雑します。慣れている私たちは、地下鉄で今出川駅まで移動してそこからタクシーに乗ります。宿泊は大学周辺にも旅館がいろいろあります。

同志社大学 

地下鉄と直結しているのでもう何も言うことはありません。

龍谷大学 

京都駅から地下鉄、JRですぐ来れるという利点がありますが、周辺に飲食店はほとんどないため、私は研究会などの際にはいつも京都駅でカレーかうどんを食べてから出かけていました。宿泊は京都駅周辺ならばたくさんあります。

大阪大学 

新大阪からはいったん梅田に出て阪急電車に乗り換える必要がありますが、30分以内に着くはずです。飛行機で伊丹空港に着く場合はタクシーやモノレールですぐ行けるのでとても便利です。

近畿大学 

いちおう新大阪から電車一本(+バス10分)で来れますが、電車の本数が少ないのであまり便利とは言えないかもしれません。周辺の飲食店はたくさんあるし、宿泊は上本町、鶴橋、なんばなど選択肢は多いはずです。

余談:タクシーは都会の大学でないと利用できない?

出張時に心強い味方となる移動手段がタクシーです。駅からタクシーで大学に向かうのはどこでも可能でしょうが、大学から駅に戻る際に、東大や京大では当たり前のように大学前にタクシーが並んでいますが、地方都市ではそうはいきません。近畿大学のような道路が狭い街にある大学ではタクシーは電話で呼ばないと乗れません。これは着任したばかりの頃にものすごく驚いたことでした。

 

YouTubeで白猫ドイツ語講座を始めました

新学期、授業動画を作らない日々

2020年から、相変わらずコロナ禍は続いていますが、大学のほうは徐々に平常に戻りつつあります。

昨年度後期は、講義科目のみオンデマンド、ドイツ語はすべて対面授業となっていましたが、今年は本務校と関西学院大学の講義科目も含めて、すべて対面授業に戻りました。昨日のブログでも書いたように、対面授業はやはり学生たちの反応がよく見えるし、リアルタイムなのでその場であれこれ工夫して授業を組み立てるのは、とても楽しいです。

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2020年に毎日毎日カメラの前で動画を撮り編集しYouTubeにアップロードしていた日々がなんだか遠い昔のことのようにすら思えます。

 

やはり動画はおもしろいし、YouTubeで配信してみたい

新学期に入ってから昨年までの授業を思い出すために、なんどか自分の授業動画を見返していました。関学の講義は、講義ノートをひたすら読んでしゃべるだけの自撮り動画ですが、ときどきブルーちゃんを登場させたり、あるいは勝手に撮影中に机に飛び乗ってくることもありました。

これまでの動画から、ブルーちゃんが登場する場面だけを集めてYouTubeで公開したいと考えていましたが、そんなことをわざわざやるくらいなら、新たに撮ったほうが早いと思えてきました。

毎回ブルーちゃんをカメラの前に連れてきて、いやがって逃げ出すところからドイツ語の学習法や基礎文法などの解説をする、そういう動画があってもいいのではないかと四月の後半ごろから考えていました。

また、同世代のドイツ語教員仲間である、川村和宏さんや馬場浩平さんが充実した内容のYouTube動画を公開していることも非常に刺激になりました。

 

白猫ドイツ語講座を始めました

4月末に新学期のバタバタした感じがだいたい落ち着いてきたので、動画の撮影を始めました。ドイツ語についてのYouTube動画といっても、私はすでに一年分の授業動画を作っているし、さらには教科書とセットの解説動画も作っています。

多くの先生方がやっているような、教科書の目次のように、文法事項をひとつずつ紹介していく形式ではなく、ちょっと知りたいことをわかりやすく説明するような動画を作ることにしました。

タイトルは「白猫ドイツ語講座」として、マスコットキャラクターのブルーちゃんを写真に入れました。ドイツ語講座をシリーズ化するにあたって、教科書通りでなくてもいいので、やりたいことをざっと箇条書きにしてみました。

サムネイル写真をかわいくするのもこだわりのポイントです。

これまで私がブログやYouTube動画で公開してきたもののなかで、それなりに好評だったのが、辞書や参考書の紹介です。

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まずはこのテーマについて新たに作り直すことにしました。

 

辞書の紹介シリーズ

第一本目の動画は、『中級者向け、独和辞典の選び方』にしました。ちょうど手元に辞書があったからです。初級者向け辞典は、研究室に本を置いていたので、第2回に回しました。さらに、3回目には『初級者に優しい独和辞典』や『ベーシッククラウン独和・和独辞典』など7冊のコンパクト版独和辞典を紹介しました。

youtu.be

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教科書とリンクしない、ちょっと調べたい時のためのドイツ語文法動画

辞書紹介シリーズのあとは、4回目にドイツ語のウムラウトの発音、5回目にはドイツ語の数字の読み方について解説動画を公開しています。

youtu.be

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私は先ほども書いたように、教科書の進度に必ずしも即していない動画配信を考えています。学生の皆さんは必ずしも授業で同じようなペースで学ぶわけではないし、このブログを読んでいるひとのように、趣味としてドイツ語を学んだり、現地でドイツ語を学んでいるという人もたくさんいます。そういう方々のために、ちょっと調べたい時に学習のヒントが得られるようなドイツ語解説動画を提供できればと思っております。

今後配信予定の内容です。

序数詞

形容詞の名詞化

間違いやすい発音

カタカナとドイツ語

ドイツ語圏の人の名前

不規則変化動詞の色々

所有冠詞と2格

接続詞と副文

などなど

日頃の授業で、もう少し説明が必要かな、こういうの苦手な学生が多いな、と思うような文法事項を紹介したいと思います。

 

