ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

ぴったりズレない棚板!大入れ継ぎで本棚を作る

いつだって新たな方法に挑戦したい

自作本棚を始めてそろそろ3年になります。初期の頃から比べると、さまざまな技術や工具をつかって、いろいろなことができるようになりました。

棚の製作に必要な時間も大幅に短縮できるようになったし、以前のように失敗をすることも減ってきました。

今回は先日買ったトリマーを使って、側板に溝を彫りそこに棚板をはめ込むという「大入れ継ぎ」の方法で本棚を作ることにしました。

大入れ継ぎの簡単な図

このように側板に溝を彫って、場合によってはもう一つの木(棚板)のほうも加工して組み合わせるという仕組みです。

今回はこの方法を使って、机のとなりに高さ90cm、幅90cmの棚を作りました。

天板の上は本を取りあえずおいたり、猫が上ったりできるし、一番目の段は紙類や辞書、ノートPCなどを入れる狭い段にして、2〜4段目に本を入れる形にしました。

以下、組み立ての工程をふりかえります。

1)トリマーで側板に溝を彫る

1x6材を棚板にしたので、側板にはそれぞれ20ミリの溝を彫りました。決まった幅の溝を彫るための木の枠を作りました。

深さ1cmの溝を彫るのはけっこう骨が折れました。

2)木材のヤスリがけと面取り

側板の上部はトリマーで面取りをしました。溝掘りよりもずっと簡単です。ちょっと削っただけで木の角がなめらかになって気持ちいいです。

3)塗装

今回もいつもと同じ、ワトコオイルのナチュラルを塗りました。

4)組み立て

一番上の板、一番下の板を固定した後、間に入る三枚の板をはめ込みました。それぞれの木が少しずつ歪んでいるため、なかなかうまく入らず、当て木とハンマーでむりやり叩き込みました。かなり体力を要する工程でした。

5)仕上げ

ネジ穴を埋めたり、隙間にパテや接着剤を入れたりと仕上げをしました。

6)完成

デスク脇にちょうどいいサイズの本棚ができました。最上段は辞書やノートPC、紙類などを入れます。2段目以下はハードカバーが入る高さです。これまで置く場所がなかったゲーテ全集、フロイト全集を入れました。

机の側からも本を出し入れすることができます。

さっそくブルーちゃんもできあがりを確認しています。

大入れ継ぎのメリットデメリット、うまく仕上げるポイント

メリット

1)板がゆがんでいてもぴったり接合できる

2x4などのSPF材を使っていていつも悩まされるのが、木材のゆがみです。とくに大きな工作物だと歪みが大きすぎて棚板がはまらないことや、接合できても見てわかるほど位置がズレてしまうということもしばしばあります。

しかし大入れ継ぎの場合、棚板の位置はあらかじめ溝を彫って固定しているし、側板に溝があるため、棚板の長さにむらがあっても棚板と側板の間に隙間ができることはありません。

 

2)板を接合する際のズレがなくなる

また、私は初期の頃から棚受け金具を使って棚板を固定してきましたが、下穴を開け、コーススレッドを打ち込むさいに金具が滑って位置がずれてしまうということがときどきありました。大入れ継ぎの場合はそもそも棚板の位置が溝になっているので、ズレようがありません。

 

3)できあがりがかっこいい

今回作ってみて改めて思いましたが、やはり隙間なくぴったり組み立てられた棚は見ていて美しいものです。満足感が違います。



 

デメリット

1)トリマーの騒音と木くず、自作ジグも必要

前回書いたビスケット接合のときも驚きましたが、トリマーは私が持っている工作機械の中で一番うるさいし、一番木くずが飛び散ります。丸のこやインパクトドライバーの木くずや騒音などかわいいものだとすら思えます。そのためトリマーを使うときはそれなりに時間と場所を選び、すぐに掃除できるような準備も必要となります。

今回の棚を作る際には、5枚の棚板を挿すため深さ1cmの溝を彫りましたが、それだけで一時間以上かかりました。

また、溝を彫る際にもフリーハンドというわけには行かないので、余った木材でジグを作り、それを当てることでまっすぐに加工できました。

2)腕力も必要

コーススレッドによる接合と異なり、大入れ継ぎは組立てに腕力が必要です。今回の棚の場合は一番上の棚板と一番下の棚板を固定した後、間の3枚の板を横からはめ込みましたが、なかなか入らないので当て木をしてハンマーでガンガン叩いて何とか収めることができました。

 

気をつけるべきポイント

今回の作業で気をつけたことをいくつかまとめておきます。

  • 数ミリずつ掘削して徐々に溝を深くするトリマーで幅2cm、深さ1cmの溝を彫りましたが、一度に掘ることはできません。掘削する量が増えればそれだけ抵抗も増すし、トリマーの刃に負担が大きくなります。一回で3ミリ程度にとどめて数回に分けて掘るのが安全だとされています。
  • 一回溝を掘ったら、トリマーの刃の深さを変えて同じ場所を掘るようにします。クランプを外して場所を移動すると、再度溝を彫るときに位置がずれて、溝がガタガタになってしまいます。
  • 板をはめ込む際には当て木をしてハンマーでたたき込む。どうしてもはまらない場合はノミで板を削るあるいは板の端をハンマーでたたいて少し潰すなどの方法もあります。今回はそこまでする必要はありませんでした。
  • 溝と板の間に隙間ができてしまう箇所もあるので、接着剤で隙間を埋めるとがたつきが少なくなります。今回は組み立て(ハンマーで木を叩き込む作業)が大変だったため接着剤を塗り忘れてしまい、後から隙間に注入したのですが、組み立ててから接着剤を注入するのは難しいので、先に塗っておくべきでしょう。