約一年ぶりの京都
学会役員の会議のため、京都大学に行ってきました。ちょうど合格発表後の、入学手続きや下宿探しの時期なので、多くの新入生やその親御さんで、本部キャンパスは賑わっていました。
私が用があるのは、そっちじゃなくて吉田南校舎のはしっこなので、ひさしぶりにこの中庭を通り抜けました。
私が京大で非常勤講師をしていたのは、2013年度までだったし、その後は学会の用事や科研費の研究会など、ごく限られた用事の時以外まったく大学近辺にくる機会はありませんでした。立て看がなくなったことは知っていましたが、それ以外にも校舎が増えていたり、少しずつ変わってきていることを実感しました。
私は京都に14年間住んでいました。そのうちはじめの7年は北白川別当町付近、つぎに4年間銀閣寺道、結婚後に太秦の常盤に3年と、ほとんどの期間は白川通周辺ですごしていました。今回、お昼ご飯を食べるついでに、なつかしい北白川をぐるっと一周して、当時のいろいろな思い出が蘇ってきました。
お昼を食べるついでに、北白川を歩く
会議は2時半からだったのに、なぜか1時前に出町柳に到着していました。大学周辺でゆっくりお昼を食べようと思い、百万遍近辺のお店を探しましたが、どのお店も混んでいるようでした。
せっかく時間があるのだし、散策ついでに少し離れた場所でお昼を食べるのもいいかと思い、まずは東大路通を北上して、元田中方面へ向かいました。
御蔭通を東へ
田中里ノ前に古書店があったことを思い出し、ちょっとのぞいてみようとしましたが、シャッターが降りていました。(あとで移転していたとわかりました)
交差点から東に向かうと、御蔭通を北白川方面へ向かいます。ゆるやかな坂になっている御蔭通は、おそらく2011年に左京区を離れて以来初めてきたかもしれません。
京都の隠れ名所・田中神社では、卵形の「おみくじ」がひける! | 京都府 | LINEトラベルjp 旅行ガイド
↑孔雀の写真もあります。
北部キャンパス入り口付近のひらがな館は、京大周辺ではいちばんよく行ったかと思います。野菜をまいたロールカツが大好きでした。
シマムラ医院は私が論文を書いた、京都府立医大元教授の島村俊一とは関係がないようです。一度だけこの病院で診察を受けたことがありましたが、高熱が出ているのに歩けないのでバイクに乗ってきて、ふらふらになりながら帰ったのを覚えています。
北白川小倉町のバス停を越えると、疎水(琵琶湖疏水分線)が見えます。哲学の道からつづく流れに沿って、桜が植えられています。春にはこの桜並木をいつも眺めながら京大に通いました。
また、銀閣寺に引っ越してからですが、修士課程を終えて地元に帰るという後輩に、全自動洗濯機をもらったことがありました。ここから3kmほど離れた高野の後輩の家から、小さな台車に乗せて洗濯機を運んで帰りました。交通量が少ない道だから一人でも安心だろうと思っていたのですが、思いのほか坂の勾配がきつくて辛い思いをしました。
ひらがな館が健在でうれしかったのですが、もう一つ御蔭通で気に入っていた、太陽カフェはもう無くなっていました。かつてお店の入り口にはりっぱな桜の木が生えていましたが、根元から切られています。
お店は2年ほど前に閉店したそうです。また、二階には10年くらい前は居酒屋が入っていて、静かで安く飲めるお店だったので、非常に気に入っていました。
太陽カフェの正面にある、おしゃれな洋服屋さんは健在でした。このお店は、双子のおじさんふたりが経営していて、事情を知らずに来店すると、びっくりする(自分の応対をしていたはずのおじさんが、在庫を取りに行ったら違う服着て出てくる、みたいに)という面白いお店です。おじさんたちがいつも服を丁寧に説明してくれるので、ついついたくさん買ってしまうこともありました。
北白川別当町でお昼を食べる
御蔭通の坂道をしばらく登ると、白川通とぶつかる北白川別当町の交差点に出ます。この周辺が、まさに私が最初の7年を過ごした場所でした。