独文学会でブース発表をします

最後に告知ですが、5月7日の午後に立教大学で日本独文学会研究発表会にて、ブース発表を行います。コロナ禍の2年間、私と同じようにYouTubeを使ってきた、川村和宏さんと共同で、この2年間で気づいたことや今後の展望などを、来聴者の皆さんと共に考えていければと思っております。

www.jgg.jp

 

研究室にフロアシートを貼ってみた

春の研究室リフォーム第3回

前回に引き続き、個人研究室リフォームの話です。これまでの経過はこちら。

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前回までに、作るべきものはすべて作りましたが、まだまだ完成にはいたっていません。私がこの部屋に移った五年前からじつはいちばん気になっていたのが床でした。

この研究室は古い法学部の教室(資料室?研究室?元は何があったのか私は詳しく知りません)を改装し、壁や床は新しくされていました。白く塗られた壁はいいのですが、灰色のつるつるした床材は汚れが目立ちやすく、またコーヒーをこぼした跡などが残りやすく、靴底や自転車のゴムタイヤなどの跡も残ってしまいます。さらに業者さんにワックス掛けをしてもらったさいにはごみや髪の毛などがワックスとともに固着してしまっていました。冬に部屋が寒い原因は床にあるらしいということで、他の部屋の先生は、床にタイルカーペットを並べている人もいました。

私の場合、寒さは電気ファンヒーターでカバーしていますが、とにかく汚れやすく、汚れがとれないというのががまんできないので、先日出窓に貼り付けたフロアシートを床にも貼ってみることにしました。

 

このヒーターは小さいのに暖まります。自宅でも同じものを愛用しています。

 

入念に計画を練る

フロアシートはこちらの商品を選びました。

裏面に強力な糊がついていて、しっかり固定できます。強力な接着力がありますが、めいっぱい引っ張れば(シート自体が破れると思いますが)剥がすこともできるので、おそらく原状回復も可能でしょう。

まずは引越しをしたときと同様に、部屋の寸法を細かく測ります。

フロアシートは幅が100cmとなっています。縦に(廊下から窓の向きに)並べて貼るとなると、部屋の幅が340cmくらいあるので、3枚半必要です。しかし部屋の半分以上は両側に奥行き35cmの本棚があるため、間の幅は270cmほど、つまりシート3枚で足りることになります。

しかしシート3枚だけでは、入り口周辺をカバーできません。細かい貼り残しも生じてしまいます。研究室で連日シミュレーションを繰り返し、配置を考えました。

マスキングテープなどがあればよかったのですが、見つからなかったので、床にホワイトボードマーカーで直接書き込んでいます。

何度も計算した結果、だいたい15~16mくらいのフロアシートがあれば部屋全体に貼ることができるとわかりました。ついでに自宅のトイレも改装したいと妻がいうので、さらに少し付け足して、楽天で18mのシートを注文しました。

dreamsticker.jp

シートは1m単位でカットしてもらえます。2m単位で買うこともできますが、割安なので、18mつながったものを選びました。前回出窓で使ったときには2mだけでしたが、今回はその9倍もあるので、梱包がどのくらいの大きさ、重さになるか心配でしたが、自宅に届いた荷物はそれほど大きくもなく、重さも10kg以下でした。

いつものように台車に乗せて研究室に搬入します。

 

困難をきわめた貼り付け作業

研究室の家具を廊下に出す必要があるだろうし、妻の手を借りたかったので、作業は日曜日に行いました。

はじめに先ほどの配置図にあるように、4枚の大きなシートを切り出しました。物があふれる私の部屋では到底5mものフロアシートを広げて切ることは不可能です。廊下に出て作業をしました。新学期前でほとんど人がいない日曜を選んで正解でした。

次に研究室の家具類を動かします。チェアやオットマン、サイドテーブル、スキャナ台など動かしやすいものは部屋の外に出し、ミーティングテーブルやワーキングデスクなど大きいものは、フロアシートを貼る位置に合わせて、室内の片側に寄せることにしました。私は小学生男子のように、机の中になんでも詰め込んでしまうので、デスクの引き出しがものすごく重く、そのまま持ち上げることはまったく不可能で、一つ一つの引き出しを外して移動しました。

途中経過。このように机を左側に寄せ、右側にシートを貼っていくという方法をとりました。

当初私は、出窓の床を貼ったときと同様に、一人でこの作業をするつもりでしたが、始めてみるとやはりもう一人補助役が必要だとわかりました。フロアシートは幅が1メートルあり、長さはそれぞれ4m〜5mあります。裏面の糊は強力なので、一人は貼り付ける係、もう一人はシートを広げる係と分担しないとまっすぐに貼り付けることは困難です。私が位置を合わせて、空気が入らないようにシートを貼り付け、妻は残っている部分を保持しつつ、剥離紙をはがしながら移動しました。この共同作業で、主立った部分を貼り付けることができました。

最後にデスクやテーブル、家具類を移動し、入り口周辺や、貼り残していた本棚の周辺など細かいところを貼っていき、だいたい2時間くらいで完成しました。

やっと完成です。

ところどころ空気が入ってしまっている箇所がありますが、カッターなどで気泡を抜いて踏みつけておけば問題ないでしょう。見た目も感触もとても良くしあがりました。

 

ちょうど作業を終えたときには夕飯の時間帯だったので、大学を出て、八尾のうどん屋さんで夕食をとりました。

おいしいうどんを食べて満足し、かなりくたびれたので、帰宅後すぐに寝てしまいました。

ちょうど春休みが終わり、今週末にはいよいよ新学期が始まります。私もDIYの季節を終え、新年度の仕事に取り組むことにします。

 

