ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

秘境の村に花火を見に行く

奈良県の下の方って山ばかりだ

以前の日記でも書きましたが、私たちがイメージする奈良県(鹿がいて、近鉄が通ってて、田畑が広がってる)は、県全体の上の方三分の一くらいです。大阪や京都から見て南の方だと思われがちな橿原神宮や明日香村だってまだ半分より北にあります。

2年前の春に、花見に出かけたのが、奈良県十津川村の奥の方で、自宅からおよそ3時間半くらいかかりました。

schlossbaerental.hatenablog.com

十津川村は、奈良県南部へのメインルートである国道168号が通っていて、狭いながらもそれなりにしっかりした道があります。鉄道はないけど路線バスが通っています。しかし、その隣りにある野迫川(のせがわ)村は、国道が村の境界に通っているのみで、村内に入るためにはかなり細い奈良県道を通るルートしかありません。

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ローカル線紹介を中心とした交通系ユーチューバー、にっこーけんさんの動画を見て、はじめて野迫川村について知りました。本州で人口最少の村、バスは平日一日一本のみ、というとんでもない秘境です。

 

奈良県の秘境に花火を見にいってみよう!

せっかく自家用車があるのだから、一度くらい野迫川村に行ってみたいなと思ってちょっとしらべたところちょうど7月末に村のお祭りがありました。

www.vill.nosegawa.nara.jp

人口が300人ちょっとしかいない山奥の村でどんなふうに花火大会が行われるのか、すごく気になったので、妻とふたりで行ってみることにしました。

先に結論を書きますが、野迫川村は涼しくて景色もよくすばらしい村でした。そして花火もわざわざ大阪から出かける価値は間違いなくあったと思います。しかし、帰り道で思わぬアクシデントに遭遇し、やはり田舎は油断できないなと痛感しました。

 

高野山を超えて野迫川村へ

グーグルマップを見たところ、およそ2時間半くらいかかるらしいので、お昼を大阪で食べて1時頃から奈良へと向かいました。

高速道路を和泉市の奥の方で降りて、一般道で山を越え、和歌山県かつらぎ町に入ります。ここで道の駅に寄って休憩しました。

紀ノ川を渡って、高野山に登っていきます。去年夏に大阪から高野山にロードバイクで行こうとしましたが、和歌山に向かう途中でリタイヤしたことを思い出しました。今回初めて車で高野山を登ってみて、これはかなりたいへんだとやっと気づきました。

とくにはなさかドライブインから大門までの区間は、細かいカーブが連続しているうえ交通量も多く、ちょうどゲームで何度も走ったニュルブルクリングのようでした。

高野山の大門を通過し、さらに国道371号を進んでいくと、いよいよ野迫川村に入ります。

鶴姫公園手前で371号から「林道タイノハラ線」に入ります。ストリートビューでもわかるように、一気に道が細くなります。祭会場である「平維盛の里」への案内看板があったので、安心して進むことができました。

林道に入ってからは、かなり高い山の中を進むので、美しい景色が楽しめました。

林道を抜けると、祭会場ではなく、会場にいくための駐車場につきました。

Googleマップで事前にわかっていましたが、この村にはほとんど平地がありません。

わずかな平地であるオートキャンプ場は来場者用駐車場として使われ、ここから祭会場まではマイクロバス等で移動します。

会場内にはステージや屋台などが設置されていますが、広さは田舎の小学校くらいしかありません。平家の落人、平維盛を記念した歴史資料館などがある場所で、ふだんはほとんど人が来ることはなさそうな山の奥のちいさな広場でしかありません。しかしすでに午後5時くらいなのに、会場にはたくさんの人が集まっていました。私たちは、椅子と三脚を立て、屋台で買った食べ物を食べつつ、のんびりと日が暮れるのを待ちました。

これが維盛塚。おそらくこの方向に花火が上がるはずと見込んで、場所をとりました。



最初は日差しが強くてちょっと暑かったのですが、山に日が隠れると一気に涼しくなってきて、高原の夏の素晴らしさを実感しました。

夕暮れが近づくとどんどん人が増えてきました。名物のあまごの塩焼きやせせり焼きなどを食べました。

スマホはまったく繋がらないので、妻とスマホに保存してある自慢のブルーちゃん写真を見せ合いつつのんびりと花火の開始を待ちました。

予想外の近さに驚く

今回は三脚に2台のカメラを載せ、ソニーZV-E10で動画を、キャノンEOS R8で静止画を撮るつもりでした。

さて、花火が始まりそれぞれのカメラで撮影を始めました。

なんか予想してたよりもずっと近くて高い位置に花火が開きます。花火の大きさにも驚きました。

そして、事前に確認してきたはずなのに、カメラの設定をどこで変更すればいいかわからなくなりました。動画・静止画両方ともどうしてもオートフォーカスが働いてしまい、花火が上がる瞬間に画面がぼやけてしまいます。(カメラのメニューを開いて変更しないといけなかったと後になって気づきました)。

始まってしまえばまっくらだし、つぎつぎ花火は上がっていきます。もはや設定を変更するのは不可能です。結局R8で静止画を撮るのは諦め、こちらも動画を撮り続けました。


動画からフレームを切り出してみると、花火がどんな様子だったかある程度はわかります。しかしやはり動画の臨場感はすごいものです。

ということで以下がEOS R8で途中から撮った動画です。

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帰り道が大変だった

花火は8時半ごろに終わり、来た時と同様にシャトルバスで駐車場に帰るのですが、この待ち時間がとても長くて疲れました。立ったまま長い列に並び続け、およそ1時間くらいたった頃、ようやくマイクロバスに乗り駐車場に戻ることができました。

会場から駐車場まで歩ける距離ではないから、としかたなくバスを待ちましたが、あとで確認したところ2kmもない道だったので、子連れだったり荷物が多かったりしないかぎり、歩いたほうがよかっただろうと思いました。

駐車場について、すぐに来た道を引き返します。来る時はよく晴れていて、道はおっかないものの景色を楽しむことができましたが、帰り道は真っ暗です。前をゆく車を必死で追いかけて、事故に遭わないように山を抜けました。

高野山周辺で道を間違え、かつらぎ町ではなく橋本市へ向かう道に入ってしまったことに途中で気づきましたが、この道が来た時の道よりはるかに酷い道で本当にうんざりしました。

 

ミーのカー

ゆらゆら帝国の名曲「ミーのカー」をこの車でもよく聞いていました。

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山道を抜けて、そろそろ橋本の市街地に入るというところで、最悪のアクシデントが起きてしまいました。

カーブの先の路上にいた大きな猪と接触してしまいました。

それほど強い衝撃はなかったし、私も妻もまったく怪我はなかったのですが、車のほうは事故を知らせるセンサーが作動し、コールセンターに電話がつながりました。

混乱しながら近所のコンビニに車を停め、地元警察署の方々に事故状況を説明し、調書を作ってもらいました。

この時点で夜12時ごろだったため、ロードサービスを使うのではなく、自走で大阪に戻ることにしました。

自走で帰宅できたし、たいした故障ではないだろうと思っていたのですが、ボンネットが跳ね上がっているし、センサーは事故を検知しています。翌日にディーラーに持っていき、状況を確認してもらいました。

その後修理見積もりを出してもらったものの、修理代は高いし、修理したところで修復歴有りとなって売却時の価格が大幅に下がってしまうというディーラーさんの説明を聞き、あきらめて車を乗り換えることになりました。

気に入っていたアウディA5とこんなかたちでお別れすることになるとは本当に残念ですが、まあ、事故とはそういうものなのだなと勉強になりました。