ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

最近買った本と豊川堂の思い出

カテゴリーを新設

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先日の「論文の書き方」につづき、新しいカテゴリーとして、「買った本」というのを作りました。

本のレビューなどを書いてみたいと思いながら、ちゃんとした書評って書くの面倒だよな、とも思うので、とりあえずどんな本をいつ、何を考えて買ったのかということくらいでも書き残したらいいのではと、気づきました。

というわけで、たいして中身を読んでないものの、とりあえず興味を惹かれて買った本を紹介していきます。

先週買った新刊書がこちらです。

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

 

こちらの本は、東京まで新幹線で移動する時間で、読み終えました。

以前から私は昆虫には注目していて、昆虫食や害虫駆除、昆虫の生態などのテーマについて、いくつか一般向けの本を読んできました。この本の著者は、ファーブルにあこがれて、サバクトビバッタの生態を調査し、大規模な食害を防ぐための研究をしています。生物学や人類学などのフィールド系の話は夢があってとても楽しいのですが、とりわけ昆虫というのは人間からかけ離れているところがいちいち面白いです。

私が学位を取った京都大学人間・環境学研究科にも生物学の講座があり、昆虫を研究する研究室がありました。ある仕事(某私立高校に出前講義をする)で知り合った院生の女性は、東南アジアの森で50mくらいある大木に登ってコガネムシを捕まえる話をしていました。この本を読んで、そんな話を思い出しました。

本書には、著者のアフリカでの調査の苦労話が面白おかしく書かれているだけでなく、逆境の中で力強く生き残っていこうとする研究者の物語が綴られています。簡単にいうと、情熱大陸デイリーポータルZをあわせたような読後感でした。研究に携わる人みんなに読んでもらいたいと思いました。

 関西に移ってから、それほど満員電車で苦労することはなくなりました。この本でも冒頭に触れられていますが、関西圏の満員電車は乗車率130パーセントくらいがピークですし、混雑する時間帯もあっという間に過ぎます。

しかし、東京の満員電車問題はどうしたらいいのでしょうか。この辺のことを専門家がどう考えているのか知りたくて買いました。まだ冒頭のみ目を通しただけです。

 ドイツにも近いオランダ。日本の歴史とは密接な関係がありますが、オランダ自体の歴史はちゃんと理解してないかもと思い、読んでみることにしました。

霊長類 消えゆく森の番人 (岩波新書)

霊長類 消えゆく森の番人 (岩波新書)

 

 ゴリラやチンパンジーの写真がきれいだったので購入。

 

自然魔術 (講談社学術文庫)

自然魔術 (講談社学術文庫)

 

訳者の澤井繁男先生は、臓器移植について、自らも経験者としていくつかの著作を発表されています。ご専門のイタリアルネサンス期の神秘主義研究も非常に興味深いです。

 

 近代に流行った宇宙進化論に興味があるので、もっと古い宇宙論も知っておこうと思い購入しました。

 

20年前毎日通った豊川堂書店

5月27日・28日と下高井戸の日大文理学部で日本独文学会がありました。

下高井戸は、私が明大に通っていた頃に、3年半住んだ街でした。たぶん7年ほど前にも一度学会のついでに散策をしていました。今回は、研究発表が始まる2時間前くらいに到着していたので、当時通った古本屋に行き、アパートの近所の蕎麦屋でお昼を食べました。

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私のアパートは、下高井戸駅北口の商店街からすぐ通りを入ったところにありました。駅からは早歩きで2分程度しかかかりません。その駅とアパートの間にあったのが、豊川堂書店でした。店構えをみると、20年前と何も変わっていません。相変わらず営業しているのだということがわかっただけで感動してしまいましたが、さらに驚いたことに、店主のおじさんもそのままでした。

おじさんは当時50代くらいに見えたので、おそらく現在は70代半ばくらいかと思われます。以前はふっくらと丸っこい感じでしたが、さすがに少し小さくなったように見えます。せっかくの機会なので、本を買うついでにおじさんと話してみました。

私は、かつて明大生だった頃に、ほとんど毎日この店に来て、100円や200円の本ばかり買っていた。このお店があったからいろんなことを勉強することができたと言いました。まあ、20年も前のことだし、当時の私は何も話さずに本だけ買って帰る客だったので、おじさんは覚えていなかったようでしたが、嬉しそうに笑っておられました。

豊川堂書店は、店に入って左半分が、ベストセラーやミステリなど文芸書、右半分が人文・社会科学の学術書、中央の棚に岩波や講談社学術文庫が詰まっています。この本の置き方も当時と同じです。

ここでは、以前から読みたいと思っていたバローの『天空のパイ』と新書2冊を買いました。

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『飛行』恒川先生追悼号をいただく

28日の夕方に、オーストリア文学会が終わった後に、知人の先生に同人誌『飛行』第50号をいただきました。恒川隆男先生の追悼号でした。熊谷さんが持っていた方がいいよ、と言われて手渡されました。

この同人誌は、恒川先生と同世代の東大独文出身の方々が集まって、刊行を続けて来た本だそうです。巻頭に、小松英樹先生ほかによる、恒川先生の思い出が掲載されていました。どの先生の文章を読んでも、恒川先生らしいなあと思いました。私は学部時代四年間と大学院時代に現代文学ゼミで先生に教えを受けただけですが、それでも、今の自分自身にとって、こんな先生でありたいという、ひとつのモデルとしてあるのが恒川先生です。非常にありがたいことに、著作目録があるので、これから少しずつ先生が書かれたものを読んでみたいと思いました。