追記

翌週にふたたび出勤したさい、フロアシートからめきとかぱきとか音がする箇所がありました。気泡が入ってしまって、踏むたびに移動して音がでるわけです。スマホの保護シートのように、シートの切れ目まで気泡を移動するということは粘着力が強すぎて全く不可能です。そこで、カッターの先で極小の穴をあけ、空気を抜くという作業をしました。数ヶ所穴をあけて踏みつけると、まったく音は鳴らなくなりました。

 

それから、自宅のトイレに敷くため1.4m分切り出しておいたシートは、休日の午前中に貼り付けました。便器の部分をくりぬくために、新聞広告を並べて型紙を作り、シートを切り抜いて貼り付けました。

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便器周辺や入り口周辺はすこし形が複雑でしたが、はりつけ作業じたいはすぐにできました。

研究室の出窓リフォーム第2回

使い道がない出窓をリフォームしたい

今週のお題「デスクまわり」

三月初めに研究室の大掃除と改装を思い立ち、それまでは機密文書からゴミまで雑然と積み上げられていた出窓をきれいに片づけ、使いやすい棚を設置することにしました。はじめに、出窓部分に敷いてあったきたない床材の上に、楽天で買ったフロアシートを貼り付ける作業をしました。

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棚を作って出窓をふさごう

いつものように出窓の寸法を測って、iPadで設計図を書き、棚の部品をそろえました。

出窓は幅295cm、高さが127cm、床からの高さが80cmくらいです。幅60cm〜80cmくらいの棚をいくつか用途別に作ることにしました。左側は、以前から置いていたインクジェットプリンタを中心に、バンカーズボックスやレタートレーを奥行きのある棚に入れることにします。

窓はほぼ開ける機会はないので、棚でふさいでしまいます。棚の前には少しスペースがあるので、廃材を組み合わせてスタンディングデスクも作ることにしました。

左側はもともと自宅で使っていた背の低い棚を置いていたので、同様に文庫本などを入れられる書架にします。

さらに以前から不満があった、電気ケトルやコーヒーマシーンを置くためのサイドテーブルを新たに作り直すことにしました。

そして、洗面台横の使っていないスペースには、天井までの本棚を作ることにします。

このように、

  1. 出窓の棚3種類
  2. 出窓のスタンディングデスク
  3. お茶用テーブル
  4. 洗面台横の本棚

以上の6点を立て続けに作ることにしました。

経験的に理解していることですが、DIYというのは集中力というか勢いを必要とします。時間があるとき、気持ちが乗っているときなどに一気に作業を進めないとめんどくさくて何もできなくなります。

 

買い出しから搬入までがとてもたいへん

それまでの自宅でのDIYといちばん大きな違いが、研究室の場合は木材を買って、駐車場で下ろしたあと、研究室まで5分以上歩いて材料や道具を運び入れなければならないという点でした。今思うとやはりこの搬入作業がいちばん苦労しました。

今回は作るものが多いので、3回に分けて木材の買い出しと搬入をしました。

始めに出窓の棚、スタンディングデスク、テーブルを作るための材料をホームセンターで買い、店内でカットしてもらいました。木材は自宅ではなく、そのまま研究室に運び、空きスペースにブルーシートを広げ、塗装作業をしました。

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ふだん塗装は自宅のベランダで行いますが、とにかく木材の量が多いため、いったん自宅マンションに運び入れ、塗装が乾いたらまた運び出すというのが二度手間のように思えたからでした。しかしこの方法はやはり困難を伴いました。

切ったばかりの木材を何とか台車に積んで研究室に入れ、さっそく塗装にとりかかったのですが、塗料の匂いがひどく、すぐに気分が悪くなりました。私がいつも使っているワトコオイルは、比較的においは強くなく、ほとんどフロアワックスにちょっとだけ塗料臭が加わっている程度で、ベランダで塗るぶんにはにおいはまったく気になりません。しかし研究室のような密室では、やはり塗料臭が気になりました。休憩しながら大量の木材を二度塗りし、乾燥のため数日間放置しました。もしかしたら近隣の部屋の先生方は、私の部屋からの異臭に気づいていたかもしれません。

研究室での組立て作業の前に、もう一度ホームセンターに行き、4番目の洗面台横の本棚を作るため新たな木材を買っていました。今度は自宅ベランダで塗装までしました。ワトコオイルはちょっと値段が高い(1リットルで3千円くらい)のが気になり、ロックペイントのオイルステイン(こっちは1リットル2千円くらい)を使ってみました。

 

 

シンナー臭がかなり強いのですが、その分揮発性が高く、すぐに乾いていきます。ワトコオイルは最低でも2日くらいは置いておく必要があるのですが、ロックペイントのほうはだいたい一日で問題なく乾燥できました。

本棚の材料はベランダからマンションの駐車場、そして大学へと搬入しました。

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さらにもう一度、激しい雨が降っている日に本棚の材料を持っていきました。台車に本棚の棚板、そしてもう片方の手で柱となる2x6材を運ばなければならないので、傘はさせず、木をかついでずぶぬれになって出勤しました。まるで彼岸島のようでした。

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台車は大学院時代から愛用しているものです。台車の上にホームセンターで売ってるカゴを置いています。スーパーの買い物カゴより数倍頑丈なので、本や工具、木材などを運ぶのに重宝します。

 

 

試行錯誤しながら組み立てる

塗装を終え、すべての木材がそろったので、組立に取り掛かりました。

始めにインクジェットプリンタを入れる棚。1x8材を前後にくっつけた奥行き40cm弱の棚です。棚板は2枚だけなので、組立はすぐにできました。床の上で組み立てた棚をよいしょと持ち上げてて出窓に入れようとしたところ、入らないことがわかりました。高さは測っているし、5cmくらい余裕があるはずだと思っていたので驚きました。

