ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

学生や教員はどこでお昼を食べればいいのか

 

学食や学生街を比較したい

新学期ということで、いまはどこもそうでしょうが、大学には学生たちがあふれています。昨年も確か四月の初めは対面授業を実施していたのですが、あっというまに緊急事態宣言が出て、オンライン授業に切り替わってしまいました。今年はもう4月から対面授業が再開となり、後期も一部の大講義科目をのぞき対面授業となっている大学が多いようです。

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今年の春に書いたように、東京都内の大学は駅が近く、ビジネス街と隣接しているところも多いため、定食屋やファストフード店はとても充実しています。

私も母校の明治大学に通っていた頃は、地方の大学がこんなに通勤やお昼ごはんのことで頭を悩ませなきゃならないものとは想像だにしていませんでした。

 

便利度と必ずしも相関しているわけではない

今回は関西のいくつかの大学をとりあげ、お昼を食べる(買う)お店が充実しているかどうかを、通学したり、授業をしに出かけたり、あるいは学会の際に訪問したときの印象をもとに比較していきます。

以前の記事で何度か書いているように、関西の大学は京都も大阪も兵庫もだいたい不便な場所にあります。駅から遠い、街から離れている、急坂の上にあるなどそれぞれ不便さの質は異なっていて、いろいろな大学があり、比較するのが楽しいです。

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以下で詳しく見ていきますが、興味深いのは関西の場合、東京の大学と違ってキャンパスが都会にあることが、必ずしも学生街が充実していることにはつながらないという点です

 

学食や学生街が充実している大学

1)京都大学

今出川通と東大路通りが交差する百万遍を中心に、鴨川左岸に広大なキャンパスがあり、周囲には食堂、レストラン、喫茶店、居酒屋がたくさんあります。学内にも各キャンパスごとに大きな食堂があります。私は修士課程に入ったばかりの頃は、吉田南キャンパスの学食でお昼を食べ、北部構内(理・農学部)の学食で夕飯を食べるのが習慣でした。学外は、出町柳から百万遍交差点、そして今出川通沿い、さらに吉田東通にも多くの食堂があります。

私が院生の頃から人気だった喫茶店、クラークハウスのお昼ごはんセットです。

2)同志社大学

今出川通および烏丸通周辺には、チャーミングチャーハン、天下一品ラーメン、ファミレスなど、京大と同様、京都の中心部に位置しているため、多くのお店があります。また、地下鉄駅と直結しているため、昼休みに地下鉄で移動して四条烏丸や京都駅でお昼を食べることも(そんなことする学生はいないでしょうが)じゅうぶん可能です。

(追記:10月1日)

記事を公開したところ、数名の同志社出身の方から、いうほどお店はないとのコメントをいただきました。たしかに百万遍や関大前に比べると学生向け食堂やファストフードの密度は低いかもしれませんが、ストリートビューで烏丸今出川交差点周辺を眺めた感じでは龍谷大学や関西学院大学とは明らかにレベルが違います。他の3大学には劣るかもしれませんが、やはりこのカテゴリが適当だと判断しました。

3)関西大学

学会の用事で年に一回程度訪問するだけなのであまり詳しくは知りませんが、関大前駅から大学正門前まで、ラーメン屋さんや居酒屋など学生向けのお店がたくさん並んでいます。

ラーメン屋さんにはよく行列ができています。

しっかりした麺がおいしいつけ麺。

 

4)近畿大学

ラーメン、唐揚げ、スタ丼。カロリー多めのお店が駅から大学までつづく約1kmの道に並んでいます。

大学西門前の通り。お昼は唐揚げ丼屋さんに行列ができます。

かつての人気店、キッチンカロリーにもときどき行っていました。

気に入っているのはスパゲティ屋さんのテイクアウトです。タッパーを持参して盛りつけてもらっています。

おしゃれカフェやパン屋さんは長続きせず、すぐに唐揚げ屋やラーメン屋に変わります。また、大学最寄りの長瀬駅以外に、河内小阪駅、八戸ノ里駅方向にも多くの飲食店があるし、大学南側の工業団地には働く人向けのお店も充実しています。

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キャンパスの東側および南側の飲食店については昨年秋に記事にしました。

 

 

飲食店はないわけではないが、少し離れている大学

5)龍谷大学

京阪、JR、地下鉄の駅がいずれも10分以内と近くたいへん便利な場所にある大学ですが、食べるところはあまりありません。ラーメン屋や中華料理店、喫茶店などがあるにはあるのですが、大学の規模には到底見合っていません。非常勤で教えていた頃はいつも売店で買って講師控室で食べていましたが、学生さんはどこで食べるのでしょう。

