ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

グンポルツキルヒェンのワイン祭

オーストリアはワインが名産

日本ではほとんど目にする機会はありませんが、オーストリアではワインも生産されています。ミュンヘンなどバイエルン南部は、ビールが名物なので、あまりワイン生産がさかんではありません。バイエルン北部のフランケンワインは有名ですが、ミュンヘンでは、レストランなどで飲めるのは、地元のワインではなくオーストリアワインでした。

ウィーンやオーストリアの土産として、ポピュラーなのはモーツァルト玉(モーツァルトクーゲル)こと、モーツァルトの顔がデザインされた銀紙でくるまれた、丸いチョコレートです。私も大学の事務室など、たくさん人がいる場所にはかならずたくさんのモーツァルト玉を買っていきます。

www.mozartkugel.at

しかし、オーストリアをよく知る人に喜ばれるのは何より、オーストリアワインでしょう。日本ではなかなか飲めないし、10ユーロ(1300円くらい)も出せば、かなり美味しいものが買えるので、この人には、という人に送るのであれば、ぜひワインをお土産にすることをおすすめします。

 

夏のヨーロッパといえばワイン祭り

数年前に、ライン川沿いのワイン畑の小村リューデスハイムに行った際、町の小さな広場に店を広げるワイン屋台で白ワインを飲んで以来、夏は外でワインを飲むのが一番だと思っています。夏の六月から八月ごろには、ちょうど各地でワイン祭りが開催されます。一昨年は、ちょうどドレスデンザクセンワイン祭りに行くことができました。また、去年は、たまたま庭園を見に立ち寄ったルートヴィヒスハイムで、大規模なワイン祭りに参加できました。

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ルートヴィヒスハイムのワイン祭り。ここのワインは一杯の量がけっこう多くて、飲みすぎました。

今年のドイツ滞在時にも、キムゼーにいったときに、湖畔の町プリーンの村祭りで、オーストリアワインを飲むことができました。お祭りの賑やかな雰囲気と、いつまでも明るい夕方の時間に、ひんやりした白ワインを飲むのは最高です。

せっかくオーストリアに来たのだから、スーパーやレストランでワインを飲むだけでなく、ぶどう畑があるワインの産地でワイン祭りに参加したいと強く思いました。

私の滞在中に開催されていたのが、グンポルツキルヒェンのワイン祭りです。毎年八月末に行われています。ウィーンから1時間ほどで行けます。

www.weinsommer-gumpoldskirchen.at

 

2年前の失敗

じつは、このワイン祭りには、2年前2015年夏の滞在時にも行ったことがありました。たまたま駅で見つけたポスターでワイン祭りのことを知った私は、ちょうどウィーンに住み始めた知人を誘って、(田舎で電車がすくないだろうから)お昼から出かけて、ワインを飲むことにしました。

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駅で偶然見つけたポスター。

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町についたものの、ワイン祭りが本当に行われているのかと疑ってしまうほど人がみあたりませんでした。

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いちおうお店のテラス席はありましたが、暑くて人はまばらでした。

夏のウィーンは、連日35度近くまで気温が上がる猛暑です。2年前の夏も、暑くて夏バテになりかけていました。ワイン祭りに出かけたものの、昼から盛りがっている人は少なく、閑散とした田舎町で、ただ照りつける日差しに焼かれながら酒を飲んだという記憶しかありません。

 

今回は夕方から出かける

同じ失敗は繰り返したくなかったので、今回は、現地在住の後輩夫婦とともに、夕方の涼しくなる時間帯を狙って出かけました。

グンポルツキルヒェンは、ウィーン・マイトリング駅から南西方面へと鈍行列車で1時間程度のところにあります。京都や神戸と変わらないくらい大都市のウィーンですが、少し離れるとすぐに、栃木県や滋賀県のような、美しい田園地帯が広がります。私が育った栃木県大平町(現栃木市)は、ぶどうの産地だったので、なだらかな山裾にひろがるぶどう畑を見ると故郷を思い出します。

www.tochigiji.or.jp

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グンポルツキルヒェン駅。駅の隣にスーパーはあるけど、あとは田園地帯です。

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オーストリア国鉄の駅。壁には、ワインを作る人々の様子が描かれ、「ローマ時代からワインが作られていた」などと書いてあります。

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小さな町の通りには、いくつかのワイン屋さんがありました。

そんな栃木感あふれる小さな駅で電車を降り、しばらく静かな住宅街を進むと、ワイン祭り会場へと到着します。村のメインストリートと思われる場所には、いくつものワイン酒場が軒を連ね、広場には屋台と客席が設けられています。まだ夕方の明るい時間でしたが、少しずつ客が集まっていました。

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村の広場に設けられたワイン祭り会場。いくつかの飲食店からワインや食べ物を買って、テーブルにもってきて飲食するという形式です。

 

おいしい白ワインでゆったりとした夕方の時間を楽しむ

2年前と違い、夕方に飲み始めたのは全く正解でした。始めはまばらだったお客さんも徐々に増え始め、暗くなる頃には、バンド演奏も始まり、すっかりにぎやかなお祭りになりました。

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一杯目の白ワイン。酸味と香りが特徴的です。

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座布団のようにねっころがるわんこ。

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7時を過ぎ、少しずつ暗くなってきます。

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肉やポテトフライなどの料理を食べながらワインを楽しみます。

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バンドのステージ。おじさんが歌うシュラーガー(やや古めのポップスやフォーク)もワイン祭りにはなくてはならないものです。

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8時半ごろ。すっかり暗くなりましたが、ちょうど盛り上がっている時間。

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私はたぶん5杯目くらいだったかと思います。このあと、9時過ぎの電車でウィーンまで無事に戻ることができました。

 

涼しくて快適だった、今回のワイン祭りですが、やはり夕方に行ったのが大正解でした。小さな田舎町のワイン祭りでしたが、うるさすぎないちょうどいい盛り上がり具合で、気分良く楽しむことができました。