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出窓と部屋の間にある敷居的なでっぱり。
よく確認してみると、出窓自体の高さは127cmくらいですが、部屋と出窓の間には敷居のようなでっぱりがあり、ここの高さは120cmくらいしかありません。それでは棚は通せません。最初から違和感を抱いていたこの敷居的なでっぱり(たぶんかつてはここに引き戸の窓があった痕跡なのだと思います)ですが、まさかこんな形で邪魔をされるとは思いませんでした。

仕方がないので、いったんでき上がった棚の、片側のねじをすべて外し、途中まで解体した状態で出窓へと持ち上げ、そこであらためて組み立て直しました。

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プリンタの棚ができました。棚そのものはやや不安定ですが、下にプリンタと台を入れるとぴったりと安定しました。

続いて出窓に入れる本棚も作りました。

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先ほども書いたように組み立ててから出窓に入れるというのは難しいので、出窓の上で組み立て作業をしました。ホームセンターで売っている2x材は歪みがあるものが多いのですが、とくに1x8や1x10のような幅が大きいものは反りやひびわれなども多くなります。今回も板が大きく反っていたため、棚板が真っ直ぐに接合できない箇所もありました。まあ、すべての失敗は「味」であると考えれば問題ないでしょう。

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縦の板の上にはつっぱり金具を入れましたが、そもそも板の長さを間違っていたようで、ネジを目一杯伸ばしても天井には届かずぐらぐらしてしまいます。逆転の発想で、天井と金具の間に2x材の切れ端を入れて、ネジで締め付けたところうまく安定しました。

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出窓の高さを利用したスタンディングデスクです。ちょうど高さ100cmくらいが作業をするのにちょうどいいそうなので、出窓の上に2x4材を2本並べ、その上に幅20cmの板を2枚並べて、40cmx90cmの机ができました。高さがちょうどよく、本棚に並べた辞書で調べ物をしたり、VAIOからプリンタで印刷したりするのに便利です。

出窓のリフォーム、ビフォーアフター

出窓のリフォームが完成したので、作業前と比較してみましょう。

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ビフォー

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アフター

うまく作れたサイドテーブル

今回作った中で、たぶん一番できがいいのが、こちらのテーブルです。1x10材を天板および脚にして、間に2x4材を3本入れて補強しています。

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このように、上の段にはコーヒーマシンと電気ケトル、下の段にはコーヒー、スープ、ミネラルウォーターなどを入れられます。

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本棚作成でトラブル発生

最後に洗面台横の本棚を作りました。

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床の上で組み立てを進め、最後に所定の位置へ移動しようとしたところでトラブル発生です。洗面台と干渉して、棚がつっかえてしまいました。仕方ないので、一番下の棚板のネジをはずし、棚を移動し、最後に金具を使って外した棚板を再度接合しました。

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このようにハードカバーの本がぴったり収まる棚ができました。

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流し台のすぐ横は水が跳ねるので、本はおかず、文房具やスパゲティ屋さんに持って行くタッパーなどを置いています。

この棚だけはすべてロックペイントのオイルステインで塗装しています。ワトコオイルを塗った他の棚と比べて、だいぶ色が濃いのがわかります。ワトコオイルの仕上がりも好きなのですが、ロックペイントの深い色も悪くないなと思います。

 

以上のようにこの二週間でたくさんの棚やテーブルを自作しました。雑然とした研究室が見違えたようにきれいになりました。

しかし、まだ終わりではありません。最後にもう一つ、研究室で気になっていた部分の改修を春休み中に行いたいと思っています。詳しくは次回。

エッセイを寄稿しました

同学社『ラテルネ』127号 2022年春にエッセイが掲載されました

昨年は、夏休みまでに論文を三本集中して書き、後半は翻訳や書評、エッセイなど短い原稿を書いていました。秋ごろ依頼をうけて、年末にかけて書いていたのが、ドイツ語教科書の同学社さんの機関誌『ラテルネ』のエッセイでした。

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『ラテルネ』は、毎年三冊刊行されており、ドイツ語教育関係者に配布されています。たぶん私も十年前にドイツ語を教え始めたころから講読するようになっていたかと思いますが、執筆を依頼されたのは初めてでした。お題は何も指定がなかったので、やはり私に期待されているのは、日ごろブログで書いているような軽めの読み物なのかなと思い、コロナ禍の2年間をどう過ごしたかについて書くことにしました。

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目次。大御所から若手まで、研究の話から授業や時事問題についての意見まで、いろいろな文章が並んでいます。

ある程度書いてから、バックナンバーに目を通す

大まかに下書きができたところで、やはり先行研究じゃないけどバックナンバーに目を通した方がよかろうとようやく気づいて、手元にあったもの数冊を見比べてみました。『ラテルネ』誌は、独文学会の全国大会に合わせて刊行されているので、開催地区の先生方が、○○支部が過去に全国大会を開催した頃の思い出を書いたり、大御所の先生が修行時代の思い出や恩師を回顧する、という感じのいわば「じじいっぽい」エッセイが多いように思いました。

二つのエッセイを書き、どっちがいいか選んだ

もう少し違う方向をということで、第二案として私もなにか思い出について書いて見た方がいいのではないかと考え始め、明大独文時代の授業のことや恩師のことばなど、思い出すことをさらさら書いてみました。これはこれでいいのではないかと思えたのですが、結局妻と相談して、コロナ禍での二年間についてのエッセイを同学社さんに送りました。私の修行時代の思い出については、それなりに面白くなりそうなので、またこのブログで書こうと思います。

エッセイ『猫とDIYとオンライン授業』

この雑誌は業界の人の目にしか触れないと思うので、写真を公開しておきます。

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読んでわかる通り、いつもブログに書くようなことしか書いていませんね。まあ、自分なりにこの二年間を振り返る良い機会になったかと思います。

 

 

東キャンパス周辺のどこでお昼を食べればいいのか?

