ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

ウィーンブルネン巡り(3)庭園の噴水を見る

少し間が空きましたが、ウィーンブルネン巡りの3回目です。今回は、シェーンブルン宮殿と市民公園で見つけたブルネンを取り上げます。もうそろそろ帰国して一ヶ月がたとうとしているので、そろそろ夏の旅行についての記事をまとめる時期ですね。

 

シェーンブルン宮殿

ウィーンは20年前のちょこっと滞在も含めてもう4回目ですが、町外れにあるシェーンブルン宮殿には、一度も行ったことがありませんでした。というのも、ウィーンという街は、前回の記事で写真をあげた、街の中心にあるホーフブルク宮殿をはじめ、南側には、ベルヴェデーレ宮殿クリムトの絵画と美しい庭で有名です)があるし、リングシュトラーセ周辺には、かつての宮殿だった国立図書館や、美術史博物館などりっぱな建築が多数並んでいます。これだけ宮殿やそれっぽいものに囲まれていたら、わざわざ市内から離れたところまで行く必要はないよな、と思って、これまで行く機会を逸していたのでした。

しかし、シェーンブルン宮殿——schönうつくしいbrunn(Brunnen)泉——という名前からも想像がつくように、この宮殿にはみごとな噴水や泉があるわけです。噴水写真家として、行かないわけないはいかないのです。

 

猛暑が行く手を阻む

2年前にもシェーンブルン宮殿で撮影をしようという計画はありました。調査の休みである日曜日にでも行ければ、と思っていました。しかし当時ウィーンは連日35度近い猛暑で、どうしても焼け付く日射しの中、だだっ広い庭園を歩くなんてことは耐えられそうにありませんでした。

暑くなければ、すぐに行けるのにと思っていましたが、今年もやはり猛暑でした。しかし帰国の日も迫っていたので、8月26日に意を決してシェーンブルンへ出かけました。

地下鉄の駅から庭園までは、あるいて10分ほど。多くの観光客で賑わっているので、道を間違えることはありませんでした。しかし、ちょうどお昼頃だったため、この時点ですでにかなりの暑さでした。

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入り口です。巨大な塔の上に黄金の鷲がついています。

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門から中に入ると、広大な空間が広がっていますが、ここは庭園ではなく、裏庭です。

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裏庭の噴水

しかし裏庭とはいえ、さすがのシェーンブルン、さっそく噴水が出迎えてくれます。

 

庭園を散策する

裏庭西側の入り口から、宮殿の南側にある庭園にまわります。観光客は宮殿の中を見学することもできますが、この種の場所はミュンヘンでもこれまでいくつも見てきたので、今回はスルーです。

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庭園の一角にある花園。ちょうど花盛りの季節できれいです。

庭園は上の写真のように、芝生や花、植え込みなどもあります。植え込みの近くには、日陰があるので、割と快適です。

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宮殿正面、日差しを遮る場所がなく絶望的な暑さ

一方、宮殿の正面側は、広々した庭園があり、生垣すらない場所は、真夏の太陽にじりじり焼かれるだけでなすすべがありませんでした。私は帽子も日傘もないので、頭にタオルを乗せてしのぎました。

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生垣の中の像。ポーズがいい。

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こちらは首をぶら下げてドヤ顔。

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庭園の南側には、さらに丘がつづき、丘の上にも宮殿がある。

この写真は望遠なので、距離が圧縮されています。実際は、手前の噴水ですら、歩いて10分程度かかりました。

しばらく歩くと、庭園の中央の噴水、ネプチューンブルネンにたどり着きます。

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大きなネプチューンブルネン

ブルネンの両脇には階段があり、彫像の裏側に回り込んで、庭園を展望できるようになっています。

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彫像の上から見たシェーンブルン宮殿。庭園の広さがよくわかります。

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裏側から見た海馬と人魚の像。すごい迫力です。

この庭園にはほかにもいくつか噴水がありました。

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ネプチューンブルネンから東へ向かうと、美しい女性とむちむちした赤ちゃんの噴水がありました。

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さらに先に進んで、庭園の一番東端にあったのが、オベリスクブルネンです。オベリスクの下の巨大な彫像から水が流れ落ちています。

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人工的な彫像と、滝を思わせる荒々しい自然のような水流が調和しています。

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オベリスクを支えているのは、四匹の黄金の亀です。亀は安定を意味しているそうです。

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中央で水を吐き出す顔。とても大きい顔です。

シェーンブルン宮殿では、これらの噴水を眺めながら、庭園を散策しました。

 

市民公園Stadtparkのブルネン

今回シェーンブルン宮殿とともに、どうしても撮りたいと思っていたのが、市民公園のブルネンでした。前回、2016年月の滞在時は、市民公園やベルヴェデーレ宮殿に近い場所に泊まっていましたが、オフシーズンのため、噴水の撮影はできませんでした。どうしても気になる物件がいくつかあったので、今回再訪しました。

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地下鉄シュタットバーク駅。ウィーンの地下鉄駅はおしゃれです。

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いかにもウィーンらしい市民公園入り口の装飾。

こちらが市民公園のセバスティアン・クナイプのブルネンです。

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クナイプは日本では入浴剤のブランドとして知られていますが、もともとは、水浴を中心とした自然療法の提唱者でした。このブルネンでも、子供が背中から水をばしゃばしゃ浴びている様子が再現されています。

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クナイプの胸像の下には、小さな子供たちの像があります。ジョウロなど関係のあるものを持っています。

 

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こちらはクナイプ療法で元気になった人たちなのでしょうか。松葉杖がいらなくなったよ、と言っているようです。

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びしゃびしゃと水を浴びせかけられている子供の表情が満足げでとてもいいですね。

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もうひとつ、ここで撮影したかったのが、この石を動かそうとする二人の男のブルネンです。巨石を動かそうと二人の男が力を振り絞る様子が描かれています。しかし、この写真からもわかるように、残念ながら水が止まっていました。工事中だったのかもしれません。

せっかくなので、2年前に撮った写真を貼っておきます。この時は、水が出ていましたが、夕方遅い時間で少し暗いのが残念です。

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思えば、ブルネンに本格的に興味を持つきっかけになったのは、上の写真を撮った日にみつけた、こちらのブルネンでした。行き交う人や子供たちがつぎつぎ水を掬って飲んだり、ペットボトルに汲んで持ち帰ったりしているのを見て、飲用するという利用法もあったのか、とこの街では当たり前のことに初めて気づいたのでした。

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市民公園は、ブルネンだけでなく、池や芝生もあり、木陰のベンチでゆっくりすごしたりできるので、この街で気に入っている場所の一つでした。

 

ウィーンブルネン巡りはこれで最後ですが、博物館やワイン祭りなど、ウィーンで面白かったことをもう少し紹介します。