ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

クレーターに作られた城塞都市ネルトリンゲンを歩く

週末なので遠足を(8月18日)

仕事のためのドイツ滞在ですが、週末は当然休みます。昨年の滞在時には、オーバーシュライスハイムの城館や、ランツフートの旧市街を探訪しました。

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今回も、ミュンヘンからほど近い場所で、これまで行ったことのない街に行ってみようと思い立ちました。

 

ネルトリンゲンってどこ?

ドイツで一番広いバイエルン州ですが、観光地もさまざまな場所に点在しています。先週訪れたノイシュヴァンシュタイン城リンダーホーフ城は、ミュンヘンから南に下った、アルプスの麓にあります。クリスマスマーケットで有名なニュルンベルクバイエルン北部、ヴァグナーで知られるバイロイトは東、フッガー家と和議で有名なアウグスブルクは西という位置です。ほかにも小さな魅力的な町が多くあり、その一つがネルトリンゲンです。

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ネルトリンゲンは、隕石が落ちてできたクレーターに作られた町として知られています。その名残がまんまるに作られた市壁として現在も残されています。ドイツのガイドブックで一際目を引くこういう写真を見たことがある人も多いでしょう。

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かなり高い上空からでないとこのようには見えないでしょうが、城壁に囲まれた古い町が今どんな様子なのか、気になったので実際に見てきました。

 

ネルトリンゲンの市壁を歩く

ミュンヘンから快速列車でアウクスブルクなどを経由しながら2時間ほどで到着しました。大都市からやや離れた田舎町なのに、乗り換えなしで行けることが意外でした。

駅は市壁の外側なので、一瞬どこに旧市街があるのか戸惑いましたが、グーグルマップを見ると、徒歩5分ほどで旧市街の入り口があることがわかりました。

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駅から一番近いダイニンガー門です。きれいな塔が門を見下ろしています。

門をくぐると、さっそく市壁へ登る階段が見つかりました。

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壁の上には屋根のついた通路があります。あまり高くはなく、ちょうど家々の2階から3階程度の高さです。どのお家も、壁を歩く観光客から見えるので、きれいにしてありました。

ちょっと歩くとすぐに、次の塔が見えてきます。

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この塔には、市壁博物館が入っています。

古代からつづく、この街の歴史について展示してありました。13世紀にはすでに市壁に囲まれた都市はできており、いくどかの拡張を経て現在のような形になったそうです。

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30年戦争(1618〜1648)のころに起きた、ネルトリンゲンの戦いを再現したジオラマ

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当時の装束や甲冑、大砲などが展示してありました。

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正面から見た、レプジンガー門。

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市壁にそって歩き回っても1時間程度で全体を一周できそうです。

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市壁を壁にしているお家もあります。

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壁の外は堀があったのですが、現在は公園や果樹園、カフェや遊技場などになっています。ここではパターゴルフをしています。

壁の上をぐるりと歩いても全長2.6kmしかないので、1時間程度で回れます。

 

傾いた古い家がすごい

旧市内に入ると、数百年前から残っている古い家が立ち並ぶ通りに出ます。

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左側の赤い家ですが、明らかにファサードが傾いているのがわかります。中にいる人はどんなふうに暮らしているのでしょう。

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この家、ちょっと壁が崩れてますが、傷んでもまたリフォームして住み続けるのでしょう。

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小さな家です。ドアが私の身長くらいしかありません。

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ここは皮革職人の家だそうです。

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市内中心街にある、子供服屋さん。ちいさい服が吊るしてありました。

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カフェの前にはブルネンがありました。子豚を抱いた男とガチョウを抱いた男がなにやら話し合っています。どんないわれがあるのでしょう。あとで調べてみます。

 

中心街はお祭りの最中

市内を歩き回っているとほどなく教会を中心とした広場に出ます。

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ここにもりっぱなブルネンがあります。

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1870~71年の普仏戦争を記念したものでした。

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この日はSchwabentagというこの地方のお祭りでした。民族衣装をきた楽団の演奏や観光案内ブース(これがメインのようです)、そして地元のビールや料理のお店が出ていました。

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暑くてぶっ倒れそうだったので、ビールを飲み、肉を食べました。

 

教会の塔に登ってみる

この町の名物の一つが、いまお祭り広場になっている、聖ゲオルク教会です。中に入るとゴシック様式の長い柱と高い天井が目に入ります。

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この教会の見所はやはり、ダニエルと名付けられた尖塔です。

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狭い入り口から階段を登っていきます。

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ずっと螺旋階段が続いているのではなく、何回か踊り場をへて、少しずつ登っていきました。

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ポスターが貼ってあるように、この塔には幸運のシンボルとして猫が住み着いています。塔守のお兄さんはこの猫ちゃんの世話もしています。昼間はそのへんで寝ているよ、と教えてくれました。

さて、いよいよてっぺんの展望台に出ますよ。

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高さ70mからの眺めです。

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市壁が町の外側をぐるっと囲んでいるのが見えます。

こうして上から見ると、色とりどりに塗り分けられたそれぞれの家でも、屋根が同じ茶色なので統一感があってきれいです。

 

古い宿屋に泊まる

ミュンヘンから2時間もかけて来るのだから、やはり宿泊したほうがいいかなと思い、ホテルを予約しました。田舎なのでだいぶ安くて朝食付きで60ユーロほどでした。(ミュンヘンの半額以下です)

建物の外観を撮っていなかったのですが、教会前広場に面した、非常に古い宿屋です。

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館内の風格ある階段。踊り場などには、昔の道具などが置いてありました。

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アポロの宇宙飛行士が泊まりにきた時の写真です。

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それどころか15、16世紀には皇帝が泊まったとか、1788年にはゲーテも来ています。

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改築や建て増しを何度も繰り返しているせいか、あちこちが傾いていました。

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朝食も種類が豊富です。

早朝の中庭に出ると、この宿で飼われている猫ちゃんたちがいました。

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ここで猫ちゃんを撫でまわしたあとチェックアウトし、次の目的地に向かいました。