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ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

熊谷哲哉 ドイツ語教育、ドイツ文学、文学じゃないけどおもしろいものなど。

香住マラソン2回目の完走

得意なはずの暑さと坂道に負ける

昨年は好タイムを出せた、兵庫県香美町の香住マラソンに今年も参加してきました。昨年同様、好天に恵まれましたが、走っている間は暑くて倒れそうでした。走り終わって一息つくとそれほどきびしい暑さではなかったとわかりました。

この大会の特徴は、景色がいいけど、かなり起伏の激しいコースです。香住港周辺のいくつもの小さな湾をぐるぐると回るコースなので、海岸部は低く、集落と集落の間はぐねぐねした坂道の上り降りがなんどもありました。昨年は、3月から4月にかけて、自宅近くの急坂でトレーニングを積んでいたので、この坂道にも対応できていました。

しかし、今年は3月の六甲山縦走トレイル以後、あれこれ忙しく過ごしているうちに、水泳以外ほとんど運動する機会がありませんでした。一週間前に、すこしくらい足を動かしておこうと、走りに出かけましたが、暑くて10km程度しか走れませんでした。

 

いかにぶっつけ本番で走るか、という競技ではない

今回ははからずも、全く準備をせずに、いかにぶっつけ本番でフルマラソンを走るかというチャレンジとなってしまいました。幸いリタイヤもせず、4時間半以内でゴールできたわけですが、これは良くないなと痛感しました。

多くの参加者は、みんな普段積み重ねた練習の成果をたしかめようと、大会にきているわけです。いっぽう私はほぼ事前の練習ゼロでした。

以前、マラソン大会は学会発表みたいなものとたとえました。それなりに調べてきていることであれば(あるいは昔からの持ちネタなどであれば)、準備ゼロでも学会発表らしきものはできるのかもしれません。しかし、せっかく出てきてそんな不本意な出来では、やはりもったいないですね。

マラソン大会も同じです。当日ぶっつけ本番でも完走できるとはいえ、ちょっとくらい準備をしておかないと、大きくタイムを落とすことになりますね。

 

足は痛いが、温泉と砂丘を楽しめた

今回は、香住港周辺にちょうどいい宿が見つからなかったので、すこし離れた湯村温泉に泊まりました。たしか楽天トラベルで検索すると、周辺の宿ということでヒットしたので、適当にこの辺でいいか、という感じで決めたのでした。

どんなところか全くイメージがありませんでしたが、非常に素晴らしい温泉でした。

香住からは、鉄橋で有名な餘部の集落を通って、40分ほどでつきました。

途中道の駅あまるべに寄って、新しくできた鉄道橋と古い鉄橋の跡を見ました。

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列車転落事故からもう30年も経ってしまったことに驚きました。

 

 

ホテルの部屋から見た、湯村温泉の街です。山間の小さな谷に、温泉街が広がっています。有馬温泉を思い出しましたが、ずっと人が少ない静かな街でした。

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この源泉、荒湯は98度もあるとのことで、近づくと熱かったです。源泉近くには、温泉卵を煮たり、山菜やタケノコを浸している人たちもいました。

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川沿いの足湯で脚を温めました。

 

翌日は鳥取砂丘に行きました。

修士課程のころ、バイクで訪れて以来おそらく4度目です。

毎回、季節が異なるため、砂丘の様子が違っていて、おもしろいです。

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今回は、天気が非常に良かったため、砂丘の向こうに広がる日本海の青さがあざやかに見えました。

 

このあと、日本酒ととうふちくわを買って帰りました。山陰というと地の果てみたいなイメージがありますが、自宅から車で3時間もかかりません。気軽に行ける地の果てです。

 

次の大会は、6月の飛騨高山ウルトラ71kmの部です。今回のようなていたらくでは、リタイヤすることになりそうですから、もう少し練習を積んで臨みたいところです。

カール・デュ・プレルの本

科研費交付内定!

四月になりました。春休み中は、旅行に行ったり、研究会に出たり、野球を見に行ったりで、それなりに充実した時間を過ごしていたものの、あまり研究は進みませんでした。

四月に入ると、まずは科研費申請の結果が出ます。どうせ不採択だろうと思って、大学に出勤しても、科研費のページは見ないようにしていました。すると、お昼頃職場の補助金事務課からメールで、採用内定の連絡をもらいました。じつは昨年の秋は、学会発表の準備に追われていて、申請書を書く時間はほとんどありませんでした。それで一昨年の申請書をほんの少し直しただけで、提出していたのでした。まさかそれで採択になるとは思ってなかったので、驚きました。

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科研費電子申請のページで確認したところ、ちゃんと自分の研究課題が出てきました。これから研究費の交付申請手続きをします。

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上の画像にあるように、ここ最近取り組んできた、世紀転換期ドイツの心霊主義(カール・デュ・プレルとシュレンク=ノッツィングを中心として)について、研究計画を書きました。無事採択されたので、これからしっかり研究に取り組みます。

 

