ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

オンライン授業とガジェット道楽

動画配信での授業がスタート!

4月に入ってから準備をはじめた、オンライン授業がいろいろ環境が整ってきて、連休明けから本格的に始まりました。私は教務的な仕事で、毎日毎日非常勤の先生方との連絡ばかりしていて、全く自分の授業準備が進んでいませんでした。

しかし、連休ごろから授業資料の動画を作り始め、なんとか第1週の開始には間に合いました。

私はもともと2006年からYouTubeのアカウントを取って、ケータイで撮った動画をアップロードしたりしていたので、動画作りに関心はありました。しかし、動画編集ソフトの操作がめんどくさくて(あとノートPCだとディスク容量が圧迫されるので)、いつの間にか動画作りはやめてしまいました。

授業準備をするにあたって、動画の作り方やGoogleクラスルームの使い方をYouTube動画にして、だんだんと動画作成にもなれてきました。

慣れてくると、もっといろいろできることを増やしたい、あれもやってみたいこれもやってみたいとあれこれ思いついてくるものです。

今回は、この数週間で作ってきた動画を振り返りながら、作り方の変遷そしてカメラやタブレットなどのガジェット趣味がいかに動画作成に役立っているかということをまとめます。

 

第一段階 Keynoteと画面録画

最初に自分の授業動画で採用したのは、KeynoteとiPadでの画面録画でした。動画の作り方の動画でも紹介した方法ですが、私の場合はKeynoteを使っています。Keynoteでスライドを作成した後、スライドショー を録画、その際に音声をつけています。画面録画では、Goodnotesに板書と同様にあれこれ書き出しながら話して録画します。(このスライドの途中で説明しています)

youtu.be

この方法で一週目の動画は作りました。スライドや画面録画を使う場合は、必要な説明はだいたい文字で書いてあるので、iMovieでの編集も最低限(私の場合はオープニングの動画やタイトル文字くらい)で済みます。

f:id:doukana:20200519224743p:plain

しかしいくつか気に入らない点がありました。一つは、第一週なのでいちおう自己紹介はしてるものの、どんな人物が教えているのかまったく分からないのはまずいのではないかという点でした。

 

第二段階 自撮り画像と画面録画

動画作成以前に私は写真も趣味にしていました。せっかく動画も撮れる高性能な一眼レフやミラーレス一眼を何台ももっているのだから、使わないという手はありません。そこでPanasonicG9や最近買ったばかり(動画を撮ることはほとんど考えずに選びました)のフジフィルムX-H1を使って、自分の話す様子を録画し、それを授業動画にしてみました。

f:id:doukana:20200510175305j:plain

パナソニックG9と奥にあるのが、フジX-H1。

f:id:doukana:20200519224431p:plain

関西学院大の授業(ドイツ近代文学講義)では、読んだ本をじっさいに見せながら紹介したので、この方法がちょうどいいと思いました

f:id:doukana:20200519224302p:plain

また、ドイツ語の授業では、画面録画で教科書に書込みながら説明する必要があるので、一眼レフでの自撮りと、画面録画を同時に動かしながら、2つの動画を収録し、編集時に両者をくっつけるという方法もやってみました。いっせーので、スタートボタンを押しているわけではないので、2つの動画のタイミングをそろえるのがけっこうむずかしいのですが、だいぶ臨場感のある映像になります。

f:id:doukana:20200519224150p:plain

課題の答えを解説しています。左ページにアップルペンシルで書いた文章、右に解説している私が写ります。

それから、一週目の途中で、課題を提出する際にPCやスマホでドイツ語を入力する方法を説明したほうがいいと気づき、そのための動画も作りました。こちらは、自撮り、画面録画、スマホのカメラなどいろいろな映像を組み合わせた形式になっています。

youtu.be

 

f:id:doukana:20200512163217j:plain

この動画の後半は、研究室で三脚なしで録画したので、本を積み上げた上にカメラを載せていました。

第三段階 ファイナルカットプロでもうちょっと滑らかな映像をつくる

ドイツ語入力の動画を作りながら、iMovieだと途中に入れる字幕の種類や位置を選ぶときに非常に制約が多く、不便を感じました。2つの動画を組み合わせるときも、もう少しとってつけた感が少ないほうがいいのに、と思っていたところで、Final Cut Pro Xが、現在90日間無料となっていることを知りました。

www.apple.com

iMovieを使いこなせるようになるのもちょっと時間がかかったので、新しいソフトを使うことにやや不安はありましたが、幸いすぐに慣れて、これまでよりこなれた感じの動画が作れるようになりました。

f:id:doukana:20200519225003p:plain

f:id:doukana:20200519225027p:plain

f:id:doukana:20200519225700p:plain

また、オープニングには、短いドイツの動画を入れています。これもずっと前に旅行中に少しずつとっていたものでした。

f:id:doukana:20200519225351p:plain


f:id:doukana:20200519225041p:plain

Final Cut Pro Xを導入したメリットは、先ほども書いたように、iMovieよりも字幕を入れる際の自由度が高いという点、そしてオープニング画面やクロスディゾルブ、画面にかけるさまざまな効果(雨や水面、色の反転など)やワイプ画面を作る際のマスクなど、こういうのがあればいいのに、という機能が揃っていることでした。

f:id:doukana:20200519225109p:plain

まだまだ全ての機能を使いこなしているとはいえませんが、だいたい自分のやってみたいことはできるようになってきたと感じています。

 

思わぬところで役に立った、自分のガジェット道楽

この1ヶ月半くらい、オンライン授業の準備や資料作成に熱中してきましたが、iPadやアップルペンシル、一眼レフや三脚など、自分の趣味で買い集めていたガジェット類が思いの外役に立ちました。

iPadはちょうど年度が変わる直前に買いました。買ってすぐにこのブログにも使用感をまとめていますが、当時イメージしていた使い方とは全く違う形で使っています。

今はデスク(PCの前)に置いておいて、ズーム会議の際にメモを取ったり、自撮り動画を作成しているときには、授業内容のメモを見ながら撮ったり、そして画面録画も大いに使っています。こういう使い方は、3月の段階ではほとんど予想していませんでした。

また、昨日あたりからカメラを固定するのに使っているのは、結婚式の時に買って、さらに花火大会の撮影に毎年使っていたアルミのミニ三脚です。これもまた、こんなところで役に立つなんてと驚いています。

f:id:doukana:20200519225434j:plain

(SLIKの軽量ミニ三脚。花火大会を撮るには低すぎて中途半端でしたが、机の上に載せるにはちょうどいい高さです。)

オンライン授業は、対面授業にくらべて学習効果が高いか低いかはまだ評価を下せる段階ではない(まだ2週目だから)とは思いますが、私自身は対面授業と同じように楽しんでいます。そして、この授業資料作りでやってることは、来年度以降の対面授業にも何らかの形で残していければと思っています。