研究を続けて行く自信がなくなることがときどきあります。
大学院生の頃は、そもそも自分が研究者として一人前になれるかすらわかりませんでした。博士号を取り、専任教員になって、その後も研究を続けて行くというビジョンはまったくありませんでした。
すでにこのブログでも書いていますが、私にとって、一番大変だったのは、大学院修士課程を出るまでの4年間でした。
読んで楽しいと思える本があれば大丈夫や
という恩師の言葉を今でも覚えています。そして、私自身いまでもそのとおりだな、と思っています。本を読むこと自体が苦痛でないならば、あるいはどんな本であれ、読んで面白いと思えるもの、夢中になれるものがあるのであれば、いつでも研究者として再起は可能です。少なくとも私はそう思っていつも暮らしています。
昨今は大学の業務に追われ、なかなか院生時代のように継続的に集中して一つのテーマに取り組んだり、長い小説や分厚い本を読み通すことができないでいます。もう少し余裕がもてたら、もっと研究ができるようになるのかもしれません。それでも、細切れの時間を使って、これまで知らなかった作家の本や、これまであまり勉強して来なかった分野の本を読むと、新たな刺激を受けます。そして、まだまだ研究のネタになるようなことは、いくらでもあるんだな、と再確認します。
何も進んでいないと思うときは、濫読を
これは私自身のスタイルなのかもしれませんが、何をしたらいいのか迷う時や、やらなきゃいけないことはわかってるのに、ちっとも進まないときは、あえて関係ない本をいろいろ読んでみることにしています。修士論文や博士論文の元となった研究は、やる気が出ない時間、図書館バイトで暇な時間、そんな時間に手当たり次第に読んだ本から生まれてきました。
最近買った本
春休みは講演をしたり、研究会に出かけたり、自分の論文を書いたりと、あれこれ忙しい時期ですが、落ち着いて自分の関心を深めるためにも最適な時間です。
2月なかばに、京大文学部で行われたウィーン大学Eva Horn先生の講演を聞きました。気候変動と人文科学についてのお話で、昨今はやりのテーマだとおっしゃっていました。全然知らなかったので、アマゾンでキーワード検索してみると、たしかに多くの文学者や歴史家が気候変動と近代文化についての本を書いています。
私自身の出身が「人間・環境学」研究科ということもあり、自然環境と人間文化の関わりというのは、自分自身にとっても大きなテーマです。シュレーバー論には、19世紀末の科学的な発見や技術の普及が、どのように人間の世界像を変えていったかという問いも含まれていました。
気候の変化といういっけん非常に大きな話がどのように文学や思想の問題になるのかよくわからないのですが、これらの本から少しずつ学んでみたいと思います。
Kulturgeschichte des Klimas: Von der Eiszeit bis zur globalen Erwaermung
- 作者: Wolfgang Behringer
- 出版社/メーカー: Dtv Verlagsgesellschaft
- 発売日: 2011/01
- メディア: ペーパーバック
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アマゾンへのリンクを検索してて初めて気づきましたが、この本、もう邦訳がでてました。
- 作者: ヴォルフガングベーリンガー,Wolfgang Behringer,松岡尚子,小関節子,柳沢ゆりえ,河辺暁子,杉村園子
- 出版社/メーカー: 丸善プラネット
- 発売日: 2014/02/10
- メディア: 単行本
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それから、20世紀初頭のヨーロッパを描いたDer taumelnde Kontinent(2009)などで知られるPhilipp Blomもこの辺のテーマについて新刊を出しています。
もともとは英語の本ですが、テーマ的におもしろそうなのでこちらも買いました。
Die Eroberung der Natur: Eine Geschichte der deutschen Landschaft
- 作者: David Blackbourn,Udo Rennert
- 出版社/メーカー: Pantheon
- 発売日: 2008/12
- メディア: ペーパーバック
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