カール・デュ・プレルの本がとどく

春休み中に注文していた、カール・デュ・プレルの小説『Das Kreuz am Ferner(氷河の十字架)』が届きました。ドイツの古書店に頼んだのですが、10日くらいしかかかっていません。(このタイミングで注文していたのは、参加している別の科研プロジェクトで、夏休みにデュ・プレルとドイツ心霊主義について発表することになったからです)

ドイツの心霊主義者・哲学者として活躍したカール・デュ・プレル(1839−1899)は、生涯に10冊以上の著作を残しましたが、彼の唯一の小説が、この本です。デュ・プレルについては、近年ドイツや日本でも少しずつ知られ、研究も進んできましたが、非常にマイナーな人物です。そのため、古書もたいへん安価に売られていて、院生時代から金銭的な負担を感じるほどでもなく、100年前の古書を買い集めることができました。

10年以上前、デュ・プレルに着目した私は、古書数冊を手にいれて読み始めました。そのときにもこのDas Kreuz am Fernerも購入していました。しかし、本の状態がかなり悪いため、自分で修理をしたり、当時バイトしていた京大総人図書館の職員さんに修復をお願いしたりしました。職員さんは、ガーゼや和紙、和糊で直してくれました(化学合成された接着剤やテープは良くないらしいので)が、表紙が剥がれかかっていて、やはり持ち運んだり、ひんぱんにページをめくることは危険そうでした。そのため、10年経ったいまでも、最後まで本を読み通してはいませんでした。*1

デュ・プレルの他の著作は、多くがコピー版として、あらたに刊行されています。

f:id:doukana:20170403185259j:plainコピー本。

ドイツの本で多く出回っているコピー版は、非常に安価なので助かりますが、中身は出版された当時そのままです(当然ながら)。

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紙は新しいけど、印刷は元の本のままです。

しかし、Kreuz am Fernerだけは、コピー本が見つからなかったので、古書サイトでさがして、一番状態が良さそうなものということで、1928年の版を購入しました。

 

美しい古本を眺める

さて、私がもっている古書を見比べて見ましょう。

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はじめに買ったのが、彼の代表作『Entwicklungsgeschichte des Weltalls 宇宙の発達史』です。この本は、エルンスト・ヘッケルに影響されて、自然科学に関してはアマチュアだったデュ・プレルが、最新の知識とファンタジーとで、宇宙の歴史、そしてこれからの展望を書いた本です。火星や他の惑星の居住可能性について書かれていたり、地球に届く光には、その光源で起きた出来事が紙芝居的に写し出されている、という面白い考えもあります。

買った時から背表紙の皮が痛んでいたので、京大生協でもらったブックカバーをかけていました。しかしなぜ、筆ペンでタイトルを書いているのでしょう。1882年の本ですが、本文の字は現在と同じ書体です。

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そして、デュ・プレルが詩人における創作と無意識について書いているのが、こちらの『Psychologie der Lyrik 抒情詩の心理学』(1880年)です。この本は、フロイトの夢研究と比較して読むと面白いです。10年くらい前にそのような論文を書きました。これもまた、古い本ですが、装丁はしっかりしています。

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また、レアだったので値段は張りました(たしか150ユーロくらい)が、状態が非常に悪いのが、こちらの本『Die Magie als Naturwissenschaft 自然科学としての魔術』(1912年)です。もともと2冊にわけて刊行された本を、一冊にくっつけて背表紙を付け直したようです。上巻と下巻で紙の傷み具合が全く違っています。

それから、以前買ったもの(左)と今回届いた(右)Kreuz am Fernerです。

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以前買った本は、1905年のもの、今回買ったのは1928年の版です。デュ・プレルがこの作品を発表したのは、1890年ですから、非常に長いことベストセラーだったことがわかります。去年訪れたマールバッハの文書館にも、この本について、デュ・プレルとコッタ出版、彼の死後には遺族と出版社の書簡が残っていました。

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表紙がぶらぶらしてるので、こうやって本を開くと怖い。

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フルダのエルンスト・マイアーという人の蔵書票が押してあります。どんな人だったのでしょう。

古い本のほうは、買った時すでに表紙がとれかかっていたので、図書館に持って行って、和紙とガーゼで修復してもらいましたが、今も危険な状態です。

新しい本は、もう90年も前のものなのに、表紙・背表紙は非常にきれいです。装丁も凝っていて、美しいですね。

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当然同じ出版社から出ている同じ本なので、ページを開くと同じです。フラクトゥーアなので、ちょっと読みづらいです。

 

この作品については、先行研究である程度わかってはいるものの、自分では最後まで読み通していないので、これから夏休みの研究発表までに、ちゃんと読んでおくつもりです。

 

*1:トーリーですが、アルプス近くの美しい町で、父の遺産である心霊主義についての文献を研究する青年が、村の娘と知り合い恋に落ちるが、娘は不慮の事故で亡くなる。落胆した青年は心霊主義の知をつかって、彼女そしてふたりの間の子供と巡り合おうとする、というような話です。なにぶん500ページのうち100ページ程度しか読んでいないのでよくわかりません。