 

対面授業が再開、お昼をどうする?

10月半ばから対面授業が再開されました。じつに一年半ぶりに、毎日出勤する生活にもどりました。最初は、好きなように過ごせるし、猫もなで放題な自宅勤務のほうがいいのに、と思っていましたが、一ヶ月たって、研究室で仕事をして、自転車で通勤するというのも悪くないと感じるようになりました。

毎日出勤するとなると、困るのがお昼ご飯をどこで食べるか、という問題です。大学教員が昼食に何を食べるか、というのはかなり以前からずっと考え続けていたテーマです。

(ランチをテーマにした過去記事)

schlossbaerental.hatenablog.com

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近鉄大阪線長瀬駅から、大学西門までは、日本有数の学生街ということで、学生向けのご飯屋さんがひしめいています。とりわけ、ラーメン屋、唐揚げ屋は星の数ほどあるといってもいいほどです。しかしその反面、中年であるわれわれ教員が、落ち着いて食事ができるお店は限られています。現在の場所に研究室が移転して2年ほどは、一番近い教職員食堂で毎日おいしい定食を食べていたのですが、場所が変わってすっかりダメになってしまいました。そんななかで、ようやく見つけたのが、立ち食いスパゲティのお店でした。安くて量が多いこのお店がすっかり気に入り、コロナ前はほぼ毎日、100均で買ったタッパーを持って、スパゲティを買っていました。

新任の先生のために私ができること

今年からドイツ語の新しい先生が着任されました。私にとっては、はじめての同じ言語の後輩です。(大学院の後輩でもあります)。新しく来た先生が、急に毎日出勤する生活が始まって、困っているかもしれないし、私が先輩として、大学近辺のごはん屋さんを教えてあげるというのはどうだろうか、と思い立ちました。

しかし、私がふだんいる西門の上の研究室と、新任の先生が来られた総合社会学部は、キャンパスの端と端、歩いて5分以上も離れています。せっかく私がスパゲティ屋さんを教えたところで、総合社会学部からスパゲティを買いに行くことはまずないでしょう。歩いて部屋に戻る間にカルボナーラはがちがちに固まってしまいます。

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スフィーダさんのスパゲティ。カルボナーラにソーセージをトッピング。早く食べないと固まるので注意。

それならばもっと近くでいいお店を、と思ったのですが、私は自分の研究室より西側のことは知っていても、総合社会学部などのある東キャンパス(通称Eキャンパス)側のことはほとんど何も知りません。あちら側にいる先生方は何をお昼に食べているのでしょうか。他の先生方に聞き取り調査をしてもよかったのですが、せっかくなので自力でおいしいお店を探し歩くことにしました。

以下、私が食べに行っておいしかったお店を紹介していきます。きっと教員だけでなく、学生の皆さんにとっても参考になるかと思います。

 

グーグルマップでお店を探し、食べに行く

グーグルマップで大学周辺を見てみると、私のいる本部キャンパスの西側、長瀬駅から大学までのまなびや通りには、たくさんのお店があります。(今回紹介するお店がすべて入るように大きさを調整したらとても小さな地図になってしまいました)

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一方で、法学部、文芸学部、経済学部、総合社会学部がある東キャンパス側には、ほとんどお店がありません。学内にはセブンイレブン、すき家などがありますが、お昼時にはかなり混雑するようです。

マップで探してみると、東キャンパスの裏の通り沿いには学生や教員向けのお店が何軒かあるので、まずはそちらに行ってみることにしました。

ひなた

運動部の練習場である記念会館やクラブセンターから一番近いため、スポーツ学生がたくさん来るお店です。店内でも食べることができますが、私が行ったときは、かなり大人数の運動部員が集まっていたようで、座る場所がなかったのでテイクアウトにしました。15分ほどまってお弁当を買い、研究室で食べました。

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ハンバーグとエビチリのお弁当を買ってきましたが、ご飯の量におどろきました。一方でおかずは付け合わせもふくめてすべておいしく、ほっとする味でした。

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タコシュー

ひなたに行く途中に見つけて、安さに衝撃を受けました。

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写真の看板にある通り、なんとお弁当が220円から(小サイズ)です。あまり安すぎるものは中年として警戒したほうがいいのでは、と思いながらもすごく気になったので、買いに来ました。

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焼肉丼弁当、サラダつきで480円でした。

多めのごはんに、甘辛い牛肉と唐揚げが盛りつけてあります。牛丼屋よりも手間のかかった牛丼という雰囲気で、とてもおいしく食べられました。何よりありがたいのは、サラダをつけられるという点です。

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後日、気に入ってもう一度、今度はスタから丼を買ってみました。牛肉、唐揚げに加え、卵が載っておりにんにく醤油のたれがかかっています。これまたおいしかったのですが、食べている途中で、45歳の大人が食べる弁当として適切だろうか、と少し疑いの気持ちが芽生えました。それでもやはりおいしいので、また買いに行くことになりそうです。

tabelog.com

酒処はしもと

こちらも東キャンパス裏のお店です。小さな食堂ですが、お店の前に掲げられたお品書きの雰囲気が良かったので入ってみました。

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こじんまりとしたお店です。

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秋だし、カキフライ定食を頼みましたが、バランスがよくおいしい定食でした。大学裏のお店でありながら、量で押してこない姿勢に好感がもてました。また、店内ではテレビが流れていましたが、NHKのニュースだったのも安心できました。

