ティーアガルテンをジョギングで一周
最初にベルリンに滞在した98年の冬、空港からZoo駅を経由して市内に入った私は、エルンストロイタープラッツ周辺のホステルに泊まりました。そこで2日過ごした後で、フリードリヒシュトラーセにあったゲーテインスティテュートに行き、クロイツベルクの宿舎に移りました。
当時の私は、地下鉄やバスのような公共交通機関を使うと、せっかく訪れた街を見て回る機会を損ねてしまうと考え、できるかぎり徒歩で移動したいと思っていました。しかし、東西ベルリンの間にあるティーアガルテンは途方もなく広く、歩いても歩いてもブランデンブルク門に近づけず絶望的な気持ちになったことを覚えています。
今の自分だったらあれくらいの距離は走って移動できるのではと思い、早朝にジョギングしてみました。
最初にブランデンブルク門周辺からティーアガルテンに入ります。戦勝記念塔ジーゲスゾイレあたりで2.5kmくらい。『ベルリン天使の詩』に感動した20歳の私にとって、この像は憧れの場所でした。
ジーゲスゾイレから少し南側に進み、池とラントヴェーア運河の間を西へと向かいます。
Sバーンのティーアガルテン駅をすぎるとすぐ公園の出口です。公園を出てしばらく進むと工科大学、そしてエルンストロイタープラッツに着きます。ここで南へ向かいます。
工科大学のメンザには、語学学校で知り合った芸術家志望のお兄さんと何度も食べにきました。あんまり美味しくないけど、大学の雰囲気を感じられて楽しい場所でした。しばらく進むとベルリン西側の玄関口Zoo駅に着きます。駅前の雰囲気はまったく変わっていませんでした。ただ、テロがあったカイザー・ヴィルヘルム記念教会の周りは以前とは少し変わったように見えました。
ティーアガルテンに隣接した広い動物園にはたくさんの動物がいるようですが、いまだ訪問したことがありません。ここからさらに東に進み、フィルハーモニーの裏手を進むと、約一時間くらいで10.5km程度を走ってアパートに戻れました。
日本の感覚だと11月初めくらいの涼しさ(早朝だと13℃くらい)なので、とても快適に走れました。
グライスドライエックで美味しいビールを飲む
Stabiがあるポツダマープラッツから、南へすこし歩くと、幹線道路の間に広大な公園が広がっています。
この辺りは、ポツダマープラッツと同様、東西ベルリンの境界線があった場所ということもあり、90年代にはまだ何もない殺伐とした場所でした。現在では公園として整備されています。
Sバーン、Uバーンのグライスドライエック駅もかつては場末感溢れるおっかない場所だったと思うのですが、現在は集合住宅が立ち並び、ずいぶん明るい雰囲気になっていました。駅のすぐ前には醸造場兼ビアガーデンがありました。
ベルリンに到着した日の夜に、せっかくだしちゃんとしたビールが飲みたいと、グーグル検索して見つけました。やや寒い夜でしたが、たくさんの人が建物の中や野外でクラフトビールを飲んでいました。
ポロシャツの上にモンベルのアウトドアパーカーを羽織っただけでかなり寒かったのですが、野外でIPAとヴルストを楽しみました。
プレンツラウアーベルクから夕方の博物館島へ
20年前の私は、語学学校の授業が終わると、午後はエクスカーションプログラム(ベルリンの名所を回るツアーなどがいろいろ用意されていました)に参加したりはせず、一人でバスやトラムで市内をあちこち歩き回りました。ドイツ語があまりできないから人と一緒にいるのがいやだったというのもあるし、あとは単純に知らない場所を一人で歩くことが楽しかったからでした。
当時すごく気に入っていた場所をふと思い出し、夕方に地下鉄で行ってみることにしました。
Sバーン2号線のエバースヴァルダーシュトラーセ駅です。地下を走っていた列車はここで地上に出ます。
駅を降りるとにぎやかな交差点に出ます。
複雑に交差する車道と地下鉄、トラムも走るこの交差点が面白くてしばらく眺めていました。この交差点からシェーンハウザーアレーを歩くのが気に入っていました。古い劇場でタルコフスキーの映画を見たのを覚えています。
『世界ふれあい街歩き』にも取り上げられたカリーヴルストの名店がこの駅前にありました。
もう閉店間近でしたが、たくさんの人がまだ並んでいました。
『町歩き』の映像にも登場していたおかみさんはまだ健在で、たしかに美味しいヴルストでした。
ここからトラムに乗り、オラニエンブルガーシュトラーセへ行ってみました。この辺りも、20年前に毎日のように歩き回り、小さな劇場で映画を見たり、カフェでビールを飲んだりした場所でした。
日本でいうと京大の吉田寮のような場所だった、タヘレス。現在は改装工事中のようです。当時からなかば解体途中のようだった建物にギャラリーや映画館、カフェなどが入っていて、いつも若者たちで賑わっていました。私はこのビルの一室にある学校の教室のような劇場でクストリッツァの『アンダーグラウンド』を観ました。
オラニエンブルガーシュトラーセを進むと、ハッケシャーマークト駅前に出ます。このハッケシェヘーフェも20年前からある人気のスポットです。
カフェやレストラン、おみやげ屋さんなどが入っています。かつてはこの周辺のカフェにもよく来ていました。
駅前は土曜日の夕方ということもあり、たくさん人が集まって賑やかでした。
Sバーンの高架下にはおしゃれなお店がたくさんありました。この雰囲気、ちょうど今住んでいる福島にも近いかなと思いました。
シュプレー川に近づくと、芝生に座っている人がたくさんいるのが目に入りました。
「世界ふれあい街歩き」だったら、ここでテーマ曲が流れて番組が終わるところだなと思いながら写真を撮りました。
ちょうど川べりに出ると、ベルリン大聖堂とテレビ塔がよく見えました。
二人のおじさんがいい雰囲気です。
かつてはもうちょっと殺伐とした雰囲気だった、シュプレー川から博物館島への橋ですが、きれいに整備され、多くの人が集まっていました。
ゆっくり歩いてフリードリヒシュトラーセに戻ると、もうすっかり夜になっていました。
首下げ法で夕景を上手く撮る
今回の滞在時に、夕方の街をきれいに撮る方法をいろいろ工夫しました。光量が少ないからとISO値を上げると、どうしてもノイズの多い写真になってしまいます。かといって昼間のようにISO200で撮ると、シャッター速度が長すぎて手ブレします。
(シュプレー川周辺の様子。ほぼ真っ暗だったので、ISO3200で撮っています。少しざらついた感じになっています。)
そこで、カメラのストラップを首から下げてぴんと引っ張り、カメラをお腹の前あたりで固定します。そしてティルト液晶を傾けて画角を決めて撮ると手ブレせずにきれいに撮れます。
動いている人や車はブレるけど、建物がくっきり写るのが気に入っています。