2017年度の担当授業

月曜日1時限:ドイツ語総合3、4(法学部)

月曜日2時限:基礎ゼミ1、2(経営学商学科)

火曜日1時限:ドイツ語1、2(神戸大学

火曜日2時限:ドイツ語1、2(神戸大学

水曜日1時限:ドイツ語総合1、2(経営学経営学科)

水曜日2時限:ドイツ語総合1、2(経営学部キャリアマネジメント学科)

木曜日2時限:国際化と異文化理解(前期・後期)

木曜日4時限:ドイツ語コミュニケーション1、2(経営学部)

金曜日2時限:ドイツ語総合3、4(経営学経営学科、キャリアマネジメント学科)

オフィスアワー:木曜日3時限

六甲縦走トレイルラン、3回目の完走

3月11日は、神戸で六甲縦走トレイルランに出場しました

地元の山を走る(厳密にいうと、走れる区間はかなり限られています)大会ということもあり、西宮に移住してから毎年参加しています。

前回の日記にも書いたように、2月中はフルマラソンに続けて出場していて、あまり山を走る練習ができないまま当日を迎えました。いちおう自宅から歩いていけるゴロゴロ岳(565m)に登ったり、その周辺を散策したりで、15kmから20km程度の練習はしていましたが、所詮は付け焼き刃にしかならないとわかっていました。それくらい大変なコースです。

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大会HPに用意してあるコース図。スタートからゴールまで約40kmですが、ほとんど山の中だということがわかります。

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やたら眺めがいい苦楽園中学

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苦楽園から登れるゴロゴロ岳。登山口から山頂までは30分ほどですが、けっこう険しい道です。

 

前半:須磨浦公園から鵯越駅まで

距離は40kmと普通のマラソンと変わりませんが、制限時間は8時間*1もあるので、それだけスタートの時間は早めです。8時半に須磨浦公園スタートということで、自宅を6時半に出て、会場に向かいました。

私は3番目の組(5分ごとにずれるブロックスタート形式)で、8時40分にスタートしました。須磨浦公園からさっそく鉢伏山の急な登りが始まります。みんな元気な時間帯なので、がしがしと坂を登って行きますが、私はゆっくり行くよう心がけました。もう3回目なので、きついポイントはよくわかっています。すなわち、中盤の菊水山、鍋蓋山、そして摩耶山です。そこで頑張る体力を取っておかなければならないので、最初から登りはゆっくり、平坦地は歩き、下りのみ走る、という方針を決めておきました。

今年は風が強いものの、わりと暖かい日だったので、前半は楽に越せました。

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スタートからすぐの旗振山。明石海峡大橋が見えます。

前半はわりと低い山がつづくきますが、5kmあたりの栂尾山の階段が、ちょっとした挫折ポイントです。特に練習しないでなんとなく来てしまった人は、この階段を見て後悔するのでしょう。

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急斜面にはりつく栂尾山の階段は有名です。

栂尾山を越えると、名勝須磨アルプスがあります。岩がごろごろ飛び出した地形が見事です。ここは道が狭いので、みな慎重に歩いて超えます。

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アップダウンが非常に激しい丸山の住宅街を越えると、第一関門の鵯越駅。初参加の時は、なんでこんな山奥に鉄道駅があるのかと驚きましたが、新開地から出る神鉄電車が通っているのでした。

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中盤:菊水山から摩耶山掬星台まで

このコースで一番きついのが、中盤の菊水山から摩耶山までです。

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先ほど挙げた図からの抜粋です。第2エイドのすぐあとに、菊水山があり、一旦下って鍋蓋山、もう一度下って第3エイド、その後摩耶山の登りと続きます。

昨年は、レースの二週間くらい前に、鵯越駅から摩耶山まで行き、六甲道から電車で帰るという練習をしていました。

今年はこの区間に特化した練習をしていなかったので不安でしたが、やはり去年と同じくらい疲れました。

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菊水山ではちょうどお昼頃になるので、おにぎりを食べて休憩しました。

摩耶山は、多くの観光客でにぎわう掬星台で、神戸市の町並みを眺めることなく、麦茶をがぶ飲みしていました。

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夜景の名所としても有名な摩耶山の掬星台。神戸市中心部の真上なので眺めはいいです。しかし私はもう展望台までいく気力がなくて、ベンチに座って休んでいました。

 

終盤:六甲山最高点から有馬温泉

摩耶山から六甲山までは、高原地帯なので、大きな登りくだりはありません。ほぼ平坦な舗装路区間もありますが、毎年ぜんぜん走る体力が残っていません。今回もロード区間はほぼ歩きました。

