自作棚に不可欠な転倒防止器具
先日もDIYでいくつも棚を作ったことを書きましたが、私が棚を作るさい、どうしても不可欠なのが、2x材や1x材を接合し、天井に固定する突っ張り金具です。これは突っ張り器具、アジャスター金具、転倒防止器具などいろいろな呼び名がありますが、とりあえずここでは突っ張り金具で統一します。
退去時に原状復帰しなければならない賃貸物件でも、壁や天井を傷つけずにDIYができるということでよく知られていますが、実は賃貸物件に限らず、自作本棚の場合は、柱となる木材を直立させ、まっすぐな棚を作り、さらに完成後の棚を安定させるものとして、突っ張り金具は必要なのです。
自作棚を固定する方法は、市販家具のように背板をつけたり、棚自体を壁にねじで固定するなどの方法があります。なかでもいちばん簡単で、かつ確実なのが、天井と棚との間に突っ張り金具をつけることです。
今回は、これまでに使用してきた金具類を比較し、それぞれどのような棚に適しているか、私の意見をまとめます。
2x4材専用のもの
まずは、2x4材専用の金具です。
手軽なディアウォール
プラスチック製の脚とバネが入った突っ張り金具から構成されています。ちょっとした棚や、私が使っているような猫侵入防止柵のように、あまり重量物を載せない、物を動かさない棚などには安心して使えるかと思います。
自作本棚で使うには、バネだけで突っ張るという仕組みがすこし不安です。また、材木をはめ込む形式のため、2x4材にしか対応できません。もうひとつデメリットとしては、脚の部分が深く、厚みもあるのでちょっとじゃまになります。おそらく固く分厚いプラスチックを使用することで強度を持たせているのでしょうが、その結果使いにくくなっていると言えます。
よりすっきりしたデザインのSタイプというのもあります。
この器具は以前作った猫ガードに使用しました。
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脚を支えるパーツが高さ5cmほどあって、そのままだと猫が通り抜けられるので、のこぎりで数センチ短くカットして使用しました。
この写真左側のように、キッチンとのあいだで食器などの出し入れができるようにドアをつけていましたが、ドアの開閉のように力がかかる動作をすると、ディアウォールの位置がずれてしまい、ほぼ実用はできませんでした。バネの力だけではやはり非力です。
二種類から選べるラブリコ2x4用
ラブリコアジャスター(ライト)こちらもプラスチック製で、ディアウォールと同様にバネ式の器具です。
もう一つは、2x4アジャスターです。
こちらはプラスチック製ですが、天井との間は、ネジでしめて固定します。そのためいったん組み立ててから増し締めが可能で、強度は充分です。プラスチックは薄く作られていますが、こちらもラブリコと同じで少し深さがあります。
この器具は、自室の2x4材の本棚で使用しています。
ネジは手でしめるだけなので、それほど強力ではありませんが、あまり大規模でない自作棚であれば十分支えられるはずです。
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また、キャットタワーにもこの金具を使っていました。
2x4以外にも使えるもの
自作本棚におすすめできるのは、断然こちらのカテゴリです。自宅や研究室の本棚は、おもに2x6、2x8、2x10材などを柱として使っています。
2x4専用よりも高価な物が多いのですが、金属製で安心感があります。
安さなら八幡ねじ
ねじや2x4材向けの金具類を作っている八幡ねじですが、こちらの金具は安いのでたくさん使いたい人にはお勧めです。
私も何度か買ったことがあります。金具の根元にバネが入っており、ゴムのついたねじを天井の高さに合わせ、ナットでしめつけるという仕組みです。
2x4アジャスター金具という商品名ですが、厚さが2x材であれば、幅はどのサイズでも使用できます。そのため、2x6や2x8を多用する自作棚に適しています。
欠点は、アジャスターと金具の間をナットでしめつけるという機構のため、高所だとやや締めつけにくいという点です。また、完成後の増し締めもしづらく、動きがある場所(物をかける、中のものをしばしば取り出すなど)ではやや不安があります。
11月に作ったバイクラックに最初この金具を使いましたが、数日後に倒れました。危ういということは分かっていたので、とくに被害はありませんでしたが、やはり重量物を引っかけ、頻繁に取り外すような場所には向いていません。
同様の機構(バネは入っていません)をそなえた、1x材用の金具もあります。危険なので、あまり高さのあるものには使用できませんが、ちょっとした棚であれば、しっかり保持できます。
先日作った棚です。板の長さを間違えたため、ねじの長さが足りず固定できませんでしたが、逆転の発想で、天井と金具の間に板きれを挟んでしっかり固定できました。
余談になりますが、八幡ねじのサイトにはシンプソン金具をつかった工作の例が多数紹介されていて参考になります。私が最初に作ったウッドベンチも、このページを参照しました。
高いけど安全なラブリコアイアン
わが家で一番多用しているのがこの金具です。
一番安くても1000円ほどですが、アマゾンでは1600円くらいします。しかし、高いだけのことはあり、使いやすく頑丈で安心感があります。
他のねじ式アジャスターと同様に、木材と天井の間に挟んでねじを締めつけるのですが、ラブリコアイアンの場合は、穴の空いた筒にドライバーなどを差し込み、回すことでねじを締めることができます。てこの原理でかなり強力に閉めることができるため、重い棚やバイクラックにも最適です。
また、どの金具を使う際にも完成後しばらくたってから、ねじを締め直すことは必要です。この金具の場合直接手が届かないような場所でも増し締めしやすいという利点があります。
2x4材を3本まとめたこちらの棚にも使用しました。
バネとねじ式のハイブリッド、ウォリスト
これも2x4だけでなくいろいろなサイズの木材に使えるつっぱり器具ですが、私はまだ使ったことがありません。
ラブリコや八幡ねじに比べてメカメカした外観がかっこいいですね。バネの力でつっぱるだけでなく、ねじで強さを調整することも可能だそうです。
ウォリストのページを見ると、2x材を束ねて使うための金具が各種そろっており、こちらの突っ張りジャッキにしても2x4以上の奥行きをもった工作を想定しているため、強度も十分でしょう。
値段は八幡ねじより高く、ラブリコアイアンよりは安いといったところです。
棚受け金具は何がいいのか?
