春休み中のできごとを振り返って、いかなごを作った時の話をまとめておきます。
兵庫県民になって3年目
同じ関西でも京都市と今住んでいる阪神地区とは色々違っていて興味深い。
例えば、京都では夏に毎日食べていた満願寺とうがらしは、大阪や兵庫ではあまり食べない。確かにスーパーには売ってるが、京都に比べて割高なのであまり買うことはない。
また、豆腐や油揚げの種類も、京都に比べると大幅に少ない。あの大きくて食べ応えのある油揚げは、京都ローカルの食べ物だったのかもしれない。
かわりに兵庫県民が好んで食べるのが、小魚の佃煮。いかなごの釘煮である。
いかなごの釘煮は春の郷土料理ということで、3月初頭には、どこのスーパーにもいかなご特設コーナーが設けられる。港から来る新鮮な小魚だけでなく、魚を煮るための鍋、醤油、砂糖、水飴、さらには親戚や親しい人に送るためのタッパー(1リットル程度の平たいもの。レターパックに入れて送ることができる)などが並べられている。
さらに、地元紙「神戸新聞」においても、ほとんど毎日のように、いかなごの水揚げ量や釘煮のレシピについての記事が掲載されている。
いかなごの釘煮が兵庫の名物であることも、それなりに美味しいものだということも以前から知ってはいたけど、まさかここまで盛り上がるものとは思っていなかった。毎年春の限られた季節しか作れないものだからこそ、これだけ皆が喜んで買い求めるのだろう。例えるならドイツにおける白アスパラガスのようなものなのだろうか。そんな風に思っていたのだが、よく見ると春だけでなく年中スーパーには売られている。季節を問わず、小魚の佃煮を好んで食べているようだ。
郷土料理を作って、地元民になりたい
そんなに盛り上がるいかなごの季節、ならば私も参加してみたい。そう思って3月半ばに近所のスーパーに出かけて、いかなごを探してみた。しかし夕方近くなので、もう売り切れてしまっていた。なるほど、朝港に揚がってくるのだから、早朝に買いに行かなければならないのか。そして翌日10時過ぎに再びスーパーに行くと、その日に揚がったいかなごが1kgのパックに詰められたくさん並んでいた。1kgのパックがどのくらいの量なのかよくわかっていなかったが、実際に手に取るとかなりの量だ。さらに砂糖や山椒、生姜、ゆずなどを買い込んで、早速高校野球を見ながら釘煮作りに取り掛かった。
ルクルーゼでは収まらない
いかなごをよく洗って、さっそく煮込み始める。作り方は、いつも料理をする時と同じように、クックパッドを参照した。妻が甘いばかりの釘煮は苦手だというので、実山椒を入れたり、生姜やゆず果汁、くるみなどを入れて食感や香りに変化を出すことにした。
さて、煮込み作業だが、我が家で普段使っている大鍋はルクルーゼだ。あらゆる煮込み料理がおいしくできる。これなら釘煮も大丈夫、と思って、砂糖や醤油とともに材料を入れてみてはたと気がつく。あまりにもいっぱいいっぱいなのだ。だんだん汁がなくなって量が減るだろうし、と思っていたが、多すぎてかきまぜることもできない。このままだと焦げる、そう思ってルクルーゼから中華鍋に移した。
中華鍋で煮詰める
中華鍋にいかなごを移し、30分くらい強火で煮詰める。日頃中華鍋では、炒め物ばかり作るので、煮物に向くだろうかと少し不安だったが、順調に煮汁が減っていく。しかし醤油も砂糖も焦げやすい食材だ。時々炒め物と同じように、鍋をふるって中身が均等に混ざるようにする。菜箸や竹べらでまぜるといかなごの身が崩れる恐れがある。というより少し崩れてきてしまっている。慎重に煮詰め作業を進めた。
完成
高校野球が始まって、試合が中盤に差し掛かる頃に、ほとんど煮汁がなくなり、ベタッと魚がくっつくようになってきた。あら熱を取れば完成。早速一口食べてみると、しっかり美味しくなっているし、山椒や生姜の風味もある。成功したと言える出来だろうか。
しかし魚くさい。大きく育ちすぎたことが原因なのかも
だが、作ってる最中から気になっていたのが、魚臭さだ。冷やしてから食べてみても、いくらか魚の匂いが残っているのが気になる。普通の煮魚程度だが、売っているいかなごより臭い。調べてみると3月半ば以降だと大きくなりすぎて、煮た時に匂いが強くなるようだ。確かに新聞でいかなご特集を毎日見ていたのは、2月末から3月一週目頃のことだ。来年はもう少し早く取り掛かりたい。