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居酒屋香楽

こちらも大学のすぐ北側のお店です。居酒屋ですが、ランチの営業もしています。ここはちゃんとした料理が出てくるおいしい店ということは知っていたのですが、数年前に、当時非常勤講師に来ていた妻がこの店で、他学部の先生方に招かれた酒席で泥酔し、うんざりしながら連れて帰ったことがあったので、何となく足を踏み入れづらいと感じていたのでした。*1お店の定食は文句なくおいしいし、値段も手ごろでした。おそらくこのお店は東キャンパスの先生方にとっては、教員食堂のようなものだろうと思います。

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あっという間に東キャンパス裏の食堂を回り終わってしまいました。しかし、ちょっと足を伸ばせばもっといろいろなお店があります。昼休み中に戻ってこれなくてもいいという前提で、1km以上離れたお店まで行ってみました。

大学から南に10分程度歩くと、金物団地という企業団地があります。工場や倉庫などが建ち並び、住んでいる人も働いている人も多く、大学周辺とは違う町が広がっています。このエリアにはいくつか食堂や喫茶店がありました。

食水苑

グーグルマップを見ると、おいしそうな焼肉弁当の写真がいくつも掲載されていたので、いってみました。本格的な焼き肉屋さんですが、お昼の定食もありました。

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私が頼んだのは、肉重です。うな重のような入れ物に、ぎっしりとご飯と焼肉が盛られていました。すごくおいしかったのですが、その日は車で出勤しており、6割ほどでもうお腹がいっぱいになりました。何とか完食しましたが、かなり量が多いので、体調を整えてから来る必要があると思いました。

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カブンス珈琲

焼き肉屋さんのすぐ前にあるお店で、蔦の絡まる昭和感強めの外観が気になり、後日食べに来ました。

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カレー、ピラフ、スパゲティなどの料理と、定食メニューがありました。私はハンバーグの日替わり定食を頼みました。

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ハンバーグも付け合わせも手作り感があり、おいしく食べられました。それから喫茶店なので、食後のコーヒーもついています。これは何よりありがたいと思いました。料理の種類が多いので、ここはぜひ通いたいです。

 

金物団地とは逆方向、大学の北側には近鉄奈良線の八戸ノ里駅があります。近鉄の駅まで行けばファミレスや居酒屋など多くのお店がありますが、徒歩で20分ほどかかります。駅まで行く途中に、非常勤講師だった10年前に、毎週楽しみに通ったお店があったことを思い出し、数年ぶりに食べに行きました。

 

たまごのちから

オムライス専門店で、いつも学生や付属校生でにぎわっています。おそらく昼休みは混雑するだろうと予想し、三時間目が始まるまで待って訪問したのですが、満席でした。しばらく待ってから着席し、鶏からオムライスを頼みました。多くのメニューがありますが、たぶん一番人気なのがとりからです。

ふんわりした大きなオムレツに、にんにく醤油のたれがかかっています。外に盛りつけられた唐揚げのほかに、さらにオムレツの中にも何個か唐揚げが入っています。普通盛りでも十分なボリュームです。

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このお店は、徒歩で食べに行き、また大学に戻るとなると少し遠いので、なかなか食べに行く機会がありませんでしたが、周辺の入り組んだ住宅街をのんびり散歩するつもりで歩くと、ちょうどいい腹ごなしになります。

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住宅街の酒屋さんの前で、のんびり過ごす太い猫がいました。

讃岐屋雅次郎

最後に、金物団地よりさらに南側の、八尾市に入ったところにあるうどん屋さんに行ってみました。ここは研究室からだと1.6kmくらい離れているため、自転車で行くのが適切なのでしょうが、いい天気なのでのんびり歩いて出かけました。

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八尾市に入ります。この周辺も幹線道路の周りは、昔からの住宅街で、狭い道の間にときどきびっくりするような豪邸が建っています。

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唐揚げ定食を頼みました。大きめの唐揚げに、かけうどんとご飯がつきます。ちょっと多いかと思いましたが、この日はすでに15kmの自転車通勤と1コマの対面授業を終えています。空腹だったので、どんどん食べられました。唐揚げもうどんもしっかり作ってあり、満足できました。

tabelog.com

食べログのページを見ると、ほかにもおいしそうなうどんがたくさんありました。ぜひ再訪したいと思います。

 

今回は以上のように8つのお店を回ってみました。これが新任の先生に役立つかどうかはわかりません(けっこう遠い店が多い)が、天気がいい日や、授業の合間の時間が長いときなどに、のんびり歩いてお昼を食べに行くのも楽しいものではないかと思います。

金物団地周辺にはまだまだ未開拓のお店もあるので、今後も継続的に食べに行く予定です。通りがかったお店が気になったので、次はこれらのお店を訪れてみたいです。

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「本日の日替わり、やきめし」という看板。気になる。

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お寿司屋さん。お昼の定食の種類が多い。

 

*1:ちなみに、このときの泥酔は、私が覚えている「妻の三大泥酔」のうちの一つに数えられます。他の二つについてもそのうちどこかで書くでしょう。

髪がふさふさになる

45歳、もう禿げるしかないのか?

