ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

夏の握り寿司練習

この夏も寿司を握った

もう夏が終わってしばらくたちますが、夏休みごろに集中的に寿司を握っていたので、これまでの寿司とどう違うのか、どのような変化があったのかをまとめておきます。

8月に握った寿司。地元栃木(栃木市岩舟町)の朝日栄といっしょにいただきました。

DIYとしての料理の楽しみ

DIYが大好きな私は、これまでにもふと思い立っていろいろな料理を作ってきました。

パンづくり

2007年に引っ越した銀閣寺道の家で、レシピを見て正解がわからない中、ベーグルを作っていました。

私は当時パン屋さんが立ち並ぶ京都の白川通に住んでいましたが、何が入っているかわからないパンが怖くてなかなかパン屋さんに入れず、当然ベーグルもネットでしか見たことがありませんでした。自分でパンを焼くようになり、ようやく恐怖心を克服してパン屋さんで買い物ができるようになりました。

うどんやパスタ

2021年夏ごろには、うどんやパスタなど麺類の自作にも挑戦しました。

schlossbaerental.hatenablog.com

また、このころから自分で寿司を握り始めています。

schlossbaerental.hatenablog.com

しかし結局パンやうどんはその後あまり作っていません。おもしろいしおいしいものができることは確実なのですが、どうしても時間がかかってしまうし、うどん作りは体力もいります。なんとなくおっくうに感じて作らなくなりました。

このときホームセンターで買ってきた手打ちうどん用の麺棒は、今年の夏にハンガーラックに生まれ変わりました。

ハンガーをかける棒はもとは麺棒でした

 

そして寿司だけが残った

DIY的な料理のなかで、結局にぎり寿司だけは継続的に作っています。

なぜにぎり寿司なのかというと、やはりご飯を炊いて握るだけという手軽さや、お米、酢、魚、道具など工夫したりこだわったりする楽しいポイントが多いこと、そして圧倒的に美味しいことが、続いている理由でしょう。

手軽さというと、寿司って難しいのでは、と思われるかもしれませんが、慣れてきたらだいたい10分程度で二人分の20貫を握ることは可能です。

 

材料はけっこうなんでもいける

一昨年、初めて作った頃は、寿司ねたは切り身(柵)から切り出さなければ美味しくないと思い込んでいましたが、最近はデパートやスーパーで買えるお作り盛り合わせセットもよく使っています。

柵はたしかに握り寿司に最適な大きさ・厚さに切って使うことができるのですが、反面同じ種類の寿司ばかりを作らなければならなくなります。我が家のような二人暮らしでは、余ってしまいます。

その点、お作り盛り合わせであれば、さまざまな魚が楽しめます。私は二人分だとだいたい18から20貫くらい作るので、同じ種類が2、3枚で6、7種類くらいが盛り合わせてあるセットを買っています。

甘エビ、あわび、ネギトロなど不定形なネタもありましたが、シャリの分量を調整すれば問題なく握れます。

 

わさびは鮫皮で下ろしたい

この夏に新たに試みたのが、生わさびです。これで本当に驚くほど味が変わりました。

生わさびは大阪でも中央卸売市場などで新鮮なものが買えるそうですが、早朝に出かけなければならないので、今は百貨店で買っています。

 

 

最初は日頃大根おろしにも使っている、陶器のおろし器を使って下ろしていましたが、このタイプのおろし器では色はきれいでも味がそれほど強く出ません。

ホームパーティで寿司を振る舞いました。この時は陶器のおろし器を使いましたが、若干辛みが弱く、小皿に追いわさびを足して、たっぷりつける必要がありました。

 

 

妻が楽天で注文した鮫皮おろしをさっそく使ってみました。

擦っているうちに自然と粘りが出てきます。目にしみるような強烈な辛み成分が出てきます。

たっぷりとつけて握ると、鼻に抜けるさわやかな辛みが楽しめます。これまで使っていたわさびとは全く別物で驚きました。

冷蔵庫に入れて使っていたチューブ入りわさびの成分表を見てみると、生わさびをでんぷんのりや油で練っていることがわかりました。揮発性の成分が抜けないように封じ込めているのでしょう。もちろんチューブ入りわさびの使いやすさを否定するつもりはありませんが、ひと手間でびっくりするおいしさになるのだと思えば、やはり生わさびと鮫皮おろしを使いたいですね。

 

米の種類もいろいろある

春から夏にかけては、ふるさと納税でもらった竜の瞳という米を使っていました。

この品種は粒が大きく甘みがあり、寿司酢との相性もちょうどいいと感じました。

秋以降は、以前から食べてみたかったミルキークイーンを使っていますが、この米はかなり粘り気が強く、おにぎりにはちょうどいいのですが、寿司だとちょっとベタつきが強すぎて、ぎっしりしたシャリになってしまいがちです。

もう少し慣れればちょうどいい水分量にしてうまく握れるようになるでしょうが、もしかしたらあまり握り寿司には向いていないかもしれません。

自作握り寿司なら、米の種類にもこだわることができます。

握り寿司のたのしみ

素人握り寿司の楽しさとは、職人さんごっこの楽しさかもしれないと思います。

本格的に修行をつんで、お客さんに出せる寿司を握れるようになるには、大変な修行が必要なことはいうまでもありません。それくらい寿司を一定の質で握り続けるのはたいへんです。

しかし一方で、本物にこだわらなければけっこう手軽にできる料理でもあります。

ご飯を炊いて、酢飯を作り、わさびをすって、握るというプロセス全体を考えても、やはりうどんやそば、カフェ飯などいろいろな料理に比べてもかなり短時間でできます。

またわさびや米、ネタの種類など自分であれこれ工夫できる点が自作握り寿司の魅力でしょう。

あまり高くないお刺身セットだって、きれいに握れば美味しい寿司になります。
このときは初めてミルキークイーンを握ってみました。シャリの密度が高く、すぐお腹いっぱいになりました。

 

海外で役にたつスキルなのか?

しばしば自作握りの話をすると、ドイツに行った時役立つスキルだね、と褒められますが、私自身はドイツで本格的な日本寿司を振る舞いたいなどとはあまり思いません。

想像すればわかることですが、酢や米は日本から持っていけるとしても、魚を用意するのがたいへんでしょうし、食べる人の好みもわからないと握れません。

ドイツのスーパーで売ってる寿司を食べてみると、いかに現地の人と日本人で味の好みがかけ離れているかよくわかります。

逆に私は、ドイツやヨーロッパの食材で、寿司に向いているものを探して新たな握り寿司を作ってみたいと思っています。ミュンヘンで食べた北海産燻製ウナギや、よくスーパーで売っているオイルサーディンや魚の酢漬けなども、ちょっと手を加えれば握り寿司になりそうです。日本よりもはるかに種類が多い肉料理だって寿司になるでしょう。

近いうちにドイツに長期滞在できればと考えているので、そのときにはいろいろな握り寿司に挑戦したいものです。