第三関門がある六甲山記念碑台から少し進むと、コースはゴルフ場の中を通ります。この神戸ゴルフ倶楽部からの眺めが一番きれいだと毎年思います。

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もう3時半ごろなので、空が暗くなり始めていました。

スタートから6時間半くらいかかって、やっと六甲山最高点に到達できました。もう午後の3時を回っているので、山の上は寒くなり始めます。普段の練習では、なるべく3時を過ぎたら山から出るようにしています。秋から冬は、すぐに気温が下がるからです。毎回この大会は、ゴール地点に着く頃には夕方になってしまうので、今年は寒さ対策としてフードのついたウィンドブレーカーを着ていました。耳や首にかいた汗が、風に当たってどんどん冷えてくるので、後半はフードをかぶってしのぎました。

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六甲山最高峰のすぐ下。大阪の街が見渡せます。かなり冷たい風が吹いていました。

六甲山からゴールの有馬温泉までは、ひたすら石がゴロゴロした山道を下ります。あとはゴールするだけなので、最後の力を振り絞って走りますが、今年はここで転倒してしまいました。幸い手のひらと膝をすこし擦りむいただけですみましたが、痛くてしばらく歩いてしまいました。去年と同じくらいのタイムだろうと予想してゴールにつきましたが、よく見ると前回より10分くらい早く着いていました。おそらく3回目ということでコースに慣れていたのと、直前にフルマラソンを2回走っていたので、体力がついていたのでしょう。

ゴール後は迎えに来た妻と合流して、有馬温泉金の湯につかりました。泥水のようなお湯ですが、温まりました。

 

使用した用具、足のダメージ等

今回は昨年と同様、モンベルのクロスランナーパック7を背負いました。このバックパックは、背中にハイドレーションパックを入れることもできるし、ポケットにボトルを挿したり、胸ポケットにボトルやスマホをしまうこともできます。ハイドレーションパックは落ち着かなくて苦手なので、背中に食料と一緒に500mlのボトルを一本、胸ポケットにスポーツドリンクを一本という形で水分を持ち歩きました。

 

 

シューズも昨年と同じ、ブルックスのカスケディアを履きました。

 

 幅やかかとのフィット感が申し分なく、安心して履いていられるシューズです。ウルトラマラソンなど、ロードでも長距離を走るのにいいかなと思いました。

それから、今回はじめてシューズにくっつけるゲイターを使ってみました。足首が締め付けられる感じがして、うまくフィットしないと痛いのですが、小石が靴に入ってこないので、靴を履き直すことがなく、便利でした。

 

[サロモン] ゲイター  L32916600 BLACK ブラック 25.5-27(25.5cm)

[サロモン] ゲイター L32916600 BLACK ブラック 25.5-27(25.5cm)

 

 

足のダメージですが、トレイルは土の地面なので、足裏に関しては、まったくなにも問題は起こりませんでした。これはロードとは大きな違いです。膝周りの筋肉痛も、フルマラソンのときよりもはるかにマシで、翌日にはふつうに階段の上り下りができるほど回復していました。山歩きが健康的だというより、舗装路がいかに脚に悪いかということを逆に認識させられました。

 

大会は終わったが、まだまだ山を楽しみたい

六甲山トレイルが終わると、また次の冬まで山登りは封印となってしまうのが、毎年のパターンでした。しかし、考えて見ると山登りが楽しいのはむしろこれからの季節です。夏は虫刺されなどが心配ですが、春の山は、暖かくて気持ちいいでしょう。今年はせっかくなので、また山登りを楽しみたいと思っています。

 

*1:速い人だと4時間台でゴールできるそうですが、ふつうにハイキング気分で歩くと8時間でもゴールは不可能です。トレイルコースなので舗装路のマラソンとはまったくペースが異なります。私の場合、京都東山三十六峰マウンテンマラソン(30km)では、3時間40分くらいかかりますが、六甲山トレイルの場合、10kmしか変わらないけど時間は7時間半かかります。山の険しさで時間のかかり方が全然違うわけです。

10年ぶりの高知

FD講演会のため、高知に行きました

3月3日と4日の一泊二日で、高知に行ってきました。今回は、高知大学共通教育実施機構会議、外国語分科会のFD講演会ということで、先日のブログにまとめた、ドイツ語作文の授業について報告しました。他大学に講演をしに行くというのは、初めてのことだったので、貴重な機会をいただけて、感謝しております。

兵庫県に住んでいると、四国はすぐ対岸なので、わりとしょっちゅう行っている気がしていたのですが、考えてみると明石海峡大橋を渡っても、淡路島までで引き返すことばかりでした。海を渡るので、四国に来たんだ、と勝手に思っていましたが、同じ兵庫県内から一歩も出ていなかったのでした。

四国自体は、いちおうこれまでに4県全てに行ったことがあります。香川県徳島県は、小豆島のマラソン大会に出場したり、その道中で何度も訪れています。しかし、高知県は2007年に家族旅行で行った時以来です。たしかそのときは、足摺岬や土佐中村の町を見るほうがメインで、高知市ではほとんど何もせず、何もない静かな高知駅前で帰りの高速バスを待ったことくらいしか覚えていません。

しかし、お酒も魚もとてもおいしいことは覚えていたので、とにかくおいしいものが食べられることが楽しみでした。

 