以上、主立った突っ張り金具を比較しましたが、ついでに各社から出ている棚受け金具も比較してみます。私はこれまでほとんどの棚を、棚受け金具をつかって接合してきました。柱と棚板の接合は、ダボや棚受けレール、ねじで直接接合するなどさまざまな方法がありますが、強度と組み立てやすさを考えて、いつも金具をしようしてきました。(実際、金具を使うと打ち込むねじの数が増える、棚板の水平がずれたり隙間があいたりしやすくなる、金具代でコストがかさむなどのデメリットも少なくありません)。
使いやすいディアウォール棚受け
最初に作った本棚で使用して、その後もいくつかの棚で使ってきました。
プラスチック製ですが、頑丈で重さがかかっても変形しません。厚みはありますが、付属のねじを打ち込むと、ちょうどネジ穴にフィットするので、ねじが飛び出しません。
欠点としては、高いことです。1セットで400円以上ですが、棚板一枚分にしかなりません。天井までの本棚を作るとなると8〜10セット必要です。(上の写真の棚では20セットくらい使っています)。
木材を並べて使うならウォリスト
ウォリストの突っ張りジャッキは使ったことがないのですが、棚受け金具は以前2x4材を3本まとめた本棚を作ったさいに使用していました。
2x4材三本を柱にしているので、棚板は1x4材が三枚並びます。
棚板の1xまたは2x材を何枚並べるかで金具の種類が分かれています。板の奥行きとぴったりはまるようにできているので、非常に便利ですが、これもまた高いです。
なお、ウォリストからは木材の上下の端にくっつける、束ねる金具も出ています。これを使えば2x4材を複数ならべた奥行きのある棚が作れます。
手前側、木材の端についているのが束ねる金具。
安くて助かるシンプソン金具
いろいろな種類が出ているシンプソン金具ですが、こちらのアングルという金具は棚受けに最適です。一個100円程度でとても安いので、これまでにいろいろな棚で使用してきました。
薄い金属でできているため、力を入れると容易に変形してしまいますが、4つのネジ穴すべてにねじをうつとだいぶ強力に固定できます。
このように薄くて邪魔になりません。しかし金具と木材を接合するねじは、頭が丸い皿のような形なので、少し飛び出てしまいます。本をぎっしり詰め込みたい場合は、ねじの頭が本を傷つける心配があります(私はあんまり気にせずに使っています)。
この写真でも分かりますが、なぜか一番目立つところに値札のシールが貼ってあり、なかなかはがせないのが一番の欠点です。これはホームセンターのせいなのでしょうか?
もう少し強度があるシンプソン、ガゼットアングル金具
ガゼットアングルという、曲がった部分がすこし張り出した形状の金具です。通常のアングル金具よりも曲げる力に強く、重量物を載せる場所に適しています。私は本棚ではなく、キッチンの棚で使用しています。
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電子レンジを載せても、猫が飛び上がっても安心の強度です。
分厚いけど安い、ダイドーハントL型アングル金具
ホームセンターで見つけて、シンプソンのアングル金具より丈夫そうなので買ってみました。安心感はあるのですが、やはり本棚の金具としては厚みがあるのが気になります。
ねじは何がいいのか?
これで今回の記事はおしまい、とするつもりでしたが、途中で何度もねじについて言及していることに気づきました。最後にふだん使っているねじについてもまとめておきます。
棚づくりで使用するのは、基本的に二種類のねじです。
・金具と木材を接合するワッシャーねじ
・木材どうしを接合するコーススレッド
八幡ねじの「2x材と木」、「2x材と金具」
使いやすいので同じシリーズを愛用しています。木と木または木と金具、あるいは2x材、1x材と種類がいくつもでています。いずれも四角いネジ穴が特徴で、専用のドリルビットも付属しています。
パッケージも分かりやすく、一度開封してもジップロックで閉じられるし便利です。
65mmコーススレッド
2x材どうしを接合する場合は、ある程度長さが必要です。2x4の厚さが39mmなので、6cmくらいないとしっかり食い込みません。また、木材どうしの接合のときは、下穴を掘る必要もあります。
・下穴をドリルビットで開ける
・ねじを差し込みインパクトドライバーで打ち込む
この二段階の作業を行うわけです。ドリルビットを二種類使うことになるので、ドリルドライバーまたはインパクトドライバーは二台用意するといいでしょう。私はいつもマキタのインパクトドライバーを使っています。
ワッシャーねじ、16mmおよび25mm
これらは先に述べたように、木材と金具を接合するねじです。木材の厚さに合わせて、1x材であれば厚さが19mmなので、16mmを、2x材ならば25mmを使います。下穴は不要で、ドライバーをまっすぐ当てれば、ぎゅっと打ち込めます。
開け閉めできる箱がとても便利です。空き箱には他のねじを入れて整理するのに使えます。