もうすぐ2016年前期も終わろうとしています。私のドイツ語のクラスでは、学期末の課題として、試験の予想問題や自由作文、長文の日本語訳など、授業時間外に自分で時間をかけてやる課題を出しています。今回は、課題などに役立つコンピューターやスマートフォン、タブレットでのドイツ語入力の基本について説明します。
Macだと驚くほど簡単!Winは若干めんどう
さて、コンピュータでドイツ語を入力するとなると、やはり気になるのは、ウムラウトやエスツェットなどのドイツ語特有の文字をどう入力するかという点です。
例えばWordを使うにしても、MacとWindowsでは、入力言語の設定方法が少し異なっています。結論から言えば、みんなMacを使えばいいですよ!と言いたいほど、Macの方が簡単です。
Macでの入力方法
Windows(後述)と同様、Macでも入力言語にドイツ語を設定し、キーボードを切り替えてドイツ語で入力することもできますが、もっと簡単なのは、右上のメニューから、英字を選び、ウムラウトやエスツェットをショートカットで入力する方法です。
上のように、ひらがな入力になっているところを英字に変えます。
ウムラウトはオプションキー+uで、その後にa, o, uを押せば、それぞれä, ö, üとなります。USキーボードだと両側にオプションキーがありますが、どちらを押しても同じです。
また、エスツェット ßはオプションキーとsを押せば出せます。一つ気をつけたい点ですが、エスツェットは小文字しかないので、例えば大文字でFußballと書きたければ、ßをSSと表記し、FUSSBALLと書かなければなりません。
Windowsでの入力方法
私は普段MacとiPadを主に使っているので、あまりWindowsについては詳しくないのですが、多くの人がWindowsを使うと思うので、調べたことをまとめます。
Windowsの場合は、キーの組み合わせではなく、入力できる言語をあらかじめキーボードに設定しておき、そこから切り替えます。
まず、メニューからコントロールパネルを開き、「キーボードまたは入力方法の変更」を選びます。
次に、「キーボードと言語」から「キーボードの変更」へと進みます。
多くの言語が並んでいる中から、ドイツ語(ドイツ)を選択します。これでドイツ語キーボードが登録されました。
次に、画面右下の言語バーから、JPとなっているところをDEにします。こちらは直接マウスで操作してもいいし、shift+altのショートカットでも切り替えられます。
Macと異なり、Windowsの場合はä, ö, üなどにも一つ一つキーが割り当てられます。右手側のlの隣にö、その隣にäが並び、pの右隣にü、エスツェットは0の右隣にあります。入力の際に、キーの配置がわからない時は、スクリーンキーボードを表示しましょう。
また、上の写真からもわかるように、ドイツ語配列にすると、yとzの位置が入れ替わります。おそらくドイツ語ではほとんど使わないyは目立たない位置に、zから始まる単語や前置詞などがあるのでzは人差し指でタッチする位置になっているのでしょうか。これも注意する必要があります。
追記:Winでもショートカットで入力できます
友人からの指摘でわかりましたが、Windowsの場合もMacと同じように、ショートカットキーの組み合わせでウムラウトを入力できます。この時、上で説明したような言語の切り替えは不要です。
はじめに入力モードをかなではなく、直接入力に切り替えます。
JPの横のメニューから直接入力にします。
ウムラウトのついた文字を打つ時は、
コントロールキー+「*:キー」、その後にa,u,oを打てば、ä, ö, üとなります。
また、コントロール+シフト+「&6」の後にsを打てば¨ßが出ます。
これならMacのショートカットと同じように簡単にできますね。
iPhone、iPadによる入力
スマートフォンやタブレットでもドイツ語を入力することはできます。確かにiPhoneの画面は小さいので入力しづらいところはありますが、キーの長押しでウムラウトやエスツェットを出せるので、実はこれが一番簡単です。
キーボードはあらかじめ英語にしておきます。(フリック入力ではできません)その上で、aを長押しするとaの上にウムラウトやアクサンなどがついた文字が表示されるので、äを選んで入力できます。同様に、uやoを長押しすればそれぞれウムラウトのついた文字を出せます。エスツェットはsを長押しです。簡単ですね。
さらに専門的なドイツ語入力で使う記号(ここから備忘メモ)
論文や学会発表などでドイツ語を書くとき、日頃の授業ではあまり使わない記号があったりして、どうやって出すのか忘れていることがしばしばあります。そんなときは、こちらのページが参考になります。
ドイツ語の引用符は英語のように両方上にくっつける
“□”
このようなタイプではなく、左は下、右は上というジャーマンクオーテーションと呼ばれるちょっと違う文字になります。
„□“
この記号を出すのに時々手間取りました。
上記のページは日本語キー配列の場合ですが、私のMacのようなUSキーの場合は、左は„=option+shift+wで、右は“=option+[です。あまりによく忘れるので、博士論文執筆時には、iMacに付箋でショートカットのメモを貼り付けていました。
追記2:あまり使わないけど二重ギュメの出し方
二重ギュメというのは、鉤カッコ的に使われる記号です。例えばこんな場面で使われます。
Der Mann überlegt und fragt dann, ob er also später werde eintreten dürfen. »Es ist möglich«, sagt der Türhüter, »jetzt aber nicht.«
Kafka: Vor dem Gesetz. In: Erzählungen. Reclam, Stuttgart, 1995, S. 178.
男は考えて、尋ねた。それならそのうちに入ることはできるのかね、と。門番は答えた。「それは可能だ。だが今はだめだ」と。
カフカ『掟の前』より。
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門番のセリフの部分に使われている>>みたいな記号です。フランス語でもよく使われますが、向きが逆です。フランス語の場合は«内容»のように使います。
この記号ですが、結局正しい出し方がわかっていません。先に紹介したリンクでも紹介されていますが、日本語キーボードの場合の方法だけです。私の使っているMacは、USキー(かなが書いていない、英語圏向けキーボードです。オサレ人はUSキーを使うのが普通だと私は信じていましたが、そうでもないっぽいです)なので、うまくいきません。Windowsと同様、Macでもキーボードビューアを使えますが、キーボードビューアに表示されるキーと実際に入力されるキーが食い違っています。
»
この記号を出すには、ビューアの表示通り、option+shift、\ でいいのですが、
逆向きの記号がうまく出せません。
«
こちらの記号は、option+\となっていますが、そのキーを押すと「\」この斜め線みたいな記号が出ます。
調べてもどうしてキーボードビューアと実際のキーがずれるのかよくわかりませんでした。仕方がないので、Windowsと同様、キーボードにドイツ語キーボードを選び、その上で、option+qで閉じる方の記号を出すことができました。
まあ、おそらくめったに使わないので、この面倒なやり方でガマンしてもいいかな、と思います。