6)関西学院大学 

学内には学食やレストランや牛丼屋があり、正門前にはラーメン屋さんもありますが、これまた学生数に比べると明らかに足りません。多くの学生はコンビニで買っておいたパンやお弁当を教室で食べているようです。私はオンライン授業のころに、一度大学前のスパゲティ屋さんに行きましたが、とても美味しい店でした。

スパゲティのキッチンカー。ビールもあるようです。

こちらはクレープ屋さん

学食以外にもキッチンカーやスタバもありました。

7)神戸大学 (鶴甲第一キャンパス)

生協食堂はまあまあ充実しています。コンビニもあります。私が教えに来ていたときは、授業は2時限目までだったものの、せっかくだからと毎週学内でお昼を食べて帰っていました。構内で売っている箱に入ったお弁当が気に入っていました。

学外のお店は少し離れているものの、阪急六甲やJR六甲道駅まで下りれば、商店街もあるしお店もたくさんあります。関西における不便な大学の代表格とされていますが、他の大学の人からは、ぜいたく言うなと怒られそうです。

8)甲南大学 

付近はいかにも神戸らしい高級住宅街であるため、駅前まで行かないとあまりお店はありません。しかし、高級なお店は多いので、教員の皆さんはきっとおいしいものを食べていることでしょう。非常勤で教えていた知人から、喫茶もんていにゅが美味しいと聞いたことがあります。お弁当は駅前のいかりスーパーで買えます。高級パン屋も駅前にいくつもあります。

9)京都精華大学 

学内の食堂のほかは、大学前に学食兼居酒屋があるのみです。私が働いていた10年くらい前は、夜は居酒屋としてコンパができたのですが、飲酒事故をきっかけに酒を出さなくなってしまいました。そのほか近隣のお店はおいしいパン屋さんが坂の下にありますが、それ以外はかなり離れています。

 

10)大阪大学(豊中キャンパス)

最寄り駅前には大きな商店街があり、いろいろなお店が充実していますが、大学とは急な坂で隔てられています。そのため朝大学に来て、お昼に坂を降りてごはんを食べてまた戻るのは難しそうです。友人知人が通っていますが、教員も学生もおおむね学食で食べているという印象です。

 

飲食店など皆無の大学

11)滋賀県立大学

専業非常勤講師時代に2年間お世話になっていた大学です。豊かな自然、まじめな学生たちと私にとっては本当に楽しい職場でした。しかし駅からは遠く離れていて、周辺は大きな病院と住宅がまばらにある以外、何もありません。お城や市街地から近い滋賀大学と違って、県立大の周りは琵琶湖が迫っていて多くの人が期待するような、「ザ・滋賀」が広がっています。私は毎週売店のお弁当しか食べていませんでしたが、学生や教員はどこでお昼を食べるのでしょう。

 

12)大阪教育大学

前回の不便な大学特集のときも取り上げた、大阪教育大学です。私は休日にキャンパス前の坂を登っただけなので、学部時代の4年間および非常勤で5年通勤していた妻の証言をまとめます。学内にはパン屋、喫茶店、学食などがあるほかは何もなく、学生たちは一つ離れた河内国分駅または八尾駅あたりに寄り道して帰ることが多かったそうです。

 

13)神戸薬科大学

妻の勤務先です。周辺は急斜面にはりつくように、おしゃれな住宅街が広がっていますが、お店は皆無です。最寄りのJR甲南山手駅の北口にあるこじんまりとしたコンビニ以外になにもないようです。女子学生が大半を占めるためか、生協のお弁当や学食のごはんはカロリー控えめで物足りないとのこと。少数派の男子学生がどこで食べているのか心配です。

 

まとめ

今回は関西周辺の大学でどこが飲食店が充実しているかを比較しました。飲食店が大学周辺にまったくない大学は、単科大学や公立大学など小規模な大学であることがわかります。あるいは新設の大学などもあまり学生向けのお店は多くないかもしれません。不便な大学探訪とともに、学生街の比較についても今後の街歩きのテーマとして取り組んでいきたいと思います。

追記:10月1日

記事をまとめてから気づいたのですが、そもそも学生や教員が2時間目の授業から3時間目の間に外に出てお昼を食べるという習慣がどれほどの大学にあるのでしょう。もしかしたら近畿大学や関西大学のように大学の敷地が飲食店街と近接している大学でないと、わざわざ外に出ないというのが普通かもしれません。