男性がハゲを気にする、ハゲを馬鹿にされるというのは、昔からのことです。ところがじっさい自分が40代になってみると、昔ほど男性のハゲや老化を揶揄される機会はないように感じます。それはもちろん、人の外見を笑いものにするべきでないという美徳が一般的になってきたからであって、かつて苦しい思いをした人びとが、戦って勝ち得た結果に、私はただ乗りしているだけなのかもしれません。

ハゲはそれほど気にされなくなり、ハゲ人は生きやすくなったのですが、他人が優しくしてくれたところで、自分自身が禿げているという事実は変わりません。

ハゲ人にもいろいろな体質の違いがあります。私は、子供の頃から髪の毛が少なく、やわらかく、赤ちゃんや幼児のふわふわ髪のまま育ったような髪質です。小学校中学年から中学生までは、ずっと短髪でしたが、高校生になって、髪を伸ばし始めたころに、自分はまわりの友人たちとは違うのだとはじめて気づいたのでした。友人たちのように整髪料でまとめたり立たせたりといった髪型が、どれもこれも作れなかったのです。このころ薄毛であることを自覚し、禿げるべき運命を悟ったのでした。

それでも大学生ごろまでは、髪を伸ばしていました。浪人生のころは、顎の下くらいまでの長髪でしたし、大学に入ってからも耳が半分隠れるくらいの長さがふつうでした。

(↓二十歳のころ。無造作に伸ばしていました)

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30歳あたりから、去年までずっとベリーショートで通してきたので、あまりハゲが進行するプロセスを自覚してはいませんでした。なんとなくいつも髪が少なくて、なんとなくよりいっそうハゲつつあるのかな、とときどき思う程度でした。

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2010年末、パリにて。顔は若いが頭はすでに薄い。

もう40代半ばなのだし、このまま禿げていくのだ、つるつるになっていくのだ、そう思っていました。

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昨年10月末ごろ。ブルーちゃんはふさふさだが、私は禿げている。

そんな私にとっての大きな転機は、コロナ禍でのオンライン授業でした。

 

オンライン授業で自己の外見を客観視する

コロナ禍でのオンライン授業やオンライン会議は、多くの人にとって、自己の見た目や画面に映る自己を客観視する機会となったことでしょう。

多くの大学教員から、授業動画を作る際に、自分の声を聞き直すのが苦痛で、作業がなかなか進まないという声がしばしば聞かれました。これは私にはよくわかりませんでした。というのも子供の頃から、声については誉められたことしかなかったからです。

代わりに私にとって気になったのは頭髪でした。語学という科目の性質上、板書や教科書を読むためにiPadの画面にかがみ込むとき、前頭部がはっきりと映ってしまいます。(昨年は正面から一眼レフで自分を撮影し、同時にiPad上で板書をして、それを合成して授業動画にしていました。詳しくはこちら

正面から鏡で見るよりも、はるかに薄くなった髪を目の当たりにして、少し驚きました。

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昨年10月ごろの授業動画。おでこのうえ左側に無毛地帯が広がっています。

薬で生えるかもしれない

考えてみれば、以前にもシャンプーやヘアトニックで育毛できるかもと考えたことがありました。ちょうど銀閣寺のアパートに引っ越した頃(31歳)、ネットでみつけた「沖縄黒なまこ石鹸」を買って、しばらく頭を洗ってみました。亀の水槽のような、クセのあるにおいを我慢しながら使いましたが、発毛効果はとくにありませんでした。

それ以来あまりお金をかけた発毛のための努力はしてきませんでしたが、たまたま見ていたYouTubeチャンネルで、50代くらいの配信者さんが、しばらくやめていた薬を再開したら髪がふさふさに戻ったという話をしていました。たしかにスカスカだった前髪がふさふさになっています。本当に効果があるならやってみようかな、と軽い気持ちで私も飲んでみることにしました。

私が選んだのは、フィナロイドとミノキシジルのタブレットです。一ヶ月分で数千円なので、効果がないなら(あるいは副作用があれば)すぐやめればいいやと割り切って、ネットで注文しました。

 

徐々に前髪が充実してくる

薬の服用をはじめたのは2月くらいでした。私はじつはサプリメントが苦手で、これまでなんどか妻が勧めてくれたサプリを飲んで、腹痛をおこしたり、嘔吐したこともありました。今回も副作用が強く現れることを危惧していましたが、今のところ不快さや危険な副作用はとくにありません。

効果が現れるのに、それなりの期間が必要(数週間から半年くらい)ですが、だいたい一ヶ月くらいで、妻から前頭部が黒っぽくなってきたことを指摘されました。

私は一ヶ月半に一回散髪をして、だいぶ短い髪型にしているので、ちょっと見ただけではわかりませんが、上からみるとたしかにこれまで無毛地帯だったところが、少しずつ黒くなってきていました。

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今年5月ごろ。頭頂部の髪がしっかりしてきましたが、前頭部の不毛地帯はそのまま。

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6月ごろ。前髪はまだ薄いけど、頭頂部の毛量が増えているのがわかります。

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7月。夏休み前最後の回くらい。前髪が伸びてきました。不毛地帯も狭くなっています。

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9月。後期が始まった頃。全体的に黒々してきました。

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10月。対面授業が再開されたために、一部科目は研究室で授業動画を撮るようになりました。

このように経過を見てみると、頭頂部から徐々に前頭部へと髪が増えていったことが分かります。かつてはすかすかで床屋に行かなくても何も生えてこなかった前髪も、今はしっかり毛に覆われています。

 

もはやハゲではない

先日撮影した動画です。

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これは夜の8時くらいに自宅で撮影しています。朝・晩と自転車で2時間の通勤をこなし、ヘルメットをかぶって汗をかいてベタベタになっているはずですが、髪はこのとおりふんわりしています。以前ならちょっと汗をかいただけでぺたんこになってしまったのに、今はちょっとブラシで梳かすだけで、夜でもこの状態です。もはやハゲではない、そう言っていいでしょう。

 

目標はヘアドネーション

すっかりふさふさになった私の次の目標は、長く伸ばすことです。剛毛のみなさんにはわからないでしょうが、私のような髪質だと、長く伸ばしてもとくに困ることはありません。寝癖もつかないし、雨が降ってもさらさらです(梅雨時は汗をかいてべたつくでしょうが)。