バスでしんどい思いをするよりは、車で行ったほうがいい

高知というのは、四国の中でもとりわけ他と隔絶されていて、なかなか近づくことができません。飛行機はともかく、鉄道もバスもかなりの時間がかかります。10年前高知駅から乗った高速バスは、京都駅に着くのに6時間近くかかったように思います。

今回は、妻もいっしょということで、自家用車で行きました。Googleなどで調べると、自宅からは3時間40分程度で着きそうなので、朝7時半ごろに出発しました。途中2、3回の休憩をはさんで、ほぼ予定通りに11時半ごろ高知市に到着できました。

 

高知大学での講演

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春休み中なので学生がおらず閑散としています。学生がいないというのが、国立大らしいと思いました。勤務校は春休み中も学生たちでいっぱいです。

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高知大学での講演には、人文学部のドイツ語、英語の先生方だけでなく、非常勤の先生方にも来ていただきました。ブログに書いた、作文の指導についての試行錯誤をお話ししたので、先方の先生方にも、うちはこういうところが問題だ、といろいろ具体的なお話を伺うことができました。

関西圏でも同じなのですが、昨今国立大学では、1クラスごとの人数が多すぎることが問題になっています。語学の場合は、全員に目が届いて全員が参加できる人数ということで、20人以内が理想と言われています。しかし、国立大(とりわけ地方国立)では、60人から70人の大クラスが多くあるそうです。それだけの人数を、しかも複数クラス担当する場合、どうしても一人一人に作文の課題を出すということは難しくなります。グループで課題を製作するという形をとることになるでしょう。

講演の前に学内を少しみて回りましたが、20年前にセンター試験で訪れた宇都宮大学を思い出しました。低層の建物が広い敷地に並んでいるのをみて、国立大学らしいなあと思いました。学内には樹木が多かったのですが、関西とはまったく植生が違っていて驚きました。

 

高知の町もすばらしい

前回の訪問時には、高知駅と桂浜しか記憶に残っていませんでした。今回は市内中心部に泊まったため、翌日は高知市内を観光しました。

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メインストリートには、路面電車が走っていて、それと並走する通りには、長いアーケード街がありました。故郷の栃木でも、宇都宮にはオリオン通りがありましたが、現在は完全に寂れてしまっていることを思い出しました。子供時代に見た宇都宮のようなにぎわいが、今の高知には残っていました。

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市内中心部では、ちょうどイベントの最中でした。

前回見たかったけど見れなかったのが、高知城でした。山内一豊は、奥さんが偉かったということだけで有名な武将なのであまり関心はありませんでしたが、高知城はみごとでした。天守閣は江戸時代に作られた(いったん火事で焼けて再建している)ものがそのまま残っているそうで、はしごのような急な階段を登りながら、ここで何人が怪我をしたのだろうかと思いを馳せました。

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天守閣からは、街が見渡せました。

お城のすぐ近くには、鮮魚や肉などが食べられるひろめ市場があります。ここも観光名所らしく、大変賑わっていました。カツオだけでなく、クジラも名物だったことを思い出し、鯨寿司を食べてみましたが、大阪で食べるよりも美味しかったです。

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桂浜で太平洋を見る

午後は桂浜に行きました。普段から西宮や神戸で海を見ていますが、やはり太平洋は瀬戸内海と全く違います。海水の海らしい濃い青さや、水平線の広さに時間を忘れて眺めてしまいました。

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帰り道は、淡路島経由ではなく、瀬戸大橋で岡山経由のルートで行くことにしました。その方が早いという人もいるし、せっかくだから違う道を通って見たいと思ったからでした。

瀬戸大橋の途中、与島PAでは、ちょうど夕日に照らされた海を見ることができました。大小さまざまな島や行き交う船など、これもまた近所の海では見られない風景を楽しめました。

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次は夏に行ってみたい

以前愛媛県香川県に行った時も思ったことですが、四国には、現代の関西にはなくなってしまった、古くて良いものが残っているように感じました。街が古いということだけでなく、土地の雰囲気が、同じ田舎でも兵庫県京都府の田舎とは異なっているように思います。何が違うのかうまく表現できませんが、四国にしかない空気感のようなものがあるし、毎回訪れるたび、四国らしさがいいなあと思います。

今回は春でしたが、観光客が多いのはやはり夏だそうです。次は夏の高知を見てみたいです。

 

 

もう続けられないかもしれないと思った時に

研究を続けて行く自信がなくなることがときどきあります。

大学院生の頃は、そもそも自分が研究者として一人前になれるかすらわかりませんでした。博士号を取り、専任教員になって、その後も研究を続けて行くというビジョンはまったくありませんでした。

すでにこのブログでも書いていますが、私にとって、一番大変だったのは、大学院修士課程を出るまでの4年間でした。

 

読んで楽しいと思える本があれば大丈夫や

という恩師の言葉を今でも覚えています。そして、私自身いまでもそのとおりだな、と思っています。本を読むこと自体が苦痛でないならば、あるいはどんな本であれ、読んで面白いと思えるもの、夢中になれるものがあるのであれば、いつでも研究者として再起は可能です。少なくとも私はそう思っていつも暮らしています。

