ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

ミュンヘン2度目の夏、ブルネンめぐり(1)

ミュンヘンでの2度目の夏

今回は8月14日から22日まで滞在した、ミュンヘンの街を紹介します。

ミュンヘンには、すでに昨年2016年の8月後半にも一週間ほど滞在して、資料調査をしておりました。2回目の滞在なので、気候や街のつくりなどもだいたい把握できていたので、今回はいろいろスムーズに進みました。

 

これが正解なのか?ミュンヘンの一週間チケット

ベルリン、ウィーンなどドイツ語圏の大都市の場合、たいてい公共交通機関の一週間チケットや一ヶ月チケットというものが存在します。わりと長めの滞在の場合、観光客でもそういったチケットを買ったほうがお得です。

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(広くて清潔なミュンヘンの地下鉄)

しかし、ミュンヘンの市内交通については、とにかくシステムが複雑で、今回も何が正解なのかよくわかりませんでした。

たしかに、MVVのサイトを見ると、一日券や三日券、一週間チケットなどの紹介が出ています。一日券の場合、下の図の白い部分が乗り放題で、6.60ユーロです。

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この図がびっくりするほど細かくてみづらいのですが、要するにミュンヘン市とその周辺部分まで含む、運賃の概略図で、観光客が行くような場所はほぼ白い部分(Innenraum)だけでカバーできます。

三日券も同じ範囲で使えて、16.50ユーロとなっています。

しかし、一週間滞在する場合は、Tageskarteではなく、Isar Cardを選ぶことになります。イザールカードの場合は、一日券と異なり、さきほどの概略図のなかで、どのゾーンからどのゾーンへ移動するのか、行動範囲を選ぶ必要があります。

ゾーンというのが、ミュンヘンの運賃システムにおいて重要な概念です。概略図にあるように、市内は中心から1〜16のゾーンに分かれています。中心部から周辺部へとゾーンを区切る運賃体系は、ベルリンなど他の都市にもありますが、これほど細かく分かれているところはないように思います。自分がいるのがどのゾーンで、行動範囲がどこなのかを考えないといけないので、到着したばかりの観光客にとっては非常にわかりづらいです。

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(Innenraum=市内中心部路線図。ゾーン1から4に該当します)

しかし、実のところ市内中心部だけの移動であれば、ゾーン1から2で十分です。昨年訪れたBMW博物館があるOlympiazentrumが、ゾーン2の端っこにあたります。観光客が利用しそうなのはおそらくこの辺までです。

ということで、ゾーン2までの場合、イザールカード一週間の料金は、15.00ユーロです。あれ?先ほど紹介した三日券よりも安いことになります。三日券の場合は、Innenraum=ゾーン1から4まで利用できるので、そのぶん割高になるのでしょう。

結論としては、三日以上滞在し、かつほとんど市内中心部で過ごすというのであれば、イザールカード一週間券がお得ということなのでしょう。ともかくミュンヘン市内交通の料金はちょっとわかりにくいので、これが本当に正解なのかもあまり自信がありません。

 

今回の宿泊は、マックスフォアシュタット

前回は、アパートメントホテルに宿泊したかったので、中央駅から西に1kmほど離れた、ホテル街に泊まっていました。しかし今回は、同じアパートメントホテルは、かなり料金の高い部屋(一泊2万円近く)しか残っていなかったので、別の場所を探しました。

ミュンヘンは全般的に宿泊料金は高めで、アパートメントホテルもあまりありません。それならば、朝食込みで安くて、大学や図書館に近いところがいいと判断し、今回はアパートメントではなく、普通のホテルに宿泊していました。

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工科大のシンボル、時計台

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工科大正面玄関前。

今回泊まった、Hotel Königswacheは、ミュンヘン工科大学のすぐ隣で、ノイエ・ピナコテークからも近く、バイエルン州立図書館へもバスで10分くらいの好立地でした。

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Königswache(王の衛兵)という名前のホテルなので、館内の吹き抜けには、甲冑や武器が飾ってありました。

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緑が眩しいノイエ・ピナコテーク前の池。

なによりありがたかったのは、地下鉄の駅もスーパーマーケットも、コインランドリーもすべて徒歩5分圏内にあったことでした。

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明るく使いやすいコインランドリー。毎回思うことですが、洗濯に関しては、日本とはだいぶ考え方が違うので、洗濯機の使い方は未だによくわかりません。

 

レンバッハハウス美術館の噴水

ホテルから南に行くと、中央駅方面ですが、歩いて5分ほどのところに、レンバッハハウス美術館があります。以前から、黄色い建物と美しい庭園が気になっていた場所でした。今回はじめて中に入ってみました。

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レンバッハハウスは、画家、美術収集家のフランツ・フォン・レンバッハの邸宅を改装した美術館で、カンディンスキーやフランツ・マルクなど青騎士派の絵画をたくさん所蔵しています。

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建物内に、レンバッハのアトリエがまるごと保存されています。

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フランツ・マルクのトラの絵。

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カンディンスキー。抽象的で何が描かれているのかわかりませんが、実物を見ると、絵画としての迫力があります。

ここの収蔵作品で思わぬ収穫がありました。19世紀末のミュンヘンで、心霊主義にコミットしていた画家、アルベルト・フォン・ケラーの作品を見ることができました。ケラーは、1880年代にカール・デュ・プレルと親交を結び、交霊実験などに参加し、霊媒の動きを自らの作品において、女性の身振りに取り入れています。

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また、庭園の噴水も見事です。

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博物館を出たところには、ケーニヒ広場があります。

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広場の入り口には、アテネにあったアクロポリスへの入り口、プロピュライアを模した、大きな門があります。広場の中には、同じようなギリシア風の建物である、グリュプトテーク(古代彫刻美術館)があります。

この広場には、市民の憩いの場となっているようで、夕方を過ぎても多くの人が集まっていました。

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グリュプトテークの向かいには、ほとんど同じ形の建物の古代美術博物館があります。この大きな階段には、たくさん人が集まり、夕方のひと時を楽しんでいました。

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長くなったので、ヴィッテルスバッハブルネンや市内中心部の噴水については、次回紹介します。