このまま順調にふさふさでいてくれるのであれば、もっと長く伸ばしてみたいと思っています。しょせんは薬の効果ですから、永続的なものではないし、ふたたびハゲに戻ることもありうるでしょう。それならば、ハゲきる前の最後のチャレンジとして、ヘアドネーションできるくらいまで伸ばしてもいいかと考えています。(YouTubeで、美容師さんがヘアドネーション後のカットをする動画を見ています。みなさん50~60cmくらいまで伸ばしているようですが、切った後もある程度長さが必要だからですね。ほぼ丸刈りになってもいい私としては、もっと短くても大丈夫でしょう)。

 

私たちは日々、外見で判断され、見られ・評価されて生きている

この一年で私たちは、いやというほど自分の外見を見てきました。それまでだって鏡は見ていましたが、動画に写っているのは、自分とリニアに動く写像ではなく、録画された(外側から見られた)自分でした。

私たちはすでに、日々視線にさらされ、評価されて生きています。これまで中年男性ということで私はあまり意識していませんでしたが、顔をさらし、声を張って仕事をしている私たち教員など、まさに他者の視線にさらされることから逃れられない職業だといえるでしょう。

さらに考えてみれば、私たちは、見た目だけでなく、書いたものだって、客観的な評価にさらされているし、それが当然だと受け入れています。自分が書いたものが思わぬ評価を受けて落ち込むことがあるように、客観的に見た自分の外見や声が自分にとって受け入れ難いということは多々あるし、他人からひどい判断を下されることもあるわけです。

今回自分の薄毛に向き合い、薬を飲んで髪が生えるという経験を通し、人から見られる(自分の意識の外から見られた)自分について反省する機会が得られました。

ハゲ人にとって、少し生きやすい時代になったことはたしかでしょうが、一方で見た目や、人からどう見られるかということの重要性は高まっているようにも見えます。だれもが寛容であってほしいのはたしかですし、まわりが寛容でなくても、自分の姿形や生き方を大切にできる世の中であってほしいと強く望みます。ということで、私が落武者のような長髪になっても、こいつは自由を満喫しているのだなと思ってもらえたら幸いです。

備忘メモ:Excelの名簿からWordで宛名ラベルを作る方法

 

たまにしか使わない操作なので忘れてしまうこと

先日、昨年度までつとめていた学会の会計委員を引き継いだ若い先生から、ラベルの作り方がわからないというメールが来ました。ああ、それむずかしくてめんどくさいやつだよなと思い出したものの、どうしたらいいのか即座に答えられませんでした。

私の場合は、学会の会費請求や、研究発表会の案内などを、年に数回送付していましたが、そのたびにグーグル検索をして、Excelの操作方法をしらべて、ラベルを作っています。毎回おなじサイトを見て、自分が使っているMac版Excelと見比べて作業をしていますが、せっかくだからどこかに自分でまとめておけばいいのではないかと思ったので、こちらにスクリーンショットとともに、作業の流れをまとめておきます。

 

たまにしか使わないので忘れてしまっていることを自分でメモしておくシリーズの過去記事

schlossbaerental.hatenablog.com

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1)名簿を確認する

Excelに保存してある名簿を確認しましょう。

一番上の行に各項目のラベル(郵便番号、住所、氏名など)を着ける必要があります。また、あまりに項目が多すぎると、のちほどラベルに入れる項目を選ぶ過程で、Wordの動作が重くなったりすることがあるので、情報量の大きい名簿から、ラベルに入れる項目のみを抽出したファイルを作っておくのもいいでしょう。

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このように、一行目に、郵便番号、住所などのラベルを入れた名簿を用意します。

2)Wordを立ち上げ、差し込み文書、ラベルの作成を選択 

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このように、ラベルの種類を詳細設定する画面が開きます。

「オプション」から、ラベルの型番を入力します。たぶんホームセンターや文具店で手に入るたいていの型番は網羅しているはずです。

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3)宛先の選択から、使用する名簿のファイルを選ぶ

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既存のリストを使用を選ぶと、ファイルを選択する画面が開くので、先ほど用意した名簿のファイルを選びます。

4)ラベルに含める項目を選ぶ

名簿のなかで、ラベルに使う項目を選択します。

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フィールドのところで、ラベルの各項目が選べます。私の場合は、「ふりがな」以外の項目すべてを選びました。

 

5)ラベルに項目を反映させ、配置、敬称などを調整する

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先ほど選んだ項目を、順番に並べていきます。

一行目に郵便番号、改行して二行目に住所、一行開けて氏名を入れるようにしました。

このとき、気をつけたいのが、敬称をつけることです。「氏名」のうしろに「様」や「先生」などを入れる必要があるときは、この段階でつけておかなければなりません。私は以前、ラベル印刷のさいに「様」を入れ忘れてしまい、封筒に詰める作業をしている最中に、他の役員の先生方とすべて手書きで「様」を書き入れるという失態をおかしたことがありました。

 

6)複数ラベルに反映させ、プレビューを確認し、印刷へ

各項目の並べ方や敬称を入れたら、複数ラベルに反映させます。これですべて同じ項目が同じ配置でラベルに入るようになります。

結果のプレビューを押せば、名簿の内容が実際にどのように反映されるかが確認できます。

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最後に、「完了と差し込み」から、個々のドキュメントの編集を選ぶと、完成したラベルが新しいページに開かれます。

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この段階で、それぞれのラベルに加筆すべき内容(たとえば、学会費の請求額、滞納額など)の情報を入れていけばいいわけです。

このように、どのメニューからどう進めばいいかがわかってしまえば、別に難しくもない作業ですね。