昨今は大学の業務に追われ、なかなか院生時代のように継続的に集中して一つのテーマに取り組んだり、長い小説や分厚い本を読み通すことができないでいます。もう少し余裕がもてたら、もっと研究ができるようになるのかもしれません。それでも、細切れの時間を使って、これまで知らなかった作家の本や、これまであまり勉強して来なかった分野の本を読むと、新たな刺激を受けます。そして、まだまだ研究のネタになるようなことは、いくらでもあるんだな、と再確認します。

 

何も進んでいないと思うときは、濫読を

これは私自身のスタイルなのかもしれませんが、何をしたらいいのか迷う時や、やらなきゃいけないことはわかってるのに、ちっとも進まないときは、あえて関係ない本をいろいろ読んでみることにしています。修士論文や博士論文の元となった研究は、やる気が出ない時間、図書館バイトで暇な時間、そんな時間に手当たり次第に読んだ本から生まれてきました。

 

最近買った本

春休みは講演をしたり、研究会に出かけたり、自分の論文を書いたりと、あれこれ忙しい時期ですが、落ち着いて自分の関心を深めるためにも最適な時間です。

2月なかばに、京大文学部で行われたウィーン大学Eva Horn先生の講演を聞きました。気候変動と人文科学についてのお話で、昨今はやりのテーマだとおっしゃっていました。全然知らなかったので、アマゾンでキーワード検索してみると、たしかに多くの文学者や歴史家が気候変動と近代文化についての本を書いています。

私自身の出身が「人間・環境学」研究科ということもあり、自然環境と人間文化の関わりというのは、自分自身にとっても大きなテーマです。シュレーバー論には、19世紀末の科学的な発見や技術の普及が、どのように人間の世界像を変えていったかという問いも含まれていました。

気候の変化といういっけん非常に大きな話がどのように文学や思想の問題になるのかよくわからないのですが、これらの本から少しずつ学んでみたいと思います。

Zukunft als Katastrophe

Zukunft als Katastrophe

 

 

Kulturgeschichte des Klimas: Von der Eiszeit bis zur globalen Erwaermung

Kulturgeschichte des Klimas: Von der Eiszeit bis zur globalen Erwaermung

 

 アマゾンへのリンクを検索してて初めて気づきましたが、この本、もう邦訳がでてました。

 

気候の文化史―氷期から地球温暖化まで

気候の文化史―氷期から地球温暖化まで

 

 それから、20世紀初頭のヨーロッパを描いたDer taumelnde Kontinent(2009)などで知られるPhilipp Blomもこの辺のテーマについて新刊を出しています。

 

もともとは英語の本ですが、テーマ的におもしろそうなのでこちらも買いました。

 

Die Eroberung der Natur: Eine Geschichte der deutschen Landschaft

Die Eroberung der Natur: Eine Geschichte der deutschen Landschaft

 

 

 

 

ドイツ語の参考書を読む

まだまだ先のことになるでしょうが、ドイツ語の参考書(大学教科書ではなく、一般向けの入門書)を書けたらいいなあと思っています。やる夫やらない夫を使う教科書ではなく、ふつうに本屋さんで売っているような本を作るとしたら、どんな形が考えられるでしょう。大学で授業を担当するようになってから、一般向けの学習参考書も多数買って手元に持っています。今回は自分自身のアイディアを整理するためにも、これらの本から何冊かを読みながら、内容を紹介します。

 

参考書の種類もいろいろある

紀伊国屋ジュンク堂などの大型書店には、英語の教材と並んで「その他の外国語」として、フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語、さらにもっとマイナーな諸言語のテキストが並んでいます。パッと見て一番数が多いのは、フランス語でしょう。大学では昨今人気が凋落の一途を辿っているフランス語ですが、習い事あるいは趣味としては、いまだ高い人気を誇っています。

その次に種類が多いドイツ語ですが、一言で参考書といっても、いろいろなタイプがあります。大きく分けるとこのようになるでしょうか。

1初学者向け総合教材(やさしいドイツ語入門、初心者からのドイツ語会話みたいなタイトルのもの)

2文法のまとめや解説

3会話、リスニング、作文など、目的別

4専門的な学習者向け(院試、独検など)

以下、それぞれのジャンルで私が気に入って使ってきた本や、持っている本を紹介していきます。

 

1)初学者向け総合教材

このジャンルだと、やはり一番売れていて、大学のドイツ語教員からの評価も高いのは、エクスプレスドイツ語ではないでしょうか。

 

ニューエクスプレス ドイツ語

ニューエクスプレス ドイツ語

 

 白水社のエクスプレスシリーズは、もう数十年前から多くの言語が出版されています。会話文、単語や文法事項の確認、まとめの練習問題、という流れで文法事項を大まかに学ぶおなじみのスタイルです。(このおなじみのスタイルは、いつ頃始まったのでしょうね?英語教材などの歴史を参照すればわかりそうですが)