いまでも毎年開催される都道府県女子駅伝などでこの場所がテレビに映るのを楽しみにしていますが、引っ越し後この辺を訪れたのは初めてかもしれません。
知り合いの編集者の方がfbに紹介していた、喫茶ジュネスに入ってみました。
歩いてきてお腹が空いていたので、Aセットを選びました。魚フライ、ハンバーグとサラダです。ハンバーグの美味しさに驚きました。
別当町の交差点角にあるジュネスですが、住んでいた当時は、気にはなっていたのですが、一度も入ったことがありませんでした。こんなにいい店ならもっと早くくればよかったと思いました。
かつて住んでいたアパートは交差点から北東へ3分ほどのところですが、もう建物自体が無くなっている(取り壊しに伴って転居)ので、見に行くことはせず、白川通を南へ歩きました。
白川通を銀閣寺道へ
白川通は、一乗寺と並んでラーメンの有名店が多くありました。東龍、ますたになども人気でしたが、私が気に入って何度も来ていたのがあかつきでした。
岩が積んである壁に車がめり込んでいる特異な外観で知られる、サブカルの殿堂ガケ書房は、数年前に移転していました。いまやガケも車もなくなっていました。私が住み始めた当時はたしかこの建物はレストランか何かだったと思います。
志賀越道との交差点近くに、やたらきらきらした豪華な喫茶店ワールド・コーヒーがあります。私は何度かコーヒーを飲んだり、豆を買ったりしたことがありました。いつもたくさんのお客さんで賑わっています。
北白川のアパートは2007年夏に取り壊しになり、私は500mくらい大学に近い、銀閣寺道周辺に転居しました。この交差点は銀閣寺に近いこともあり、さまざまな方向へ向かうバスの拠点となっています。非常に便利で住みやすい場所でした。
ここから今出川通を下っていけば、京大まではすぐです。今回は、かつて住んでいた浄土寺西田町のアパートを見てみることにしました。
浄土寺西田町教会。簡素で落ち着いた雰囲気が気に入っていました。
毎週ごとの説教のタイトルが毛筆で書かれるのですが、非常に味のある字なので、よく写真に撮っていました。
銀閣寺貝という貝を中心とした居酒屋さんです。アパートから近かったのでいつも気になっていましたが、一度も入ることはありませんでした。
ここが4年間住んでいた、銀閣寺ハウスです。やや古い建物ですが、屋上が開放されていて、吉田山や大文字山を眺めることができたのが気に入っていました。また、すぐ隣にはケーキ屋のバイカルがあったのですが、いまは更地になっています。
吉田山を越える
かつて住んでいたアパートを見て、さてそろそろ京大に向かおうと思い、吉田山を越えていくことにしました。浄土寺からは、今出川通りに戻ると回り道になるし、最短距離なら吉田山だろうと思ったからです。
アパートから西側へ行くと、吉田山麓の坂道が始まります。急坂を登っていきます。
カフェ茂庵の脇を抜けると山道に出ます。吉田山ってこんなに山だったっけと少し不安になりました。
しばらくハイキングコースのような道を進むと、吉田神社に入ります。ここまでくれば安心です。たしか雪が残っている日にこの階段で転んだことがありました。
吉田神社前です。
神社の階段を降りると、もう京大正門の前に出ます。
最短距離だと思って吉田山を登って降りましたが、やはり今出川通から回り道したほうが、早くついただろうと思いました。そして同じような失敗を、院生時代にも何度もしたことを思い出しました。
久しぶりに京都に来て、かつてすごした北白川をじっくり歩いてみましたが、やはりいい街だったなあと実感しました。とはいえ、いまの大阪での暮らしに比べると、移動が不便だったり、人が多かったりといろいろ不都合も目立ちます。当時はアパートから京大までの範囲で、生活のほとんどの時間を過ごしていたから、不便さなどとくに気にしていなかったのかもしれません。ときどきこうやって懐かしい街を歩いて、昔何をしていたのか思い出すのは楽しいものです。