ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

妻のためにハンガーラックを作る

衣装持ちの妻、ハンガーラックが縁切り神社みたい!

妻は、今年の春から職場が変わったことをきっかけに、これまで以上におしゃれ道楽にのめりこみ、たくさん服を買っていました。(たぶん国内有数のエリート大学に移ってしまい、同僚や学生たちから自分がアホだと思われるかもしれないという恐怖から、服を買い、身につけることで不安を解消しようとしているのでしょう)。これまで使用していたのは、細いパイプでできた、存在感を主張しない北欧デザインふうのハンガーラックでした。

しかし、ここ最近の爆買いのため、もはや服を掛ける場所はなくなっているにもかかわらず、ハンガーラックの横棒だけでなく、ラックの上に積み重ねるように、服が載せてありました。私たちはいつも京都の縁切り神社のようだと言っていました。

rurubu.jp

写真にあるように、東山の安井金比羅宮は、もっさりとお札が積み重ねられた「縁切り縁結び碑」で知られています。こんな感じで、細いハンガーラックの上に、何重にも服が重なっていました。

写真に撮るなと言われていたのであまりちゃんと写っているものがないのですが、これです。私とブルーちゃんのあいだにあるのが、大量の服が積み上げられた「縁切り神社」です。

ぐらぐらになって崩壊寸前

7月頃妻から、ハンガーラック(通称:縁切り神社)がぐらついているから見てほしいと頼まれました。

たしかにちょっと揺らすとラック全体がぐらぐらしてしまいます。その時は底部のネジが緩んでいたので、締め直してすぐにグラつきがなくなりました。

しかしそれから一ヶ月後、相変わらず大量の服を積み上げて使っていると、ある日重みに耐えかねて、ちょっと触った拍子にラックが倒れて服が飛び散ってしまいました。少し負担をかけすぎたとわかった妻は、ラックに掛ける服を減らしたものの、グラつきはより一層酷くなり、壁などによりかからせておかないとすぐに倒れてしまいます。

台風が近づいていますが、急いで新しいハンガーラックの作成を始めました。

 

材料は本棚とネコ防止柵を解体した端材

ちょうど先月から本棚を引っ越しし、新しい部屋に再組み立てする作業を続けていました。その際、天井の高さが合わない等で移設できなかった棚もありました。

また、三年前にブルーちゃんが調理中にキッチンにあがることを心配して作ったネコ防止柵ですが、もう3歳になってすっかり落ち着いて、柵は不要だと判断して、今月に入ってから解体していました。

schlossbaerental.hatenablog.com

まだ生後4ヶ月くらいのいたずらっ子だったブルーちゃんが写っています。

 

これらの端材をうまく組み合わせて、ハンガーラックの設計図を考えました。

 

長さが足りない材を継いで長くする

ロングコートをかけられる長さということで、全体の高さを155cm程度に設定しました。

しかし柱として使えそうな2x4材は一本しかありません。そこで先日本棚を作ったときの余った90cmくらいの材とネコ防止柵のあまった材を組み合わせ、145cmの材を作ることにしました。

youtu.be

いつも参考にしているDIY mottoチャンネルさんの動画です。腰掛け栓継ぎというのは、材の半分の深さまで切り抜いた木材2つを互い違いにくっつけ、さらに棒で止めて補強するという技法です。

初めてやってみましたが、思っていたより難しくがたがたになりました。それでも強度は十分で、押したり引いたりしてもまったく不安はありません。

非常に手間がかかりますが、この方法を使えば、短めの材をつないで天井まで届く棚を作ったりできるでしょう。

 

マキタのマルチツールが大活躍

今回は本棚ではなく服を掛けるラックということで、これまで以上に木材の研磨には気を使いました。引っかかりがなく、すべすべに仕上げなければということで、何度もサンディングをしましたが、その際、大いに役立ったのが、先日本棚の側板を切り抜くのに使ったマキタのマルチツールです。

schlossbaerental.hatenablog.com

 

 

マルチツールというだけにとても多機能で、今回はサンドペーパーをくっつけて木材をきれいに磨くのに使いました。オービタルサンダーは以前から使っていましたが、マルチツールのほうが手軽(コードレスなのでそれなりに重たいのですが)なので、今回かなり活躍しました。購入時にサンドペーパーが3種類(60、120、240各2枚ずつ)付属していたのですが、色んな種類を買い足して使いたいと思っています。

 

純正品でなければ、いろいろな種類が入っているものが安く買えます。

オイルステイン+ブライワックスでつやつやに

今回はさまざまな端材を組み合わせて作ったので、ただ組み合わせるだけでは色がばらばらになってしまいます。(未塗装でも新品の材は真っ白ですが、部屋で使っていた材は日焼けして濃い色になっています)。

ハンガーと洋服を掛けるため、本棚以上になめらかに仕上げる必要があります(服がささくれに引っかかったりしたら大変です)。いろいろ調べて、今回はオイルステインとブライワックスの重ね塗りをしてみました。

 

ワトコオイルもそうですが、ブライワックスも以前よりだいぶ高くなりました。

 

オイルステインはカンペハピオのメイプルを使用しています。この塗料も初めて使いましたが、かなり乾きが速く、その反面強烈な塗料臭がします。

 

小一時間たって、塗装がある程度乾いてから、ブライワックスをスポンジで塗りました。以前使ったヴィンテージワックスと比べてかなり粘土が高くよく伸びるので塗りやすかったです。

その後タワシで擦ってワックスを定着させ、最後に布で磨きます。

ほんとうに艶が出るのか半信半疑でしたが、たしかにテカテカになりました。

普段使っているワトコオイルのナチュラルに比べだいぶ濃い色になっています。使い込まれた家具や昔の電車の床板(子供の頃東武日光線はまだ木の床でした)のようです。

 

完成

塗装後台座部分とラック部分をポケットホールスクリューでがっちりと接合し、無事完成しました。

ハンガーをかける丸棒はかつて手打ちうどんにはまっていたころに使っていたのし棒です。このところ活躍の機会がなかったので思い切って再利用しました。

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腰掛け栓継ぎをした部分は、ボンドとパテが表面に残っていたためきれいに色がのりませんでしたが、ツギハギ感はあまりなく仕上がっていると思います。

縁切り神社を形成していたコートやジャケットやシャツをさっそくかけてみましたが、これまでのふにゃふにゃ感とはまったくちがう安定性があります。

妻に見せたところ大満足だとのこと。おそらく今後も秋冬ものなど、新しく買って服を増やしていき、ふたたび縁切り神社になるかもしれません。