エクスプレスドイツ語が優れているのは、ドイツ語において多くの場合挫折ポイントとなってしまう、格変化や動詞の変化など難しい文法事項をうまく散らして、少しずつ学べるように配置しているところです。

10年ほど前、私が民間の語学講師派遣会社で仕事をしていた時に、指定教材として採用されたのが、出たばかりの新版のエクスプレスでした。数ページ使ってみて、優れていることがわかりました。著者の太田達也先生は、ドイツ語教授法では非常によく知られた先生で、他にも多くの一般向けの参考書を出されています。

 

ドイツ語のしくみ《新版》

ドイツ語のしくみ《新版》

 

 清野智昭先生の『ドイツ語のしくみ』は、初学者向けの学習書とは少し違うのかもしれませんが、全くの初心者でも、ドイツ語の特徴や概要を楽しみながら知ることができる好著です。この本は大学で教え始めた頃に買いましたが、授業で文法事項を説明する際に非常に参考になりました。名詞の性がどのように決められるか、定冠詞と不定冠詞の違いとは、格とは何か、例えばこういった問題について、わかりやすく解説されています。

 

2)文法のまとめや解説

これは初学者向けというよりは、大学などである程度学んだ学習者が使うものでしょう。大学であるいは趣味で読んでいるテクストなどが分からない時に、文例を調べたり、文法事項の定義を調べたりするのに使うのが、文法書です。

 

必携ドイツ文法総まとめ

必携ドイツ文法総まとめ

 

 この本は、おそらくドイツ語を専門的に学ぶ学生であれば、だれもが一度は使ったことがあるというくらいよく知られる一冊です。私も大学入学時に購入し、学部生の頃は、購読の授業前には、「総まとめ持ってきた?」とか「この文よくわかんないけど、総まとめのどこ見たらわかる?」などと友人と相談しながら、毎回フル活用していました。活字が小さく、文字が詰まっているので見づらいところもありますが、初級文法を網羅的に解説しているので、非常に便利です。

 

基礎ドイツ語 文法ハンドブック

基礎ドイツ語 文法ハンドブック

 

 「ドイツ文法総まとめ」と同様に、教科書に出てくる文法事項を整理しているのがこちらの本です。「総まとめ」に比べると調べやすいので、最近自分の授業の予習で使うのは、主にこちらです。

 

NHK出版 これならわかる ドイツ語文法―入門から上級まで

NHK出版 これならわかる ドイツ語文法―入門から上級まで

 

 最近出版されたこちらの本は、上記の文法書と同様に、初級から中級まで、さまざまな文法事項を豊富な文例と解説で紹介しています。かなり分厚いので初学者向けというよりは、一度ドイツ語の初歩を学んだ人向けと言えるでしょう。数の表現の項目で、計算をどう言うかが載っていたので、そのうち授業で紹介しようと思いました。

 

詳解ドイツ大文法 (1956年)

詳解ドイツ大文法 (1956年)

 

 この種の本のなかでも、大学院などで勉強する人が使うのが、こちらの本です。橋本大文法などと呼ばれています。やや古い本ですが、さまざまな文例が掲載されているので、大学院の授業のときなどに使いました。最近はあまり開く機会はありません。

 

3)大学院入試向け

上記の文法書などと並んで、学部時代に私が使っていたのが、独文解釈の参考書や問題集でした。最近はどう言う本がでているのか、傾向を抑えていないのでわかりませんが、20年くらい前だと、この辺の本がありました。

 

現代ドイツ語―初級から中級へ

現代ドイツ語―初級から中級へ

 

 母校の先生に院試を受けることを伝えると、まず勧められたのがこの本でした。初級文法を解説しながら、さまざまな例文で、実際にどのように使用されるのかが学べるようになっています。出てくる文例がかなり高度なので、大学院受験向きということなのでしょう。ショーペンハウアートーマス・マンニーチェなどの文章をこの本でたくさん読みました。単に難しいだけでなく、含蓄のある、覚えておきたい名文などもあり、気に入った文章はノートに写したりしていました。

 

4)目的別の参考書

大学で教え始めた頃、会話やリスニング、作文などをどのように教えるのかがよくわかりませんでした。それはもちろん、私がそういった勉強を大学院を出るまでにあまりやってこなかったからでした。そこで、市販の参考書を集めて、いろいろ読んでみました。

 リスニング、発音
ドイツ語 発音聞き取りトレーニングブック

ドイツ語 発音聞き取りトレーニングブック

 

 発音および聞き取りについては、こちらの教材が役に立ちました。ドイツ語の発音は、自分自身なんとなくで覚えていた部分もあったので、わかりやすく教える方法がよくわかりました。

 

ドイツ語リスニング

ドイツ語リスニング

 

 二年生以上のクラスでドイツ語を教える際に、読み物のテキストだけではたいくつなのでリスニングを取り入れたことがありましたが、この教材は、簡単な問題から応用的な問題まで多くの教材が入っているので、授業でも役立ちました。

