春に書いた論文が出ました
7月末に出来上がった、『希土』第42号(希土同人社)に、春に書いた論文が掲載されました。
2015年に出版された、ドイツの小説„Der Fuchs und Dr. Shimamura"『狐と島邨博士』について、実在の人物島邨俊一の生涯と、小説に登場する島邨博士とを比べ、その生涯を決定づけた病とはどのようなものだったのか、そして作者ヴニケは、なぜ人物評伝ではなく、小説として島邨を描こうとしたのかということを考察しました。
雑誌『希土』は京大独文研究室出身の先生方が、論文・翻訳・エッセイなどを投稿する雑誌で、けっこう古くからあります。
私は京大独文出身ではありませんが、4年くらい前から会員として毎年刊行される論集を読んできました(ただ読んでいただけです)。しかしせっかく会員になっているのだから、何か論文を投稿したいと思っていたところ、ちょうど昨年夏に、ドイツ現代文学ゼミナールで、クリスティーネ・ヴニケの小説について発表(新刊紹介的なものでしたが)をしたので、もう少し加筆して投稿することにしました。
昨年9月に一旦発表していたとはいえ、内容的にはただ読んだだけ、程度だったので春休みから4月くらいまでかけて、全体を再読し、5月の連休ごろになんとか論文の形になるよう書き上げました。
あまり時間がなかったこともあり、もうすこし読み込めた部分もあったのではないかという後悔もありますが、この小説を見つけてから、ずっと自分が論文を書きたいと思い続けてきたので、今回急ごしらえながら、論文の形になってうれしいです。
『希土』はデザイナーの方に表紙だけでなく、中にも挿画が入ったきれいな誌面を作ってもらっています。狐憑きについての論文なので、狐のイラストが冒頭のページに載っています。このイラストも気に入っています。