 

 作文
表現と作文ドイツ重要動詞50 (<テキスト>)

表現と作文ドイツ重要動詞50 (<テキスト>)

 

 私が学生時代に作文の練習に使ったのは、この本でした。難しい表現を覚えるのではなく、簡単なすでによく知っている動詞を使って作文をしよう、という本です。ひととおりやってみると、基本的な動詞の意味や使い分けがよくわかります。

 

どんどん話せるドイツ語 作文トレーニング

どんどん話せるドイツ語 作文トレーニング

 

 この本では、前半で基礎的な文法、重要な表現の練習をして、後半では、3段階の問題練習をするという形式になっています。3段階の練習を通じて、基本的な動詞や構文だけで書ける文から、複雑な文章まで内容を膨らませて書く練習ができます。

 

手紙

 

手紙・メールのドイツ語

手紙・メールのドイツ語

 

 これは自分でドイツ語のメールや手紙を書く際に使っています。ドイツに長期滞在していれば、ドイツ語メールを書く機会は多いのでしょうが、京都にこもって勉強してきた私は、このへんの経験がぜんぜんありませんでした。そこで今更勉強しています。

 

番外編:大学教科書もいろいろ

ここまでは、一般に売っている本をとりあげてきました。私は普段大学で教えているので、一般書ではなく、大学の教科書を使って授業をやっています。勤務校では専任教員が話し合って、統一の教科書を何種類か選ぶので、あまり難しすぎるものや突飛なものを選ぶことはできません。しかし、出版社から送られてくるサンプルなどを見ると、この教科書で一体どんな授業ができるのか?こんな難しい教科書を学生がちゃんと理解できるのか?と心配になるものも多々あります。

 

岩崎・平尾・初歩ドイツ文法

岩崎・平尾・初歩ドイツ文法

 

 私が初めて京大で非常勤講師として教えた年に使ったのがこちらの教科書でした。著者は非常に有名なドイツ語学者だし、パッと開くと解説がぎっしり並んでいて、これだけ内容が豊かならば、こちらがあれこれ話す内容を用意するのに困ることはないだろうと思ったのでした。しかし実際に使ってみると、文法事項の解説が難しくて理解できず、うまく説明するのに手間取ったり、練習問題があまりに高度で、学生ができないだけでなく、私自身も正解が分からない(模範解答が付属していなかった)といったこともありました。この経験から、学生の学力が高いからといって、むやみに難しいテキストを選ぶのは危険だということを理解しました。

面白いぞドイツ語文法

面白いぞドイツ語文法

 

京大で教えておられる斎藤治之先生が書かれたこの教科書ですが、先にあげた岩崎先生の本と同様、ボリュームたっぷりの内容です。この本もまた、練習問題がかなり高度です。さらに驚くのは、巻末にはAnhang(補遺)として、文法事項の解説が小さな文字で数十ページにわたってつけられています。ここでは「時制と相アスペクトとの関連において」、「分詞による分析的動詞形式」、「再帰動詞と中動態」といった、言語学専攻の学生あるいは教員じゃないとぜったいに読まなそうな文法的な知識が紹介されています。著者の熱意が溢れる好著ですが、深く考えずに選んでしまった教員は大変な目にあったことでしょう。

 

番外編2)古い参考書も非常に勉強になる

現在市販されている本だけでなく、ずっと昔に出た本にも、多くの名著があります。ドイツ語は明治期から日本の大学で教えられ、私たちが大学に入る前の時代には、ドイツ語を学び、ドイツ語の資料を用いて勉強をする学生が多数いたので、おそらく今よりもずっとドイツ語参考書業界も活況を呈していたことでしょう。

古い参考書として、ドイツ語学習者に人気なのが、関口存男の一連の著作です。中でも私が気に入っているのが、『独作文教程』です。

 

独作文教程 (1953年)

独作文教程 (1953年)

 

 戦前から多くのドイツ語学習者に読まれてきた本です。私が持っている版は、戦後に改定したものだと思いますが、例文は昭和初期の空気を感じさせるものも多数含まれていて、たいへん味わい深いです。

以下、気になった例文です。

  • 土人達は、適当な陶器や硝子器が無いので、缶詰の空き缶を椀代わりに用いる
  • 装甲自動車には、軽装甲車、重装甲車の二種がある。前者は主として偵察の目的に用いられ、校舎は、無限軌道を有し、困難なる地形を克服するがゆえに、これが元来の戦闘用なのである。
  • 今日刑事がやつて来て、君のことを訊ねたぜ。
  • おまへ、そんな事を書いてゐるとそのうちに刑務所行きになるよ。
  • 砲弾が命中すると掩蔽壕が鳴動してミシミシと云ふ。
  • 大抵の学生はドイツ語を習ひ初める時は非常に熱心だが、一学期も経つと恬然として授業を怠け始める。

これをドイツ語で作文するというのは、かなり難しそうです。非常にレベルの高い教材ですね。